2010-10-18

中国における薬品のネット販売

 今年9月に国内最大の薬局チェーンである海王星辰が発行するインターネット薬品取引許可証を取得した。これを取得した企業としては30番目になる。


 現在中国には単体薬局が37万店、チェーン薬局が15000店もある。これだけの数があるのにこの許可証を取得したのが30番目というのはかなりハードルが高いということがわかる。現在
国内の薬品のネット販売はB2BB2Cの二つに分かれており、このいずれも国家食品薬品監督管理局の審査を通過して初めて許可証が発行される。なお、許可証には情報サービスの提供のみを行える「インターネット薬品情報サービス許可証」とネット上での取引が可能な「インターネット薬品取引許可証」の二種類がある。中国ナンバー3の薬品卸売会社である九州通集団は昨年9月に取引許可証を取得した。同社の責任者によると、取引許可証の発行審査は非常に厳しく、企業はGSP(薬品経営品質管理規範)認証を通過した医薬チェーン企業以外に、独立した情報システムの構築や独立サーバーの使用等といったEコマース上で一定の要求を満足させる必要がある。中国ナンバー3の九州通集団といえども取得までに7ヶ月を要したが、これでも早い方だそうだ。例えば、健客網というウェブサイトが200912月に取引許可証を取得している。ここは広東省で初めて薬品のネット販売が認められたところであるが、なんと2006年から申請していたという。この他、とある医療器械チェーン経営企業が3年前に申請を提出しているが、いまだに取引許可証を取得できていない。国家食品薬品監督管理局は不合格というわけでもなく、追加資料を要求してきてはなしのつぶての繰り返しという。


 管理部門が薬品のネット販売を認めない要因としては、ひとつは処方の真実性を判断できないこと、もうひとつは処方薬の配送中に安全問題が発生しないかという点だ。しかし、これらについて諸外国では特に問題となっていない。この他、ネット上での薬品購入に際して医療保険カードを利用できないという問題もある。


 このようになかなか許可証を取得できない状況にあるため、逆に許可証を取得していないサイトが1万あまりも乱立してしまっているという。こういったところは当然のことながらいい加減なところが多いのだが、だからといって取り締まるだけのマンパワーもないようだ。

取引許可証の発行は2005年より開始しており、2010年までの5年間でわずか20社しか批准されていない。そして2010年以降はこのスピードが増しており、今年9月まで出新たに批准された件数は以前の5年間合計の50%を超えている。また、国家食品薬品監督管理局は取引許可証の審査権限を各省に委譲しようとしており、20111月にはこの許認可権を省レベルに委譲するという情報がある。そうなると、薬品のネット販売に取り組む企業が増加し、薬品市場に大きな変化が生じることが十分に考えられる。

 中国の薬品ネット販売のマーケットは一億元程度といわれており、これは諸外国と比べるとかなり小さな数字である。アメリカでは薬品のネット販売が既に薬局販売の30%1700億米ドルに達しており、プレイヤーも1000社を超えている。ヨーロッパではこの比率は20%に達している。これだけ諸外国に引き離されている原因としては、法的な整備がされていないことにある。例えばヨーロッパ、日本ともネット上で処方薬の販売が認められているのに対して、中国では同様の法令法規がないため、ネット小売企業は処方薬を販売することができない。処方薬が売上面でも利益面でも非処方薬よりもずっと大きいにもかかわらずだ。

 中国において、薬品販売は80%が病院で、ネット薬品販売小売商は処方薬を販売することができない。同じ薬品が薬局では病院より25%50%低く、ネット上では薬局より5%10%低いのだが、旨味の多い処方薬が開放されなければネット販売に大きな優位性はない。加えて、医薬製品の物流に対するスピード要求も普通の製品よりもずっと高く、薬局がかなり普及している状況において、病気になった場合、一日薬品を後日届けてもらって満足する人はおらず、自ずと薬品ネット販売は一部の慢性病または保健類製品に特化することになるだろう。

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