呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国を中心としたビジネスの最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社 TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

越境EC政策が緩和とともに期限延長、2019年よりスタート

 越境ECの政策、具体的には越境輸入小売ECの政策が短期間の期限を設けられ、期限到来の都度更新されてきていたのですが、今年末期限だったのがさらに継続されることになりました。来年からのスタートですが、単純な継続ではなく、次の4点がポイントとしてあげられます。

 

(1)初回輸入のための許可文書、登録、備案(届出)までもが不要に

 初回輸入のための許可文書、登録、備案(届出)までもが不要になり、個人の持ち込みと同じレベルでの管理となります。それまでは、化粧品、粉ミルク、医療機器、特殊食品(保健食品、特殊医学用途配合食品等を含む)に対しては面倒な手続きがあったわけですが、これがなくなるということです。

 

(2)政策の適用エリアを拡大

 政策の適用範囲を従来の天津、上海、杭州、寧波、鄭州、広州、深圳、重慶、福州、平潭、合肥、成都、大連、青島、蘇州の15都市から、北京、瀋陽、南京、武漢、西安、厦門等を追加して合計22の新設越境Eコマース総合試験区を設ける都市にまで拡大します。

 非試点都市の直接購入輸入業務は関連政策に従って実行されるとのこと。

 

(3)優遇政策を享受できる商品範囲を人気のあるものについて63品目を追加。

 越境EC小売輸入リスト内の商品は限度額内ゼロ関税、輸入環節増値税及び消費税が法定課税額の70%で徴収するというベースに下で、さらにこれを適用する商品の範囲を拡大します。63品目を追加するとのことですが、具体的に何かは今のところ分かりません。判明次第修正追記します。

 

(4)一回当たり購入限度額を2000元を5000元、年間限度額を2万元から2.6万元に引き上げ。

 日本円ベースでいうと約10万円の年間枠が増加します。個人ベースではこれで十分でしょうし、そもそも日用品類が人気の日本商品を好む一般の人にとってこのレベルで十分でしょう。

 

 これはこれで緩和といえますが、一方で来年からスタートする電子商務法に対して警戒する見方もあります。電子商務法ではネット販売する人は原則としてすべて経営者としての登記を要求しており、これがくそまじめに適用されると代理購入ビジネスへの影響は少なくないといわれています。代理購入とは関係ないところで越境ECで購入する人にとってはあんまり変わりがないとは思いますが、商品を売る側としては今回の緩和策よりも、電子商務法に依る代理購入減少の方の影響が大きいかもしれませんね。

 代理購入の減少は空港での取り締まりがどこまで厳しくなるのかによるところがあり、9月末あたりに上海の空港で厳しく取り締まられ、かなりの税金を払わされた人が出たというような報道もありましたし、知人でもたかだか自分が使うためのiPhone一台を持ち込んだだけで900元も税金を払わされた人がいましたが、個人的には10月も11月も特に荷物検査されることもなく通過できていますし、チェックされた人も見ませんでしたので、継続的に厳しく検査するというよりは気の向いた時だけ検査するという、昔と変わらないといえば変わらないのが現状ではないかと。ただし、どこかの気まぐれで厳しくチェックし始めることもありますし、代理購入する人からするとその動きが気になるところでしょう。

ofoに続き電動シェアサイクルの享骑出行でも保証金返却が遅延

 多忙と体調不良のためなかなかかけず久しぶりの投稿になります。

 シェアサイクルのofoの経営危機がここ最近話題になっています。保証金がなかなか返ってこないとか、サプライヤーが代金を回収できないとか、破産するんじゃないとか。もともと私もofoのアカウントは持っていたのですが、このままじゃ保証金が返ってこないのではないかと思い、チャージを使い切った段階で解約申請し、ほどなく保証金が返ってきました。ひょっとするとスムーズに保証金が返してもらえる最後のタイミングだったのかもしれません。

 

 同じような話が緑の電動シェアサイクル享骑出行で起こっています。オレンジのモバイクや黄色のofoよりも台数も少ないし、駐輪場所もある程度限られているので乗ったことがない人も多いのではないかと思いますが、存在くらいは知っているのではないでしょうか。

 

キャプチャ

 

 この緑の電動シェアサイクル、これもofoに負けず劣らず不良車両が多く、電池不足はしょうがないとして、電池がたんまりあるのに動かない、座席が変な角度になってしまっていて普通に座ることができない、というのが多く、一度あったのは乗り始めて初めて気づくのですが、なんと前も後ろもブレーキが利かない等のもありました。その時は両足を地面に擦り付けて、フットブレーキ全開で無理やり止めました。あと、アプリの反応も悪く、返却したいのにアプリが反応してくれず返却できず、何時間もたってからようやく返却できたなんて言うのもありました。こんな状況なので、チャージを使い切ったら保証金299元を返却してもらおうと思っていたところ、ここでもofoと同じく保証金がなかなか返却されないという状況にあるようです。保証金返却申請をすると、いちおうは7-15営業日以内に帰ってくることになっているのですが、この期間内に帰ってこないという事態が散見しているようです。これに対して、オフィスまで行って直談判すると帰ってくるという話が出てきています。単純に面倒くさいですよねえ。遠方に住む人であればなおさらです。ところがなんとこれをビジネスにする人が出ていて、どういうことかというと、保証金を返却してほしい人から手数料をもらい、代わりに享骑出行のオフィスまで行って保証金返却手続きをしてくるというものです。もちろん、一人だけのためだと割が合わないので、何口も受け付けてから行くと思うのですが、ある程度まとまったアカウント数だと確かにちょっとした小遣い稼ぎにはなります。もし自分で返金申請して規定期間内に帰ってこないようであれば頼んでみようかなあと思います。

 

 しかし、あれだけ話題を振りまいたシェアサイクル事業、採算面ではどこも黒字化していないはずで、バックに大資本がついているところだけが何とか生きている状況かと。ofoも享骑出行も今の体制では時間の問題かも。

今一度自社商標の登録状況を確認しよう!

