先日とある食品関係の会社にお邪魔していろいろとお話を聞いてきました。なかなかおもしろかったので、ちょっとまとめみました。
中国のデパート業界の現状
6月末に伊勢丹が閉店したばかりなので、自然とその話題になりました。
- 中国ではショッピングモールの影響を受けてデパートはなかなかしんどい状況。
- 上海の地元のデパートも結構閉店しているが、そんななかで別格は静安寺の久光の年間売上は20-30億元くらいある。
- 世界的に見てデパートビジネスが成り立っているところはインバウンド需要旺盛な日本、そのほかだと台湾やシンガポールも結構いい。
中国での飲食店の影響とは
- 飲食店は本当に厳しい。
- 大規模なチェーン店や小さなストリート店舗やパパママ店舗は生き残りやすいが、中規模のレストランが一番厳しいのではないか。
- 日本料理店でいえばコロナ禍があって、処理水の問題があって、店舗によってはこれに利仕入れに影響が生じてといった問題でなかなか大変。
- デリバリーサービスは活況で、注文も確かにたくさん入るのだが、トラフィックコストが非常に高い。
- ときどき新しいコンセプトのお店が出てヒットすることがあるが、そういうのは大体まねされてしまい、影響を受けてしまいがち。
- 小さな都市の飲食業は主に観光業の回復による成長を遂げているが、大都市の飲食業は依然として厳しい状況にある。
中国でまだまだ残る飲食店と政府との関係
飲食業者は、市場監督管理局、税務局などを含む政府の各部門との関係を処理する必要があるが、これら日常検査及び顧客の苦情への対応などの問題にかかってくる。なので、おろそかにするわけにはいかない。ただし、やっかいな政府関係者は今でも存在していて、お店にやってきては食事をたかるようなものもいれば、本来役所に普通に資料を提出すれば完結できるようなことでも、役所があえて第三者に委託するように指導し、その指導した役人は委託を受けた第三者からコミッションを受け取るというようなことは今でもまだある。
中国でのデジタルマーケティング
douyinのショート動画やライブ配信を試したことがあるが、あれはなかなか効果的。douyinによる餓了麽の買収の話があり、これがまとまればデジタルマーケティングとデリバリーサービスの融合が加速すると思ったのだが、結局買収話はうまくいかず、douyinによる注文量は最初ほどの勢いはなくなった。
中国人消費者の変化
- コロナ禍があって日本人、韓国人、欧米人たちが大きく減少。また、上海の富裕層も減少したとみている。
- 自分たちの立ち位置は変わっていないのだが、対象顧客層が減少してしまったので、ダイレクトに影響を受けている。
- 消費行動も変化してきており、以前はビジネスや社交の場で高消費をする傾向があった層も、今では従来のように高級飲食店に行くよりは旅行など自分のためにお金を使うようになってきている。これはメンツ消費から自己報酬型消費へと移行しているとみている。いわゆるごほうび消費。
- このような変化は上海の高級な飲食業界にとって特に課題となっており、伝統的な高消費者層がかつてほど頻繁にこれらの場所で消費しなくなってきているとみている。これもまた上海の高級飲食業界にとって課題となっている。
メンツ文化の中国人社会の驚きの変化
個人的に刺さったのは最後の消費者の変化、メンツ消費から自分消費への移行という部分です。あれだけ中国人はメンツの文化といわれていましたが、その中国人がメンツ消費から自分ごほうび消費という説明をしてくる時代がやってくるとは。それだけ時代も変われば環境も変わったということでしょう。
しかし変わらないのが役人のおねだり。兵庫県知事かよ!いろんな手続きをする中でここ最近そんなおねだりを迫られたり、そういう圧を感じることはほぼないのだが、まだ残っているんだな。ここの部分も時代や環境が変わってほしいものです。