Date: 8月2014

ネット販売のためのコンビニ

 中国の小売業はネット販売に押されて実店舗販売への影響が大きいということがよく言われています。この状況を打ち破るために順豊という宅配便会社がネットコンビニ店ともいえるようなコンビニ店「嘿客」を展開し始めてます。以下に紹介しますが、個人的には結構ズンドコなビジネスモデルだと思います。

 

 まず、この店舗の中には商品の写真やQRコードだけがあり、実物がないのです。とはいうもののいちおう店員はいます。

 

 

 

 写真のように中央に端末があり、ここで欲しいものをチェックして購入し、ネット販売と同じように配送してもらうというものです。店舗まで行ってわざわざネット購入?

 

 そもそもコンビニの特徴としては、24時間営業、飲料を含む食品が販売されていること、商品が陳列されていること、があげられると思うのですが、このネットコンビニ店、この3つのどれも満たしていません。そもそもわざわざ外まで行って商品の実物を見ないでその場でネットで注文する人なんているのだろうか?実物を見ないで買うのなら自宅に引きこもって買うでしょう。ネット販売ってそもそも店舗コストを抑えたいという目的もあるかと思うのですが、ネット販売のための店舗を出すなんて。

 

 このネットコンビニ店のうたい文句としては、大量の商品を展示しており、母体である宅配会社が優れた物流網で配送し、等といってますが、好きな時に買いに行ってその場で買ってそのまま持って帰ってというのができないコンビニなんて。楽しく買い物するというほどの欲望まではコンビに対して求めていなくても、普通に買い物くらいしたいですよね。いちおう公共料金支払い、電話カードのチャージ、クリーニング、といったことまではやってくれるとのことです。まあ、商品の受け取りをここで行うこともできます(他のコンビニでも既にネットで購入した商品の受け取り場所となっているところはあります)。

 

 さすがにこのビジネスモデル、現地でも大丈夫かねという声は上がっており、これに対して企業側は「まだ始まったばかりなので、もっと商品も増えていくし、改善もしていく」などといっていますが、果たしてどうなることやら。そう遠くないうちになくなってしまいそうな気がします。店舗の大きさがどれくらいのものなのか見に行ったことがないのでわかりませんが、5月の時点ですでに500店舗以上あります。店舗数を一気に増やしたいコンビニがどこかの時点で店舗丸ごと買収してしまうのはありでしょうね。

中国のコーヒーショップレポート

 RITという不動産関連のリサーチ会社が中国のコーヒーショップに関するレポートを発表しています。中国でコーヒーショップといえば少し前までは台湾系の上島珈琲、最近だとスターバックスのイメージが強いですが、どうも最近は韓国英現れてきているようです。残念ながら日系には多店舗展開といえるほどの展開をしているところありません。

 

1.店舗数

 参入時期と現在の店舗数をまとめた図があります。

 

 

 思っていた以上に上島珈琲が多いですが、今ではトップはスターバックスですね。この図で三番目に多い珈琲陪你は韓国系で、なんと2年しかたっていないのに400店舗以上あります。上島珈琲やスタバを圧倒的に上回る出店スペースです。実はこのコーヒーショップに入ったことがないので、見かけたら一度行ってみようと思います。この中だと漫珈琲、動物園珈琲も韓国系ですが、実は全く知りませんでした。真鍋珈琲って最近ほとんど見かけないのですが、200店舗以上あるのですね。

 

2.顧客ターゲットとメニュー

 顧客ターゲットを見ていきますと、欧米系はビジネスマンをターゲットにしており、テイクアウトする人が多いようです。台湾系はくつろごうとする人をターゲットにしており、上島珈琲あたりだと小部屋でトランプやマージャンをしたりする人が多くいますね。韓国系はこれらと違って友人や家族でだべったりする人が多いようです。このような雰囲気のところはあまりないようで、だからこそマーケットにいうまく入り込めたといわれています。

 