 昨年あたりから弊社にも知的財産に関係する相談が増えてきています。有名どころでもこの問題に苦しめられている企業がいます。例えば、無印良品がそうです。現地報道によりますと、北京棉田紡織品有限公司なる会社が株式会社良品計画と無印良品(上海)有限公司を商標権侵害で争い勝訴したという記事が出ています。

 

 判決によりますと、「無印良品」商標は海南南華実業貿易公司が24類(綿織物、タオル、シーツ、枕カバー、布団カバー等の商品)で登録したものであり、その後北京棉田紡織品有限公司に譲渡され、同社が北京無印(北京無印良品投資有限公司という北京棉田紡織品有限公司の子会社)に中国での商標権独占使用権を与え、長期にわたって使用してきたとのこと。そして、北京棉田紡織品有限公司の持つブランドであるNatural Millは消費者からは日本の無印良品の代替品とみなされてきたとのこと。ちなみにNatural Millの看板を掲げている店舗はこんな感じです。なんだかなあ。

 

2

1

 

 悪意があるようにしか思えないのですが。

 

 株式会社良品計画は2001年に商標登録に対して異議を申し立てたのですが、複数回にわたって差し戻されています。2012年には異議を申し立てた商標について中国最高人民法院が商標登録を取り消ししないとの裁定を下しています。このため、今回の裁判において人民法院は、2005年に上なってようやく上海に法人を設立した日本無印良品は北京棉田紡織品有限公司の持つ商標権を侵害したものと判断し、日本無印良品に対して62万元の賠償を命じたのです。つまり、この24類の商標に関して、日本無印良品は中国では使用することができないという結果が出てしまったのであります。なお、商標は大分類として2桁の数字があり、それのさらに細かいものとして4桁の類似群というものがありますが、類似群馬で見た場合、株式会社良品計画が有している商標もあります。

 

 では、良品計画は中国の商標権に関して果たして無策であったのでしょうか。調べるときりがなくなるので、ここでは「无印良品」の文字商標についてみることにします。

 

 「无印良品」という文字商標は、認められなかったケースも含めると214個出願されています。もっとも古いものは盛能投資有限公司という会社が1994年2月に申請しておりますが、すでに期限が到来してしまっており、期限更新はされておりません。その次が杭州無印良品服飾有限公司により1998年9月に出願申請が出されましたが不受理、そして1998年12月に瀋陽太舜企業管理顧問有限公司が出願申請しましたが、これも今では無効となってしまっています。その次が株式会社良品计画で1999年11月と12月で9つの分類で出願申請をしています。そういう意味では、株式会社良品計画も早い段階から動いていたといえるでしょう。このころに出願申請したものに限定して言いますと、期限到来後継続しなかったものも多く、今でも有効なのが3類・25類・35類の3類です。

 

 今回の争いの相手となった北京棉田紡織品有限公司についてみますと、今回の報道では24類が取り上げられていますが、これを2000年4月に出願申請をしています。北京棉田紡織品有限公司の最近の動きを見ますと、今年3月にまた24類で出願申請をしており、出願は受理され、これから審査に入ろうという段階にあります。同社は昨年8月と12月にも24類で大量に出願申請しています。類似群を増やして申請したのでしょう。株式会社良品计画も昨年12月に24類で出願申請を提出しているのですが、今年9月に差し戻されてしまっています。北京棉田紡織品有限公司の動きに影響されたことは間違いないでしょう。

 

 株式会社良品计画が24類の出願を行っていなかったのかというとそういうわけではなく、ちゃんと出願申請を過去に出しておりますが、類似群で押さえ切れなかったものがあるということでしょう。現時点において不足しているものを埋め合わせるべく出願申請中受理待ちのものもありますが、今後どうなるかはわかりませんが、あまり楽観することはできないように思います。

 

 さて、先願主義という考え方がベースになっているので、一度商標登録されてしまうとなかなか取り戻すことはできません。それゆえ、商標権というのは非常に大事に扱うべき、意識すべきものであるといえます。先日もとある会社が中国進出について相談に来られたのですが、商標権について話題になり、その場で調べたところなんと中国のパートナー企業が無断でその会社のロゴの商標出願申請をしていることがわかってしまいました。知らない仲ではないので、このようなことをするのであれば少なくとも何かしら一言言ってくるべきところ、知らない間に出願申請されたようです。親しき仲にも礼儀ありといいますが、礼儀云々の問題ではなく、そもそも黙って進められていることが問題なのであります。こんな事例もありますので、中国にすでに進出している企業、これから進出しようとしている企業は、いまいちど自社の商標の中国における状況を確認しておく必要があると思います。まったく中国市場に関心がない場合でも、自社のロゴが知らない間に登録されてしまうのは不愉快なはず。こないだ紹介したかに道楽のようなケースもきっと不愉快に感じているはずだと思います。一番よくないのは心配だけして、紋々とだけして何もしないことですよ。ですので、やはり確認くらいはしたほうがいいでしょう。