2011-03-20

外資への小売業開放の影響

 美美百貨という百貨店をご存知でしょうか。グローバルなブランド品を中心に取り扱っている中国系の百貨店です。

 

 

 

 ブランド品といえば富裕層、富裕層といえば沿岸部と連想してしまいがちですが、この百貨店、気づいてみると北京や上海の店舗を続々と閉店し、今では重慶、長沙、成都、ウルムチの4店舗のみとなりました。なぜこんな結果になってしまったのでしょうかというのが経済誌に紹介されていました。

 

 

1.ポジショニング

 

 あまりにもお高くとまりすぎたということがいわれています。会員カードを作成するに当たり一回につき5000元以上の買い物が求められます。いわゆる富裕層にとってはなんと言うことのない金額かもしれませんが、富裕層にも二種類あります。ひとつが、昔からのお金持ち、こういう人たちは価格で浮気することもあまりなく、5000元という金額もそれほど気になりません。もうひとつが「新晋貴族」といわれる新たな富裕層です。この人たちは昔からのお金持ちと違い、買い物をぽんぽんするということはないようです。中国青年報が行った調査によりますと。家庭資産30万元以上、年間収入10万元以上、40歳以下、これらのセグメントの人たちが最も高級品を購入する層だそうです。この人たちは昔からのお金持ちと違って意外と堅実だそうです。

 

 

2.代理権の返却

 

 2004年に外資に対し小売業が完全に解放されましたが、それまでは外国企業は中国国内の代理商を通じて販売するというのが主流でした。しかしながら、外資に対する小売業が解放されてからは代理商をあえて通さず、自社で販売していこうという動きになってきています。例えば美美百貨でいうと、Pradaの代理権を失っていますし、それ以外についてみますと、2008年にはモンブランが上海国瑞鐘表有限公司というところの代理権を回収しており、同じくリシュモン(スイスの時計ブランド)が登喜路という代理商が温州、寧波、食い修築に有していた代理権及び香港I.T集団が持っていたクロエの代理権を回収しています。Coachもまた俊思集団(美美百貨が属する集団)の中国エリアの小売業務の権利を回収しております。このように、多くのブランドが代理商に任せていた業務を回収し、自ら小売を展開していく潮流にあります。こうすることにより、代理商に対しての中間費用が節減でき、また自社店舗を運営することで他社ブランドもいるような空間で展開する必要がなくなり、他社ブランドに影響されることなく自社ブランドのイメージそのもので運営していくことができるようになりました。

 

 

 以上のような状況があるにもかかわらず、美美百貨は旧来のやり方を変更しようとしませんでした。かなりの金額のリベートや最低限語額保証がそうです。メディア報道によると、美美百貨は130㎡の営業面積に対して営業額の21%、これ以外にも物流管理費として5500元を要求していました。業績が良くない場合にはさらに最低限度額保障です。こんなこともあって、これから中国へ進出しようとする外国企業は美美百貨と提携するというインセンティブがかなり薄いものとなってしまってました。さすがにこのままではいけないということで、経営モデルに変化を加えようとしています。「ブランド旗艦店+百貨店」という形にしようとしています。

 

 中国では往々にして「箱」を持つ者の立場が異常に強い傾向にあり、それは今でも変わりませんが、美美百貨のケースは中国企業であっても時代の動きを読み違えると負の螺旋に陥ってしまう例ですね。個人的にはFID(外商投資)をメインにコンサルをはじめた私にとって外資に対する小売業の解放がビジネスモデルにここまでの影響を与えたということが興味深く感じられます。あらためて思うのですが、経営コンサルティングを行ううえで、やはりFIDのコンサルは必要なのだと改めて感じた次第です。今ではFIDコンサルから経営コンサルにまで業務が広がってきていますが、そういう意味でFIDのコンサルから入ってきた自分は両方がわかるという点でラッキーだったなと思います。

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