2月7日、全国企業破産再生案件情報網は、蘇寧電器集団有限公司、蘇寧控股集団有限公司、蘇寧置業集団有限公司が再生を申請され、関連事件は南京市中級人民法院に受理され、4月2日に第1回債権者会議を開催すると公告を発表しました。え?あの蘇寧が?ラオックスを買収したあの蘇寧?でも店舗はまだ運営しているのでは?今日はこのあたりについて紹介していきます。
蘇寧グループの再生申し立てとは?

蘇寧と聞いてすぐに思い浮かぶのは店舗、そして店舗を運営している主体は蘇寧易購集団有限公司という会社です。同社は中国連鎖経営企業協会が発表した2023年中国チェーンストアランキングで売上高第3位(第1位はウォルマート中国)と規模が大きいのは言うまでもなく、利用した人、見かけたことのある人は多いでしょう。実はこの度再生を申請されたのは蘇寧易購ではなく「蘇寧電気集団有限公司」、「蘇寧控股集団有限公司」、「蘇寧置業集団有限公司」の3社です。このうち「蘇寧控股集団有限公司」と「蘇寧控股集団有限公司」は「蘇寧易購集団有限公司」の株主でもあり、蘇寧という看板にとってマイナスイメージなのは間違いないでしょう。
インテルからカルフールまで…巨額投資の末路

蘇寧は手を広げ過ぎたといわれていますが、たしかにかなり手を広げてきました。「多元化の発展を実現」するために、2012-2020年の間に蘇寧は数多くに投資を行いました。PPTV(3.34億ドル)、サッカーイタリア・セリエAのインテル(2.73億ユーロ)、万達百貨(27億元)、天天速達(42.5億元)、カルフール中国(48億元)、万達に出資(95億元)、螞蟻(2022年に上場しようとするも上場延期)に投資(140億元)、日本でも話題になったディベロッパーの恒大(200億元)に投資してきました。そして、どれもこれもが期待された相乗効果をもたらすことなく投資としては失敗だったといえ、財務負担を重くしてしまったと言わざるを得ないでしょう。
数年前から感じてた蘇寧の経営難

こんな状況もあって、蘇寧がやばいのではないかというのは数年前から感じていました。その感覚をもとに現代ビジネス向けに執筆したのが2023年11月20日付でアップされたこれです。
上海の日本人御用達スーパー「カルフール」が「夜逃げ同然」のガラガラ…わずか4年で200店舗も減った「ヤバすぎるワケ」
タイトルは目を引きやすいようにカルフールを前面に出していますが、アピールしたかったのは蘇寧の状況がいかに苦しいかという点です。
蘇寧易購は“安全圏”なのか? グループの構造を図解してみた!

再生申し立てされたのは蘇寧電器集団有限公司、蘇寧控股集団有限公司、蘇寧置業集団有限公司の三社です。いずれも創業者は張近東氏で、同氏は蘇寧控股の51%、蘇寧電器の50%、蘇寧置業の55%の株式を保有しています。そして、蘇寧控股集団と蘇寧電器集団はいずれも蘇寧易購の株主で、現在それぞれ2.75%と1.4%の株式を保有しています。

資本構造的には確かに蘇寧易購はセーフなのかもしれないですが、ここはここで爆弾を抱えています。現代ビジネスへの執筆記事に書いてあるのですが、カルフールを買収したのは蘇寧グループの蘇寧国際集団股份有限公司であり、この100%親会社が蘇寧易購なのであります。そして、蘇寧国際集団股份有限公司は現代ビジネスの記事にあるように、カルフール中国の買収代金の支払いをまだ終えていない(正確に言えば、支払人は蘇寧国際集団股份有限公司で、蘇寧易購はこの支払に対する保証人)ことによるトラブルがまだ解決してない状況にあります。
未払い問題を抱えるカルフール中国買収の影響と最近の売り上げ

そして、蘇寧易購の業績を見ましても
2020年 | ▲42.75億元 |
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2021年 | ▲432.65億元 |
2022年 | ▲162.22億元 |
2023年 | ▲40.89億元 |
4年間の合計純損失は700億に達して、過去30年で貯め込んできた蓄えのほとんどを失ったと言えます。2024年度は5~7億元ほどのプラスになったようですが、700億元と比べると屁へのツッパリにもならないでしょう。最近では以旧换新补贴政策などもあり、販売面へ貢献していますが、相当な努力をしない限り、今までのマイナスをカバーするのは難しいといえるでしょう。加えて先に紹介したカルフール中国買収に伴う未払金の問題もあります。
再生申し立ての行方──蘇寧は復活できるのか?

再生申し立てされた蘇寧電器集団有限公司、蘇寧控股集団有限公司、蘇寧置業集団有限公司の三社はともかく、ネット販売にも対応しているとはいえ、家電量販というビジネスモデルの蘇寧易購は今後復活を遂げるのか?カルフール中国買収に伴う未払金問題と中国の消費者マインドの回復度合い、この二つがカギになるでしょう。
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