 さて、メニューを見ていきますと、欧米系は種類が少ないものの、サービスが良いという点に優位性があるようです。スタバあたりだとスタッフに浮遊怪な思いをさせられることはあまりないですね。それ以外だと頼んでもいなものを持ってきて押し付けられそうになったことがあるように、サービスレベルは確かに落ちますね。台湾系はくつろごうとする人が多く、そのためメニューも比較的がっつり食べるようなものも多く、ランチなんかも結構種類が多く、コーヒーがメインというわけではありません。韓国系は喫茶や軽食が主体で、それ向けのメニューが結構豊富だそうです。

 

 ターゲットとメニューでセグメント分けした図を見ていきましょう。上に行けばいくほどくつろぎ、下へ行くほどビジネス、右へ行くほどメニュが豊富、左へいうほどメニューが少ないとなっています。

 

 

 

 

 この図にあることは確かのその通りで韓国系は平均メニュー数は76種類、欧米系は41種類なので、およそ倍になります。メニューの幅広さが顧客を引き付けた要因とも言われています。また、韓国系はメニュー数以外にもコーヒー以外のドリンクの比率が49%と非常に高いという特徴がります。

 

3.メニュー構成

 

 台湾系はがっつり食べるようなメニューが多いせいか、食品の比率が圧倒的に高くなっており、コーヒーのの比率は最も低くなっています。

 

 

4.経営モデル

 欧米系は資金力が豊かであり、これをいかして直営スタイルをとっています。欧米系は実に92%が直営です。台湾系はいくつかの大エリアのエリア代理権に分け、そこからまた代理権を分け分けしてという形をとっています。あまりに分けすぎて同じエリアに複数の代理賞がいるケースも見られ、ちょっと乱れ気味です。そのため、代理権の紛争や、代理賞の流動性も高く、管理が乱れたり、メニューの基準がばらばらだったりするという問題が発生しています。直営はわずか8%しかなく、加盟の比率は87%にも上ります。韓国系は直営が19%、加盟が60%、そして残りの21%が合作経営です。合作経営とは、管理側と加盟社が共同で経営に参加し、相応が持分を保有するというものです。下図はブランド別の直営、加盟、合作経営の比率を示すものですが、特徴がよく現れています。

 

 

 

 韓国系にはおおきく3つの優位性があるといわれています。

(1)  直営店が一定比率ありますが、直営店をうまく運営することで加盟者に対するアピールになっているという見方です。個人的には直営店と加盟店の見分けはつかないのであまり関係ないのではないかと思います。

(2)  合作経営も資金が不足する加盟社に対してチャンスを与えることのできる形態であるといえます。咖啡陪你は招商銀行と組んでおり、加盟者が合作経営するために必要な資金の銀行調達をするサポートを行っています。資金調達に当たり銀行に対して保証してくれ、提携しているがゆえに相対的に低金利で資金調達ができます。これはありがたいですね。漫珈琲の店舗のうち83%が合作経営で、純粋な加盟店は一つもありません。

(3)  加盟店であろうが直営店であろうが、会社が統一管理を行っています。フランチャイズと同じ考え方ですね。

 韓国系の加盟条項を見てみましょう。

 

 

 持分を40-100%まで幅広くとっております。加盟社が100%の持分を持つ場合でも場所探しまで手伝ってくれるというのはありがたいですね。店舗拡大を優先することで適当な場所を紹介してしまわないようにするのを気を付ける必要があるでしょう。ちょっと油断すると適当な場所を紹介されてしまうかもしれないというのは加盟者も注意が必要でしょう。

 

5.賃料・立地

 さて、賃料について見ていきましょう。

 

 

