中国メディアの報道によりますと、世界最大のEMS企業台湾鴻海(ホンハイ)社の中国法人フォックスコンに税務調査が入ったとのこと。フォックスコンといえば台湾鴻海精密工業社の企業でアップル製品の受託製造を行っていることでおなじみの会社です。さらには、創始者である郭台銘氏が来年行われる台湾総統選を無所属での出馬を宣言していることでも話題ですね。なお、今回は前回に次いで2回目の出馬宣言になります。
税務査察の理由とは?
さて、このフォックスコンに対する税務査察は単なる税務査察なのか否か。創始者である郭台銘氏が来年行われる台湾総統選の出馬を宣言しており、それに対して何らかの圧力の意図があるのか否か。フォックスコンは中国でかなりの規模の事業展開を行っているため、郭台銘氏が親中と思う人もいるでしょうが、郭台銘氏は総統選にあたり中国に対してどのようなスタンスを示しているのでしょうか。出馬会見の際に行われたインタビューが参考になるかもしれません。
税務査察報道に先立つ1か月半ほぼ前の出馬表明の会見の際に、「もし総統に選出されれば、ホンハイは中国の制裁を受けやすくなるだろうが、この問題をどう解決するのか?」という質問に対し、郭氏は、勤務中4年前に鴻海の経営権を譲渡したが、その間、自分は会社をまったくしていなかった」と回答し、この流れで、で『もし中国共産党政権がホンハイの財産を没収すると言ってきたら、中国共産党政権に対しては「はい、どうぞ」と言うだろうし、個人財産を犠牲にすれば台湾を攻撃しないということなら喜んで提供するが、中国共産党の指示には従えない。』と大見えを切った発言をしています。言葉だけ見ると、「やれるもんならやってみろ、お前たちのことなんて聞いてられるか」というニュアンスが感じられますが、中国で事業を営んでいた経営者であったこともあり親中派とみる人も少なくないでしょう。そしてそのレッテルを貼られたくないため(あれだけ中国で事業を行っていたので、レッテルを貼られてもしょうがないとは思う)にこのような発言をしたのか、本気でこのような思って発言したのか、そこは本人のみぞ知るところでしょう。しかし、この発言を受けて準備期間を設けたうえでの今月の税務査察と用地使用状況調査につながったのかもしれませんね。
今後の郭台銘氏の動きが気になる!
ビジネスマン上がりということでちょっとドナルド・トランプチックなにおいがしますが、総統になったらなったでそれこそトランプ氏みたく破天荒にふるまっていくのか、あるいはそれと全く真逆で堅実な運営をしていくのか、あるいは中国の都合の良い総統になってしまうのか。いろんな見方ができますが、今はまだ出馬宣言しているだけで、無所属での出馬ということもあり正式な立候補のためには有権者の1・5%にあたる約29万人分の署名を集める必要がありますが、まずはこれをクリアできるかどうかですね。