兵庫県知事選の広報PR問題について思ったこと

最近、兵庫県知事の公職選挙法違反が話題となっています。特に注目されているのは、広報を担当した会社が選挙戦の内容を具体的にSNSで発表し、自分たちが広報戦略を担ったことをアピールした点です。公職選挙法違反の問題はさておき、クライアントの具体名称を挙げて、具体的な戦略を披露すること自体に問題があるのではないでしょうか。

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クライアント名の公開は慎重に

もちろん、案件によってはクライアント名を挙げても問題ない場合もあります。例えば、

  • クライアントの了承を得たもの
  • 公的団体の依頼によるレポート作成で名前が掲載されているもの

などです。また、建築関係のように、どのビルをどこのゼネコンが建設したかが公にされる場合もあります。しかし、これら以外のケースでは、クライアント名を出すことは慎重に考えるべきでしょう。

公職選挙法違反の影響

今回の兵庫県の例でいえば、会社とクライアントとの間の信頼関係の問題に行き着くと思います。広報戦略を担当した会社が情報を漏洩した、こういうことを目にしてしまうと、ひょっとしてこの会社に依頼した場合、クライアント名まで出されたうえでその細かな内容まで公開されてしまうのではないかという不安ですね。自分が同じ立場、つまり受注者だとちょっとそれはできないなあと思います。案件依頼時に守秘義務契約の締結を要望される企業がいます。そもそも守秘義務契約を締結していなくても案件の細かな内容やクライアント名を出すことは毛頭するつもりはないのはいうまでもありません。用意している契約書フォーマット自体に守秘義務条項は入れているのですが、クライアントの会社内部的に形式上守秘義務契約書を単独で必要ということであればその手の要望にはお応えするようにしています。

中国企業のクライアントとして明記されてる意味を知る

私たちの会社でも、クライアントの名前を出して「こんなことをやりました」とアピールしたいところですが、さすがにそれはできません。クライアント名を出さずに、例えば、

  • 日系自動車関係の部品メーカーからの依頼でとある中国企業の競合調査
  • 日系消費剤メーカーの中国市場の売り上げの可能性に向けての市場調査
  • 日系物流会社の現地社員の円満解雇に向けての相談
  • 60歳以上の就業ビザ取得に向けての代行業務

などと、もやっとした内容で伝えることしかできないのが現状です。

中国系の会社の会社案内を見ると、直接契約したわけでもない(外注先としての受注)企業のロゴをバンバン入れているようなものがあり、あたかも直取引を行っているように見せていますが、多くの場合はそうでないことを知っておいたほうがいいと思います。

中国事業撤退に伴う重要なチェック内容

とはいうものの、会社としての経験値をアピールするためにはいままで携わってきた実例をある程度お話しする必要はあります。

市場調査関連であれば、どんな調査の仕方でどういう結論を導き出した、というような感じです。もちろん会社名は明かしません。また、実務案件、例えば中国事業撤退案件なんかでいいますと、

  • 撤退の際のリスクを洗い出しをする
  • それに基づいてスケジュールを立てる
  • 役所手続きにおいて特に注意しないといけないことは何か
  • 清算代わり金の払い出しに際して注意しないといけない点は何か(これ一番重要)
  • 過去に経験した物事が途中で中断してしまった際の対処の仕方
  • あるいは中断しそうになった際にいかに回避したか

など、といったこと、ポイントポイントでどういう点についてしつこいくらいに確認したうえで物事を進めていったか、こういったことについてはしっかりと説明します。依頼する側としても安心感を得たうえでないと依頼できませんので、不安感を払拭するためにも最初の説明は特に丁寧に行っています。

クライアントとの信頼関係の重要性

このように、具体的な会社名を出さずとも、実際の事例を通じて私たちの経験とスキルを伝えることは可能です。しかし、何よりも重要なのはクライアントとの信頼関係です。清算案件だとそれが会社対会社の最後の業務になる可能性が高いのです。会社を支えてくれてた大切な社員に誠意を込めて事情を話し、納得してもらうために苦労したり、思い入れのある現地法人を清算するというのは、担当者も大変心労がたたります。そういう気持ちに寄り添い、出来るだけ短期間で効率のいい清算方法を一緒に模索していきます。無事に清算が完了した時は達成感もありますが、これで本当になくなってしまったという寂しさも少し残ってるような気もします。清算手続き後もしょっちゅうとは言わないものの時おりやり取りしている会社もあり、これも最後の最後まで手を抜かずしっかりと案件を完結させたことにより得た信頼によるものだと思っています。

兵庫県知事の話題から見えてきたクライアントの守秘義務について

中国ビジネス専門のコンサル会社でありながら、なぜか兵庫県知事の公職選挙法違反の話題になりましたが、この問題を通じて、あらためてお客様に対して過去の案件に関してどのように紹介すべきかというについて再確認する機会となりました。基本的には兵庫県で起きたような問題、つまり依頼を受けた会社がクライアントの名前を出したうえその案件内容を事細かに対外的に発表するようなことは弊社では行っていないので、その点についてはご安心いただければと思います。今後も上に書いたような姿勢でクライアントの期待に応えていきたいと思います。

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この記事を書いた人

神戸育ち。住友銀行入行後、大阪を中心にほぼ一貫して法人業務畑を歩む。上海支店赴任後は中国ビジネスコンサルティングに特化、2005年に日綜(上海)投資諮詢有限公司設立に伴い同社の副総経理に就任し、2011年10月より独立し株式会社TNCリサーチ&コンサルティング代表に就任。

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