 一線都市の中でも欧米系は高コストの立地、台湾系は最も低コストに立地していることがわかります。韓国系は面積が台湾系と比べて小さめであり、賃料の絶対額自体は対話根井よりも低く抑えられています。韓国系は参入時期が遅めであったこともあり、好立地のところがすでに押さえられてしまっていることによるそうです。一線都市といっても郊外に立地するのが69%と高めなのもの特徴です。二線都市は面積当たりの家賃は台湾系がぶっちぎりに低くなっており、面積が大きくても絶対賃料をかなり抑えることができています。韓国系は一線都市よりも高コストの立地をしているといえ、実際に市街地の立地比率が87%にも達しています。欧米系と台湾系は二線都市においては市街地比率はほぼ同じですが、一線都市だけ見ている分には意外な感じがします。

 

  

 

 

6.マーケティング

 韓国系は韓国のタレントや韓国アパレル、化粧品、内装や韓国の生活スタイルを取り入れることでお客さんを引き付けているそうです。韓国ドラマの人気にあやかっているという見方です。個人的には韓国ドラマは記憶喪失は腹違いの兄弟が出てくるドラマばかりというイメージもあり、ほとんど見ることはないのですが、これがいいという人もいるのでしょう。中国で韓流ってそんなに人気があるのでしょうか?

 この他、O2O戦略としてバイク便の順豊と提携し、携帯電話で注文してバイク便で配達してもらうということもやっています。配達してくれるのは確かにありがたいですね。

 

 以上、つらつらと書いてきましたが、日系のコーヒーショップが出てこないのが残念です。日系だとサンマルクカフェ、プロントあたりが進出していますが、店舗数が少ないのでこのような比較対象として取り上げられることはありません。今から出てきても遅いと考えているのでしょうか。2年で400店舗出した咖啡陪你の例もあるので、やり方次第ではまだ何とかなりそうな気もするのですが、果たしてやってきますでしょうか。

 

マイクロソフトが元ノキア従業員のリストラに苦戦中

 マイクロソフトがノキアを買収しましたが、その流れを受けて中国でもマイクロソフトによる元ノキア従業員に対するリストラが行われており、現地ではこれが話題になっています。会社都合で従業員を解雇していくため、経済補償金の支払いが必要になります。経済補償金の支払い基準は労働契約法で明確に定められているのですが、往々にしてこれを上回る基準での支給が行われており、マイクロソフトも現在同じ苦しみを味わっています。おおざっぱに言いますと、直近12ヶ月の平均給与×勤続年数見合いの月数を経済補償金として支払います。勤続年数見合いの月数を俗にN値と呼び、2年勤務だと2、5年勤務だと5となり、maxで12と定められています。

 

 マイクロソフトが提示した条件は、(1)平均給与を元々25000元を基数としていたものを31000元に引き上げ(給与が低い人も31000元を基数とし、これより給与が高い人はそれを基数とする)、(2)経済補償金をN+2で支払、(3)最短離職時期を9月30日とする、このほかにも会社が1800万元拠出してリストラされる従業員の研修資金に充当するというものでしたが、元ノキア従業員はこれに満足せず、(1)離職時期を2015年4月末とする、(2) 経済補償金をN+6で支払うこと、という条件を提示し、現在折衝中です。N+1が法定基準と勘違いしている中国人にあったことがあるくらい、N+1あたりで手を打つのは実務的にも良く見られますが、N+6というかなり乖離した要求がなぜ出てきたのか。ノキアが2007年と2011年に従業員を解雇する際にN+6という基準を採用したことがあることによるようです。2013年にこれがN+2となり、マイクロソフトこれに沿った形での条件提示をしたまでのことです。今ではソーシャルメディアが発達しており、QQグループというウェブサービスでリストラされる人たちのグループが自然と出来上がり、グループチャットの中でN+6という認識が形成されたようです。

 

