2010-11-30

本物志向

 日本語で本物志向というと、よりこだわりのあるものを志向するという意味があるが、ここでいう本物志向とは単純にニセモノではなくて本物を志向することを言う。

 

 華致酒行という会社がある。名前のとおりお酒を売る会社だ。

 

 

  

(クリックするとご覧になれます)

 

 中国では偽酒が多い。有名な白酒は50%以上が偽者とも言われている。同社の呉董事長はこれをチャンスと考えた。もし本物だけを販売する高級酒類専門チェーン店を開けば受けるのではないかと。そして、2005年9月に実家のある湖南醴陵県で華致酒行の一号店を開店した。商品は本物、西洋風の内装、専門的な商品紹介、ハイレベルなサービスといった要素でブランドポジショニングの差別化を図ったところ、この店舗だけで年商数百万元を突破した。家電であれば家電量販店で買えばいいのだが、お酒となるとどこで買っていいかわからないという心理をついたのが当たったのだ。

 

 次の課題はどのようにして店舗を増やしていくかだった。中国国内のチェーン業界には主として二つの発展モデルがある。一つが直営で、もう一つがチェーン加盟(フランチャイズ)だ。直営店は自社の思いのままの展開できるものの、その反面大きく展開しようとすると資金負担が大きい。チェーン店の場合はその逆で自社の資金負担は軽減できるものの、加盟店の振る舞いによってはブランドに悪影響が生じかねない。そこで同社が考えたのが「準直営モデル」という、直営と加盟の中間のモデルだ。準直営モデルとは、同社の傘下にある店舗が現地の商売人と一緒に開店し、同社の要求するレベルに達した後に「合作経営者」と同社の管理部隊が実地調査を行い、適切な店舗を賃借し、さらに同社が資金を投入して店舗の内装を行い、そして合作経営者と一緒に店舗管理、従業員訓練及び販売補助を行うというものだ。同社の負担が大きい分合作経営者にとっては非常にメリットが大きい。このモデルにおいて、同社は酒類メーカーから調達した商品を店舗に卸す時点で利益を上げるのだ。酒類の流通フローは5-8段階あるといわれているが、同社はこのモデルのように酒類メーカーから直接購入し、そしてそれを店舗に販売するということで流通フローを2段階に圧縮した。段階を圧縮することによって自社に入ってくるマージンも増靖子とができてと思われる。また、流通フローが多ければ多いほど偽者が混じってしまうリスクが生じるが、同社は2段階に圧縮することで偽者が混入するリスクを根絶したのだ。

 

 華致酒行の例は消費者の本物志向をうまくついた好事例といえる。呉董事長はたまたまやけどしたときに見てもらった医者が、「本物の酒は現地の軍人服務社というところでしか買えない」というつぶやきが本物の酒類を求めるニーズが高いのではないかと認識したきっかけだったという。ネット通販のようにひたすら安価な商品が出回っている一方で、本事例のように本物を求める消費者もいる。お酒という特別な商品だから当たったのかもしれないが、ここは素直に同社の戦略をたたえるべきだろう。

関連記事

コメント2件

  • しろくま より:

    日本でも
    服やかばんなどは、偽物でも物自体の効用はあまり変わりませんからちょっと見わからなければ十中八九どころか万に一つも本物ではないと思っても安けりゃいいという人も多いでしょうが、お酒のような嗜好品は偽物をつかまさせれるのはいやですよね。
    酒は飲まない呉さんだって、多少高くても本物のマイルドセブンのほうが、北朝鮮製のバッタモンの可能性大のわけの解らんタバコよりいいでしょ?
    改革解放前、某大学の総長が政府の訪中団に参加したときにお土産でいただいた貴州芽台酒は確かにおいしかった。

  • より:

    Re:日本でも
    その典型が粉ミルクなのでしょうね。

  • コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です