2020-01-17

2019年上海大卒初任給が7000元突破?

 上海市人力資源社会保障局就業促進中心と上海市学生事務中心というところが共同で発表した《上海市2019届高校卒業生就業状況報告》(ここでいう高校は大学とほぼ同義)というレポートによると、2019年に上海で就業を登記した大卒新卒者の平均給与は7,103元/月で、これは2018年の6,024元/月と比べて1,079元、上昇率でなんと17.9%も上昇しています!

 上海市人力資源社会保障局の方によると、新卒の給料がこれだけ上がった要因としては、

①2019年の上海市社会保険納付上下限に調整が加えられたこと

②国内の少なからずの大型、影響力のある科学技術型企業が上海の「科創中心」建設にあたり、2019年に上海の産業投資に注力し、新卒者に対する採用ニーズが増加し、こうした企業の給与は比較的高く、これが全体の平均を引き上げた。

 要因はいろいろあるのでしょうが、大学新卒初任給が7000元越えの時代に入ったということです。あくまで大学新卒者の平均であり、学歴問わずの初めて就職する人の平均とは違いますので、高めの金額にはなっていると思います。これに対して日本でいうヤフコメのようなコメント欄を見ますと、

・レベルの高い大学しか調べてないのでは?

・今時臨時工ですら6000-7000元もらえるのに、上海でこのレベルってどうよ?

・上海でこの2年間で知り合った人のほとんどが7000元ももらってない、まして新卒者なんて。

・大卒新卒者の初任給に抜かれそう!

・鏈家(不動産仲介会社)だと大学本科新卒の初任給は8000元から、自分は来たばかりだが、大使が実績もなく8000元もらってる。

・上海の生活コスト、家賃とか考えると7000元ないとしんどいよね。

・上海で7000元って高くもないでしょう。

・1万元の人もいれば4000-5000元の人もいるだろうから、7000元と聞いてもそんなものかと。

 まあ、いろんな考え方があるわけですが、給料が上がっているのは間違いないです。ここ最近仕事の関係で求職者の求める金額水準を見る機会が多いのですが、上下の幅は広いものの、上の方はかなりの金額を求めているのがよくわかります。

 給与水準に関しては多くの企業が関心を持っているので、このテーマで書いていますが、そのきっかけとなったのはこの求人。twitter界隈では話題になってますが、一応会社名は伏せときます。

(1)マーケティング職

「中国語ネイティブ、日本語・英語ビジネスレベル」や「日本語1級」とあるので、普通に考えれば中国人人材を想定しているのでしょう。そして求めているキャリアが、

「証券会社、銀行、ファンド、コンサル、調査会社等での調査
分析(アナリスト・リサーチャー等)のご経験 」これ必須。

結構ハイスペックな要求といえます。そして、これに対して提示している待遇が、

「日本・円200万円以上」   !!!

 このスペックを年収200万円以上という条件で採用しようとしているのは、しかも新卒ではなくて中途ですよ!しかもトリリンガルですよ!これはもう中国の金融系の給与水準を分かっていないとしか言えないでしょう。いちおう200万以上なので、上限は設定されていませんが、200万という金額を見ると引いてしまうのでは。しかも非日本人採用で、中国勤務で、提示給与が人民元建て。ちょっと不思議。

もう一つの職種を見ていきましょう。

(2)コンサルタント職

学歴要求は大卒または大学院卒以上、語学要求が

・日本語がビジネスレベルで、日本語でのレポーティングが可能
・中国語がネイティブレベルで、ビジネス上で必要とされる中国語の読み書きが可能

これをみると、日本人ではなく、上と同じく中国人を募集していると理解できます。

ところが、
・海外勤務(上海を予定)が可能

これが要件になっているので、非中国人も対象になっているように見えます。海外在住中国人狙いか?

そして、給与水準がこれ。

<月給>
160,000円~352,000円
基本給:160,000円~352,000円

 一つ目もそうなのですが、中国勤務前提で中国人採用っぽく見えるのになぜか人民元ではなく円建て。ちょっと不思議です。上限を見ると352,000円で、これだと約2万元。これだったら一つ目と違ってわからなくもないかな。ただし、募集要件に加えて歓迎条件というのがあり、

・金融機関、プロフェッショナルファーム、事業会社の企画部などにて、特定の業界や企業に関する調査業務の経験

おそらく上限の給与はこのスペックが要求されているのではないかと。まあ、人によっては2万元でも働くかも。でも、今の金融機関やプロフェッショナルファームの待遇を考えると、この金額で働く人のレベルは限界があるかと。

そして、待遇をもう少し見ていくと、

<待遇・福利厚生補足>
通勤手当:交通費支給
家族手当:子供手当あり
社会保険:補足事項なし

とありまして、通勤手当や家族手当があり、とっても日本的。そして社会保険が補足事項無し。今のところ上海では外国人の社会保険はうるさく言われてませんが、中国人を採用すると社会保険はつきものなのだが。

 ということで、スペックに対して提示する金銭面での待遇にクエスチョンマークを感じ、提示している通貨にクエスチョンマークを感じ、福利厚生を見るとこれまた何人を採用しようとしているのかクエスチョンマークを感じ。これをご覧になって、皆さんはどう感じられますでしょうか?

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