トヨタ中国公式サイトによると、レクサス中国執行副総経理の李暉氏がこのほどトヨタ中国総経理に昇格したのですが、なんでも、日本人以外で総経理に就任するのは初めてとのこと。非日本人(華人)総経理という紹介会が多く、華人なので非中国籍なのかとも思ったのですが、中国国籍総経理という記事もありましたので、非中国籍華人ではなく中国国籍の人になります。
トヨタ中国初の非日本人総経理に李暉氏が就任!その背景と意義
李氏は1969年生まれ。2000年に広汽集団に入社し、2009年に広汽トヨタ販売部副部長、2013年から広汽トヨタ執行副総経理、2019年からレクサス中国執行副総経理に就任し、自動車業界でのキャリアは通算で30年以上にわたります。
中国自動車市場でのトヨタの現状:EV化の遅れと販売台数の変動
世界的には販売台数からして一人勝ちしているように見えるトヨタですが、中国市場では違う姿を見せています。トヨタ中国の2023年の年間販売台数は188.24万台で、2022年に比べて前年比0.29%減少しています。その中で広汽トヨタの販売台数は90.1万台で、前年同期比5.47%減少。一汽トヨタの販売台数は前年同期比4.1%増の80万台となっていますが、レクサスの販売台数は18.14万台で、前年同期比でやや減少しています。そして2024年は一汽トヨタが79.8万台(▲0.5%)、広汽トヨタが77万台(▲14.5%)で着地しそうとのこと。これにレクサスの販売台数を合わせると、トヨタ中国の2024年の販売台数は前年同期比6.9%減の約178万台に落ち着く模様です。こと中国市場においては苦戦しているといえるでしょう。そして、苦戦している要因は中国自動車市場のEV化が加速しているのに対して、その対応が遅れているのは言うまでもないでしょう。
EVって本当に気候変動対策になるの?EV化でどこかで頭打ちになって逆戻りするんじゃないの?という声も聞かれます死、個人的にもそう思う部分もあるのですが、少なくとも今現在における中国自動車市場ではEV対応しない限り戦っていくのは難しいでしょう。現地にいる人は中国自動車市場のEV化を目の当たりにしていましたが、コロナ禍で中国にやってこれなかった日本にいる海外担当の方々が、現地に来てその流れを肌で感じにくかったこともEV対応で遅れを取った要因の一つかもしれません。
李暉氏の輝かしいキャリア:広汽トヨタからレクサス中国までの歩み
さてここで改めて李氏のキャリアを見てみましょう。
2000年 李暉は広汽集団に加入
2009年 広汽トヨタの販売部副部長に就任。積極的に販売チャネルを拡大して、広汽トヨタの販売量増加に貢献。
2013年 広汽トヨタの執行副総経理に昇進。広汽トヨタの中国側管理チームの中核メンバーとなる。2015年から2018年まで、広汽トヨタの販売台数は40.3万台から58万台まで増加。
2019年 レクサス中国執行副総経理に就任。2024年1~11月において、レクサスは中国市場で累計16.4万台(前年比+4%)を販売し、同期間の輸入高級車シェアの24.8%を占め、第1位となる。
トヨタの現地化戦略と日本本社への中国国籍役員登用の可能性
以上を経て李氏はトヨタの中国総経理に就任に至りました。これまでの貢献に対する評価を行ったうえでの人選であるといえます。これを以て、トヨタは現地化を推進していくという記事が多く、確かにそれが狙いであるでしょうし、興味のあるところですが、別の観点で見ていきたいと思います。日本本社の取締役或いは執行役員に中国法人の中国国籍の人がいるのか否か。トヨタの場合は、李氏が総経理になったばかりなので、日本本社で取締役とか執行役員になっておらず、もしなるとしてもこれからのことになりますが、トヨタの取締役構成を見ますとすでに外国人も含まれており、今後中国国籍役員が誕生する可能性も十分にあるといえるでしょう。
中国経済とトヨタの未来:役員構成から見る多様性への期待
日本本社で中国国籍の役員は果たしてどれくらいいるのか、以前調べたことがありますが、まあまあいらっしゃいます。外資系他社から引っ張ってこられたような人、現地法人で成り上がってきた人、日本入社でその後中国現地法人にやってきた人、いろんなパターンがありますが、傾向としては日本留学経験があり、その会社での勤務経験が長い人が相対的に多いという傾向が見られます。色々といわれている中国経済ですが、ボリューム自体が大きいのは間違いなく、業績に占めるシェアも大きいはずですから、今後ますます日本本社での取締役或いは執行役員としての中国人社員の台頭が期待されますね。
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