呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国を中心としたビジネスの最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社 TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

中国系の銀行にとっては国のルールも何のその

 うちのお客さんで会社名や経営範囲を変更した会社がありまして、そのお手続きをお手伝いしている一連の流れの中の出来事です。会社名が変わるので、印鑑も変わらないといけないのですが、日本と違って中国では印鑑作成は公安の許可をもらって、その許可証に基づいて印鑑作成の資格を持つ業者が作成します。会社名や経営範囲変更に伴う営業許可証の変更手続きも完了し、公安で印鑑作成の許可証をもらう手続きのことです。この許可証をもらう手続き自体はその場で完結するのですが、公安では印鑑変更にあたり同じ種類の印鑑が同時に二種類存在してはならないという考え方があり、印鑑作成許可証を発行するにあたり今ある印鑑の廃棄処分を行います。簡単に言うと、目の前で印鑑の文字面をハサミでぐちゃぐちゃにしたのであります。これを経て晴れた印鑑作成許可を発行してもらえるのですが、ちょっとややこしいことが起こりました。なんでも、中国系の銀行で使用する財務印というもの(いわゆる銀行員)の変更手続きを行う際に、旧印鑑と新印鑑が同時に必要だというのです。公安は先ほどの説明の通りで旧印鑑を廃棄処分にしない限り、新印鑑の発行許可は出せないというスタンス。とりあえず、財務印以外のほかの印鑑を優先して印鑑作成許可を発行してもらい、ほどなく印鑑作成業者より印鑑が届きました。

 

 さて、悩ましいのは銀行です。こっちでもいろいろと調べたのですが、公安の言っていることが正しいことがわかる根拠規定を見つけました。国家規定と上海市の地方規定ともにありましたので、ダブルでお墨付けをもらっているといえるのですが、銀行にとってはそんなことはお構いなし。国とか上海市の規定なんてどうでもいい、銀行のルール最優先だと譲らない。まるで北京の役人みたいなスタンス。どうしても公安の言う通り進めたいのなら旧印鑑を廃止して新たに作成した印鑑に対して公証手続きをしろといってきました。なんか論理が飛びすぎている。許可証なしで作成した印鑑は何も言わずに受け入れて、公安が発行する許可書に基づいて、印鑑作成の資格を持つ業者が作成する印鑑に対して公証手続きを要求するとは。逆じゃないかね?そもそも今使っている印鑑に対してそこまでやっているかどうかもわからん。

 

 あまりに訳の分からない考え方をしてくるので、銀行勤務時代の以前の同僚に確認したところ、「新印鑑があるだけではダメ」といわれてしまいました。同じ考え方かよ。。。ただし、もう一つの方法としては、印鑑作成許可書と新印鑑がセットであれば変更手続きは可能とのこと。これはわかる。すごくわかる。というか、こうあるべきでしょう。

 

 結局、中国系銀行はまったく聞く耳を持たず(そもそも電話口でも人の話を全く聞こうとしない)、しょうがないので印鑑作成許可なしで印鑑作成する業者を紹介してもらい、そこで印鑑作成をすることにしました。うちに出入りしている印鑑作成業者は許可書なしで作成するわけにはいかないというスタンス、個人的にも紹介してもらったその印鑑作成業者もよくやるなあと思うのですが、実際には銀行でしか使うことのない印鑑なので、また事務面でもそうしないとまわらないので、今回はこれで落ち着かせることにしました。しかし根拠規定もあるのによくここまで銀行独自のルールを押し付けるよな。印鑑作成許可に基づかない印鑑でいいのならその辺の印鑑屋で作ったものでも大丈夫ということですよね。いかにも中国らしい、久しぶりの疲れるやり取りをしましたわ。