 今までも従業員が好き放題に言ってくるケースは見たことがありますが、マイクロソフトの場合は世界的な知名度を有する企業であり、対象とする人数も多い(北京の研究開発センターの90%が対象)という点で、非常に目立つ案件であり、この決着によっては今後の他企業のリストラ政策にも影響を及ぼしかねません。古くは2011年にベストバイが撤退した時もかなり太っ腹な経済補償金を支給していましたが、それと同じ時期に撤退しようとしていたある日系企業ではあくまで法律通りの支給を押し通そうとする中で、説明の仕方も悪かったのですが、従業員との間の話し合いがぐちゃぐちゃになってしまい、最終的には結構な金額を支給する羽目になったところもあります。

 

 またマイクロソフトの話に戻りますが、従業員の一部からこの動きを不安がる人が出てきています。どのような不安かといいますと、あまりにごねすぎると、次に就職する先で「こいつはごねる奴だ」と思われてしまい、再就職に影響するのではないかという見方です。確かに、私が誰かを採用しようとして、相手に対してそのような印象を持ってしまった場合、積極的に採用しようという気持ちが薄れてしまいます。あまり自己主張をしなさすぎる人もどうかと思いますが、ごねまくる人はもっと困ります。私も実際にリストラ説明に立ち会った際にごねる従業員を見たことがありますが、自分の会社でおのような人を採用するかどうかと聞かれればノーと回答します。

 

 今回のマイクロソフトのケースのようにリストラ資金が膨れてきているように、中国ではややこしい相手に出くわしてしまうとリストラ費用が膨れてしまう傾向にあります。道義的にはよからぬことをした従業員を解雇する際に、就業規則にその旨明示されていなかったという理由で結局多額の経済補償金を支払われたケースなんかもあります。何とも納得いかない話です。

 

 マイクロソフトのケースだと、普通に考えればそれなりの待遇を受けている人がごねていますので、失業に対する不安というよりも会社を痛めつけて目一杯取ってやろうという心理かと思います。これが工場の場合だと、同じく目一杯取ってやろうという心理を持つワーカーもいると思いますが、失業することで収入が途絶える方に不安を覚える人が多いのではないかと思います。そうであるならば、再就職をあっせんすることで失業期間をできるだけ短くし、それによりワーカーたちが騒ぐのを防ぐことができ、撤退に際しての労務処理がスムーズに進むのではないかと思います。労働集約型の工場でコストが合わず撤退しようかどうかと考える中で、従業員処理が大変だということで迷いを感じている会社もあるのではないかと思います。ホワイトカラーの場合は自分で次の仕事を探せるでしょうから工場向けにこのような再就職斡旋のサービスの提供を始めていきます。もちろん職種や場所、その他事業によりできるできないはありますが、これで労務処理が原因で撤退を思いとどまっている企業のお手伝いができればと思っています。今のところ上海市内限定で考えており、成約にはまだ至っておりませんが引き合いは来ています。この手のお話があれば是非ご相談ください!

ラグジュアリーブランドにとって上海外灘(バンド)エリアは魅力なし?

 上海の代表的な観光名所外灘(バンド)、元々は租界だったこともあり洋風の建物が多くおしゃれな感じがします。

 

 

 

 また川を挟んだ対面は浦東のビル群を望むことができ、非常に素敵なエリアであります。

 

 

 こういう素敵な場所であるので、多くの国際一流ブランドが店舗を構えているのですが、最近になってそれら国際一流ブランドの店舗がこのエリアらか引き上げる動きがみられています。このような現象が起きている理由として7つの要因が挙げられています。私の思うところも交えながら紹介します。

 

1.旅行客が多く、賃料が高く、買い物比率が少ない

 確かに外灘エリアに観光客は多いです。地方から来た観光客が多く、購買力が弱い人たちが多いのは否定できません。上海人もここでは買わないですし、観光客もターゲット顧客というわけでもありません。そもそも私もブランド物には関心がない方ですが、このエリアで購入しようという気にはならないです。いろいろ見て選ぼうと思うのであればもっと店舗が集積しているエリアやショッピングモールに行きます。多くの人がカフェでお茶するくらいの消費はしていますが、レストランあたりでも高級なところだとそれほどお客さんもいないそうです。行かないので自分の目で見たわけではありませんが。

