2009-05-21

中国の旅行業は完全に開放されたのか

  《旅行社条例》及び《旅行社条例実施細則》が5月より施行されることになった。これにより外商投資による旅行社の設立要件が大幅に緩和された。具体的には、独資での設立要件として投資者資格として従来は5億米ドル以上の年商、合弁の場合だと4000万米ドル以上の年商が要求されていたものが、内資企業と同じく扱いとなったことからこのような要件なくなった。また、必要とされる資本金も外商独資または外資マジョリティで400万元となっていたものが、内資企業と同じく30万元でよくなった。日本市場も飽和している中、お隣の国中国から多くの観光客を引っ張ってくるというのは今後の旅行業界の生き残りのポイントになっていくだろう。しかしながら、よーく見てみるとまだ完全に開放されたとはいえない。

  一部で外商投資による旅行社も中国公民の出国業務を取り扱いできるかのような報道が見られた。日本の旅行業界が取り込みたいのはこの部分だろう。確かに《旅行社条例》ではその第8条で、「旅行社は経営許可を取得して満二年で、且つ旅行者の合法権益を侵害することで行政機関の罰金以上の処罰を受けるようなことのない場合、出国旅行業務の経営を申請することができる。」とあり、これが外商投資による旅行社でも2年後には中国公民の出国業務が認められるというように読み取れる。しかしさらによーく見ると第23条に、「外商投資旅行社は中国内地居住者の出国業務及び香港島別行政区・マカオ特別行政区及び台湾地区の旅行業務を経営してはならないが、国務院が決定またはわが国が締結した自由貿易協定及び内地と香港、マカオの更に緊密な経済貿易関係建立の取決めで別途規定しているものを除く。」とあるように、通常の外商投資旅行社は2年経過しても中国公民の日本への出国業務を取り扱うことはできない。もちろん将来的に更なる緩和が図られれば別だが、少なくとも現時点では2年後に外商投資旅行社による中国公民の出国旅行業務の取り扱いは認められないといわざるを得ない。

  間接的にではあるがこの問題について上海市旅游委員会と上海市商務委員会に問い合わせてみた。

  そして得られた回答は次のようなものであった。

1. 現行政策に従って、現在であろうが二年後であろうが中国公民出国の旅行業務を行うことはできない。

2. 香港・マカオ・台湾による出資も外商による投資であることから、香港・マカオ・台湾出資による旅行社でも出国旅行を経営することはできない。

3. 広東省に設立した外商投資旅行社は、中国国内旅行、入国旅行及び香港・マカオ旅行を行うことができる。広東省以外で設立している中国地区の外商投資の旅行社は、現在のところ中国国内旅行と入国旅行しか行うことができない。

4. 二年後の政策に一段と開放される可能性はあるが、現段階では肯定的な回答を行うことはできない。(国家旅游局の回答)

  やはり当面は外商投資による旅行社の中国公民の出国業務を行うことが認められないようだ。要するに出国と言うものに対するガードはまだきついということだ。そもそも中国地場の旅行社ですら2年間経営して初めて出国業務が認められるくらいなので、中国政府からすると「中国公民の出国」というのは今のなおセンシティブなことなのだろう。時代の流れと共に緩和されていくのは間違いないだろうが、これが完全に開放されるのは中国地場の旅行社も含めてさあて、いつ頃になるだろうか。

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