2009-11-18

企業合併買収の60%が当初期待を実現しておらず

  トーマツが《中国企業の合併買収後の文化融合調査報告》を発表した。これによると、2009年の第一四半期において、中国が関係した合併買収の取引金額は次のとおりだ。
種類
金額
中国企業間に合併買収
82億米ドル
中国企業による海外企業の合併買収
49億米ドル
海外企業による中国企業の合併買収
229億米ドル
  そこそこの金額といえるだろう。しかしながら、この中の60%の企業が必ずしも合併買収により期待していた商業価値を実現しておらず、そしてその3分の2が失敗の原因は合併買収後の文化の融合がうまくいかなかったことによるものと感じているという結果が出ている。多くの企業が合併買収後の企業文化の融合に関心を持ち、相応の対策を打っているようだが、実際にはそれほど効果的ではないようだ。
  合併買収前の期待感についてだが、55%の企業が合併買収前に期待していた文化融合モデルを融合式、つまり合併買収双方が文化上互いに浸透させ、補い合い、各々が調整を行うものだとしている。そして35%の企業が被合併買収側が元々有する文化体系を完全に放棄し、合併買収側の文化を採用することを期待している。しかしながら、実際の調査によると、60%の企業が合併買収後の新会社の文化は合併買収側の文化を受け入れており、30%の会社について双方が融合した文化となっている。この結果は合併買収前に考えていたこととは一致していない。
  ズレはこれだけではない。75%の企業が合併買収後に使命、展望及び戦略目標を制定しているが、以下のような結果が出ている。

新会社の希望や価値観の宣伝が十分でないまたは不明確であると思っている
40%
管理層が政策決定方式の選択において双方の文化と優勢分野の差異を十分に考慮できていない
15%
従業員がポイントとなる業務要求に対する理解、例えば品質、効率のバランス、長短期利益のバランス方面に一致を達成できていない
15%
   成功している企業のは二つの特徴があるという。
  1.一強一弱の合併買収
  合併買収後の新会社は合併買収側の文化特徴を主とするが、だからといって被合併買収側の文化を否定せず、むしろ良い部分を吸収し、元々の文化に対してより改善した革新的なものとする。
  2.強強連合の合併買収
  合併買収後の新会社は十分に互いの文化を尊重し、相互に補い合い、「第三種の文化」を形成する。
  ただし、現在のところ中国国内企業の大部分の合併買収においてこの二つのような動きはなかなかみられていない。
  大部分の企業が合併買収後の文化の融合を重視すると発表しておきながら、現実には合併買収後の初期段階において、文化の相互受け入れに対して十分重視されていないようだ。重要度は高いと思っているものの優先度が低いというほうが正しいだろうか。異文化の融合はそれほど難しいということだ。合併買収前に相手企業に対する財務・法務を中心とするデューデリジェンス、あるいはさらに踏み込んだ将来どうなるかという意味での事業性や業績改善の可能性、将来キャッシュフローに対して、影響を与える要素を把握するためのビジネスデューデリジェンスで行ったりするが、これらのプロセスでは企業文化についてはなかなか見えづらい部分もあるだろう。実際の話し合いの中で感じ取ることになるだろうし、実がこれが一番大切なのかもしれないと思ったのであった。
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