2010-12-01

外資現地法人銀行の預貸比率制限

 銀行監督管理委員会の規定では、2011年12月31日までに、外資現地法人銀行の預貸比率(預貸比率とは貸金総額/預金総額で計算される比率)が75%の水準に達しなければならないことになっている。いくつかの外資現地法人銀行がこの比率を達成している以外は、大部分の外資現地法人銀行の預貸比率は100-150%の水準にあり、中にはもっと高いところもある。この比率を改善するためには貸金を圧縮するか預金を増加させるかということだが、貸金ニーズも相応にあるため、それ以上に預金をどんどん吸収していかなければならないということになる。来年の期限まではこのの動きがより顕著になっていくと思われる。

 

 第一財経日報の取材によると、2010年6月末時点の外資現地法人銀行の平均預貸比率は83.5%、2010年上半期の貸金増加率が17%、預金増加率はわずか10%に過ぎないという。このような中で、ソシエテジェネラル銀行では現時点において貸金量が60%増加したものの、なんと預金量は100%も増加させている。同行では現地法人化以降に顧客数が5-6倍に増加し、顧客構成も以前の多国籍企業及び少数の大型国有企業を主体としていたのが、徐々に中資企業の比率を上げており、現在では企業顧客の70%が中資企業となっている。さらに拠点数は現在の8拠点から50拠点にまで増やすことを中期的な目標としている。貸金以上に預金を増加することで銀行監督管理委員会の規定をクリアしているわけだが、預金が増加した要因としては、新規顧客の開拓、新製品開発及び既存顧客の現金管理業務といったものを切り開いたことによるものとしている。いずれにせよ、外資銀行だからといって外資系企業ばかりに頼るのではなく、中国国内で業務を展開しているわけなので中資企業を主体としていっているということだ。

 

 また、拠点数増加及びリテール業務を通じてより多くの預金を吸収していく以外に、現金管理及びクロスボーダー人民元決済業務が外資銀行の預金増加の重要な源の一つであり、同行では現金管理業務の推進と共に、現在クロスボーダー人民元決済の清算行・決済行のライセンスを申請しているという。

 

 さて、翻って日系銀行の状況はどうだろうか。実は私も現在の日系銀行のポートフォリオがどうなっているかはよく知らない。昔のイメージしかないので、日系企業主体の取引というイメージしかない。もちろん時代が変わってきているので、非日系企業との取引も増加してきているだろうし、そのようにも聞いたことがある。しかし、ソシエテジェネラル銀行で行っているような地場民間企業との取引はどこまで広がっているのだろうか。取引が広がっているとして預金の取り込みがどこまでできているだろうか。結局預金を取り込もうとすると法人であれ個人であれ地場との取引をどれだけ深耕かがカギとなってくるのがソシエテジェネラル銀行の動きを見ていれば見えてくる。

 

 銀行に限らず日本企業は中国の民営企業の与信リスクを取り辛いと感じているはずだ。それをどこまで腹をくくってやっていくか、それだけの意気込みでやっていく人がいるのか、これ重要でしょう。昨日繊維業界の知り合いと会食したが、単純に今ある情報だけで与信リスクを取ることが難しいのはわかるが、今始めておかないと後から巻き返すことが難しい取引先は少なくないという。「今のうちに入っておかないと」というやつである。これを社内で説得するにはかなりの労力を要するが、それこそ自分のクビを賭けるくらいの意気込みで進めて行っているという。この結果が正解かどうかは後になって始めてわかることなのだが、中国ビジネスの本気度合いというのはこういうところから伺えるのは間違いない。

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コメント2件

  • しろくま より:

    与信リスク
    中国の場合は、民営企業よりもむしろ国営企業の方が与信リスク大きいと思います。民営企業の場合は、経営者の人物と手腕が見込めれば多少の山や谷がある前提で付き合えなくはないですが、中国の場合国営企業はトップは替わりますし国策次第の面もあります。そもそも、国営企業を倒産させてはいけないという国ではないですし。
    また、中国の場合お上の都合で預貸率や預金準備率の規制(および実務的な取締り)がコロコロ変わるので安全を見ればビジネスチャンスを逃がし、果敢に攻めれば足元をすくわれるリスクが増します。経営者の度胸とリスク感覚が問われますね。

  • より:

    Re:与信リスク
    入り口はもちろん本国企業から出いいと思いますが。どんな国であれその国で商売しようと思えばその国の企業を相手にしないといけないですね。でも確かにこの国は与信リスクを図るのが難しい。新聞で発表されている数字、役所に届けられている数字、本人に直接確認した数字、全部違うことは日常茶飯事ですからね。

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