 グッチのようなブランドの南京路商圏の一日の売り上げが100万元を超えることがあるそうですが、これが外灘だと10万元がせいぜいだそうで、明らかに売り上げをあげる力が弱いエリアといえます。賃料も南京路商圏が20-30元/日/平方メートルに対して、外灘だと同じ基準で30-40元。売り上げる力が弱く、コストが高い、儲かりようがないわけです。特に外灘に近い南京路エリアは人通りも多く、見た目は活気が非常にあるのですが、地方から来た観光客の多いエリアであり、消費力の強いエリアでは決してないということを認識しておくべきでしょう。上海に視察に来る人達が最も勘違いしてしまうエリアといえます。

 

2.ショッピングモールの増加により出店候補エリアが増加

 アルマーニは外灘の店舗を引き上げて。IFCというショッピングモールに出店したように、近年増加しているショッピングモールへの出店という方法が出てきています。ショッピングモールが増加することで、人の流れが変わってきているようです。また、新興商圏も増えてきており、新たな商圏の多くが郊外に位置するようになってきています。例えば、虹橋商務区、七宝、五角城といったエリアですね。2013年の上海郊外のショッピングモールの営業収入が17.4%も伸びているのに対して、市中心エリアはわずか3.2%しか伸びていません。一般的に市中心エリアにあるショッピングモールの売上額が10億元を超えるといわれていますが、奉賢あたりのショッピングモールも同じくらい売り上げる力があるようです。郊外だと賃料も安いでしょうからコストパフォーマンスがいいですよね。

 

3.建物のまとまり感がなく、買い物気分が不足

 これは私はあまり感じないのですが、建物のまとまり感がないため、買い物する気分になりづらいということがあげられています。街全体として盛り上げていこうということができず、物件のオーナーが自分の好きなようにやっているということを指しているのかと思います。

 

4.ブランド紹介の使命を終えた

 そもそも外灘エリアで買い物してもらうという発想が昔からあったのかどうかが疑問なのですが、何せ人が集まるところなので、そういうところに出店しているということは皆に認知をさせるという意味では効果があったでしょう。しかし、既に十分認知されたブランドであればこのようなコスパの悪いところに固執する必要は確かにないですね。

 

5.一線市場が飽和、二・三線市場に注力

 一般的によく言われていることですが、一線都市が飽和気味であるのに対して、二・三線都市はまだこれから伸びていくと見られており、実際に伸びています。例えば、LVの北京や上海の店舗の売り上げは毎年5-10%落ちてきており、いろいろと手を打っているようですが思う通りにはなっていない模様です。一線市場は広告・マーケティングコストも二・三線都市に比べてはるかに高く、その割には効果が薄い。

 二・三線都市の勢いを見る上で分かりやすい例として成都があげられます。成都にあるLVに旗艦店が2010年9月にオープンした時、試営業当日で500万元も売ったそうです。今では成都は北京、上海に次ぐ売り上げを誇っており、年間で9億元も販売しているそうで、LVが成都に旗艦店を設けているというのも理解できます。ちなみにゼニアも成都での売り上げは中国で三番目に多いとのことで、決してLVだけの動きというわけではありません。

成都は街並みもしっかりしていますし、待ちゆく人も結構おしゃれで、以前から内陸マーケットの代名詞のように言われいましたが、まさにその通りの場所といえますね。

 

6.ぜいたく品消費の下降

 2012年に中国のぜいたく品消費総額は1150億元で増加率が7%、2011年は増加率が30%だったのに比べると大きく下がってきています。ぜいたく品を海外で購入する人も増えてきており、最近では贅沢ブランドの出店数も激減しており、グッチは今年新たな都市で店舗を開設を計画しておらず、エルメスも今年まだ一店舗しかオープンしていません。

 

