2011-01-05

ヤマダ電機の中国進出は小売業の構造に変化を生じさせるか

 201012月にヤマダ電機が瀋陽に出店した。201011月にはMETROFOXCON聨合によるMedia Marktが上海に出店した。2006年に中国市場に進出したBESTBUYも引き続き店舗を増やしている。

 

 中国国内の家電小売の勢力構造は簡単には変わらないと見られているが、中国国内企業にとっても学ぶべきところは多いと言われている。ヤマダ電機が行っていることは、中国国内小売企業とはやはり違うのだ。

 

 まず一つ目だが、国美や蘇寧等の国内家電小売店はブランドごとに商品を陳列しているが、ヤマダ電機では商品の種類と規格ごとに陳列している。日本と同じやり方だ。消費者に対して公平性を保つために、全ての販売員は日本で研修を受け、消費者が何を望んでいるか、どんなニーズがあるかを把握できるように養成しているという。

 

 また、国内家電小売店が単一品種の販売スキーム、要するに家電製品のみを販売しているのに対して、ヤマダ電機では「百貨商店、多元化経営」を行っている。どういうことかというと、ヤマダ電機瀋陽店は売り場が7フロアあり、総面積は24000㎡ある。そして家電製品のみならず、書籍、ギフト、生活用品、薬品等の150万種類の商品を販売しているのだ。ほとんどデパートはスーパーの世界である。もちろん家電製品が書くとなっているのは言うまでもない。

 

 もう一つの違いがサプライヤーとの間の決済方式だ。ヤマダ電機が現在採用しているのはBESTBUYと同じようなキャッシュオンデリバリー方式である。中国のスーパーを始めとする小売企業はサプライヤーに対する支払が非常に悪いというのはよく聞く話だ。これがあまりに度が過ぎると関係がギクシャクしてくるし、サプライヤーの在庫負担も厳しい。最近ではカルフールと康師傳がもめているのがその代表例といえる。これに対してヤマダ電機は注文支払い、キャッシュオンデリバリーを採用していることから、サプライヤーとの間の関係は非常によい。

 

 商品の陳列とサプライヤーとの間の決済方式は、非常に当たり前のことのように思えるが、従来の中国型とは全く違うスタイルだ。これに対して中国系はどうしていくのだろうか。蘇寧電器は外資が入ってきたからといてそれにあわせてスキームやモデルを変えるとはしないという考えであり、それよりも二、三、四線市場に拡大することが当面の重要課題と考えている。国美電器は外資は産業チェーンがまだ出来上がっていないので、国内小売業に対する影響は大きくなく、今後も中国国内企業が家電小売市場を引っ張っていくと見ている。

 

 今回のヤマダ電機の試みは非常に注目すべきだと思う。郷に入れば郷に従えという言葉に則り、中国式小売スキームにどっぷりつかるというのも一つの選択肢としてあったかと思うが、あえて非中国型で展開していこうとしている。これはこれでリスキーな動きといえる。現地の常識とは異なる動きだからだ。しかし、サプライヤーと小売店の関係がこれをきっかけに「普通」、「正常」な関係に変わっていけばまさに風穴を開けたことになる。商品の陳列スタイルも消費者側に立ったスタンスといえる。あとは中国の消費者がこのスタイルをどう受け留めるかだ。素直に受け入れられればこれもまたきっかけとなって陳列スタイルに革命が起きるかもしれない。瀋陽という大都市ではあるが地方都市でもあるので、それが上海あたりまで影響するまでは多少時間がかかるかもしれないが、これが正しい姿であると思うので頑張って欲しいと思う。

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