7.商品を見る力がついてきた

 中国人のブランド好きはミエの部分もあれば、モノを見る目がなくて値段でしか判断できなかったりしましたが、最近商品を見る力がついてきたといわれています。ということは、無理に値段の高いブランド物なんて買わなくても、自分がいいと思ったものをリーズナブルな価格で買うという行動につながり、結果として影響を受けるのは贅沢ブランドということになります。これがもっと顕著になっていくと、「この年だでこれだけのクオリティのものが買えるのか」が売りの日本ブランド品のチャンスが増してくるかと思いますが、中国地場ブランドも力をつけてくるという点には留意する必要があるでしょう。

中国養老不動産ビジネス

 日本の高齢者比率は世界的にもトップクラスですが、中国はとにかく人口が多く、老人も当然のことながら非常にたくさんおり、また今後どんどん高齢者比率が高まっていくといわれていることもあり、多くの企業がこの点に着目し、養老ビジネスに参入しようとしています。日系を含む外資系も関心を持っている分野であり、私のところにも過去に何度も相談を受けたことがあります。ここでは中国における養老ビジネスの現状について少し紹介したいと思います。

 

 中国の養老ビジネスに参入しようとしている中国企業としては、不動産ディベロッパー、産業投資家、保険会社が主力となっています。そして最近では中信、中鉄、中融といった信託会社も参入してきていますが、ここでは不動産ディベロッパー、産業投資家、保険会社がどのようなビジネスモデルで展開しようとしているかを見ていきましょう。

 

1.ディベロッパー

 売却主体のビジネスモデルです。「度假(休みを過ごす)+養老」の販売モデル、または大部分を販売し、少しだけ自社保有するという「嵌入(埋め込み)式養老」モデルを採用しています。

 「度假(休みを過ごす)+養老」の販売モデルは一般住宅の場合と同じく売却によって利益を上げるというものですが、物件が高齢者向けの設計となっているので、建設コストが高めになり、売却価格もその分高くなってしまうという特徴があります。

「嵌入(組み込み)式養老」モデルは住宅と老人向け物件の二つを含んだものであり、住宅を販売することによって資金回収し、その資金でもって保有物件の運営の足しにするというものです。老人向け物件は一般の社区(社区という言葉は中国独特の言葉で適当な日本語訳がありませんが、草の根部分の地域社会を構成する住人による自治組織のようなもので、エリアを指すこともあります)に組み入れられており、賃貸されるのですが、これがあることによって住宅の販売を促します。「嵌入(組み込み)式養老」モデルは自社保有物件の比率が約20%と小さめであることから、全体プロジェクトに対する開発コストの影響も大きくないことがメリットとしてあげられています。

 

2.産業投資家

 産業投資家は通常自己保有モデルを選択します。小型の養老プロジェクトは一般的に保証金性を導入し、入居者が先に保証金を支払い、その後毎月賃料を支払い、最後に保証金を返却するというものです。このモデルは初期に回収する資金が少ないため、都市や成熟した社区が集まっている小型養老機構向けに多く見られます。

大型養老プロジェクトは通常は会員制を採用し、入居者から初期に数十万から100万元レベルの会費を納めてもらい、これにより建築コストを回収します。その後住宅のタイプによって毎年数万元の管理を徴収し、これが利益の源となります。この種のモデルは投資企業がプロジェクトの初期で大部分の資金を回収することができる点に特徴があります。ミドルハイエンド、規模が大きめ且つ土地の性質や政策制限により販売できない養老社区向け適合しているといわれています。

 

3.保険会社

 会員制をベースに養老保険とリンクさせるモデルです。保険会社は業界ルールによりこの種の不動産を長期保有することしか認められておらず、養老不動産プロジェクトを販売することもできません。そのため、できるだけ早期に資金回収するために、保険会社の養老不動産プロジェクトは一般的に保険商品とリンクさせ、保険購入者が保険を購入すると同時に養老社区に入る権利を取得するようなモデルとなっています。保険料は数十万元から数百万元と異なっており、期限満了後顧客は保険金を現金給付してもらうか、または直接入居賃料に充当するかを選択することができます。

 

 多くの企業が養老不動産ビジネスに参入していますが、まだ始まったばかりのビジネスということもあり、利益を計上するという意味でのビジネスモデルが確立されきっていないのが現状です。また、物件というハコが出来上がったとしても、それをいかにオペレーションするか、特に介護が必要なレベルの人を受け入れる場合、その受け入れ態勢や、まだまだレベルが低いといわざるを得ない介護士をどのように育成していくのか、そもそもハイエンド向けに対する料金設定はどの程度に設定すべきで、その対ソ湯がどれだけいるのか、といった問題もあり、これらを全部解決しようとすると、なかなか気の長いビジネスになるでしょう。短期で一期に回収するのではなく、ある程度長期的にプロジェクトを考えていく必要のある分野といえるでしょう。

社外取締役を辞任する役人及びそのOB

 日本の大企業ではすっかりおなじみとなった社外取締役。中国でも2001年よりスタートしており既に10年以上の歴史があります。もともと中国の社外取締役にはどんな人が多かったかといいますと、なんと役人やそのOBが多かったのです。なるほどぉーと思う人もいるかもしれません。社外取締役に役人やそのOBを迎え入れる狙いとはいうまでもなく人脈狙いです。人脈狙いだけでなく長年の経験を見込んでという人もいますが、そもそも会社経営を経験していない人たちなので、経営面でのアドバイスについてはあまり役に立たないようです。そもそも役人やそのOBが社外取締役を兼任する(OBだといわゆる天下りですね)ことに対してどのようなルールがあるかといいますと、《公務員法》によりますと、「公務員は公職を辞職または定年退職した場合、元々幹部メンバーだった公民が離職して三年以内、その他公務員は離職して二年以内は、元々の業務と直接関連する企業またはその他営利性組織で任職してはならず、元々の業務と直接関連する営利性活動に従事してはならない。」とあるように、一定期間を置かなければもともと関連した業界に関係する企業に勤めることはできないと定められています。なるほど。まあまあ厳しいルールですね。

 

ところが、昨年10月に《一段と党政領導幹部が企業で兼職(任職)することの問題を規範することに関する意見》が公布されたのですが、この通達を一部抜き出したのがこれです。

 

一、   現職と現職を担当していないが退(離)職手続きを行っていない党政領導幹部は企業で兼職(任職)してはならない。

(→当たり前ですが、現職役人は企業勤めをしてはいけません。)

 

二、   公職または定年定食(離職)した党政幹部が企業で兼職(任職)するには、(中略)幹部管理権限に従って厳格に審査批准を行うこと。

(→兼職(任職)する場合には審査が必要ということ。)

 

  公職または定年退職(離職)後三年以内は、本人が元々職務管轄を任されていた地区と業務範囲内の企業で兼職(任職)してはならず、元々の職務管轄業務と関連する営利性活動に従事してはならない。

 

 

 この通達は全部で十条あって、まあ大体同じような調子の文言が続いてます。そして、windという調査機関が統計したデータによりますと、この通知が出された2013年10月から2014年7月までで、300人近くの社外取締役が自主的に辞任しており、このうち、役人社外取締役は120人ほどだそうです。結構制限をかける通達が出てしまったので、取り締まられる前に自ら社外取締役の職務を返上した役人やそのOBがたくさんいたということがわかります。これが厳正に運用されるようになると、役人とそのOBは企業からお金をもらえなくなってしまいます。社外取締役ではなくて顧問や相談役ならいいのかと一瞬思いましたが、「営利性活動に従事してはならない」という表現だとお金をもらうことすらできなく見えます。

 

 公務員に対する目が厳しくなっていくととともに公務員人気が落ちてきていますが、この通達が厳しく運用されるようになるとさらに公務員人気が落ち込むことが考えられますね。