「上海外資百強」なるランキングが発表されています。2025年がまだ終了していないので、これは2024年の数値に基づくものになります。いくつかの項目のランキングがあり、重複している会社も多いため、ランキング入りしている企業は265社、これは上海にはある約8万社の外資企業の0.3%程度であります。しかしながら、この265社だけで営業収入では全体の3割以上、輸出入総額でほぼ半分、納税額でも3割強を占め、雇用面でも全体の約2割を担っています。それでは、各項目のトップ10を見ていきましょう。
上海外資企業トップ100ランキング

1.営業収入
| 1 | 蘋果電脳貿易(上海)有限公司 | アップル |
|---|---|---|
| 2 | 特斯拉(上海)有限公司 | テスラ |
| 3 | 上海三星半導体有限公司 | サムスン |
| 4 | 上海大衆汽車有限公司 | フォルクスワーゲン |
| 5 | 上海上汽大衆汽車銷售有限公司 | フォルクスワーゲン |
| 6 | 托克投資(中国)有限公司 | Trafigura |
| 7 | 友邦人寿保険有限公司 | AIA |
| 8 | 阿斯夢(上海)機電設備有限公司 | Infineon |
| 9 | 益海嘉里食品営銷有限公司 | 金龍魚食品集團 |
| 10 | 達功(上海)電脳有限公司 | QSMC |
トップ10以下で日系企業はファーストリテーリング、三菱エレベーター、パナソニック、豊田通商、村田電子、Astemoがあります。

2.輸出入総額
| 1 | 達功(上海)電脳有限公司 | QSMC |
|---|---|---|
| 2 | 上海近鉄国際物流有限公司 | 近鉄 |
| 3 | 晟碟半導体(上海)有限公司 | ウェスタンデジタル |
| 4 | 特斯拉(上海)有限公司 | テスラ |
| 5 | 嘉能可有限公司 | Glencore |
| 6 | 英特爾貿易(上海)有限公司 | インテル |
| 7 | 瞻航物流(上海)有限公司 | SOmni LOGISTICS |
| 8 | 英飛凌科技(上海)有限公司 | Infineon |
| 9 | 全球物流(上海)有限公司 | Schenker |
| 10 | 安靠封裝測試(上海)有限公司 | Amkor |
トップ10以下で日系企業は東芝物流、日東電工、日産、三菱電機、富士通ゼネラル、富士フィルム、豊田通商があります。

3.納税貢献
| 1 | 保時捷(中国)汽車銷售有限公司 | ポルシェ |
|---|---|---|
| 2 | 上汽大衆汽車有限公司 | フォルクスワーゲン |
| 3 | 捷豹路虎(中国)投資有限公司 | ジャガー |
| 4 | 路易威登(中国)商業銷售有限公司 | ルイ・ヴィトン |
| 5 | 蘋果電脳貿易(上海)有限公司 | アップル |
| 6 | 欧萊雅(中国)有限公司 | ロレアル |
| 7 | 歴峰高業有限公司 | リシュモン |
| 8 | 特斯拉(上海)有限公司 | テスラ |
| 9 | 匯豊銀行(中国)有限公司 | HSBC |
| 10 | 労力士(上海)有限公司 | ロレックス |
トップ10以下で日系企業はファーストリテーリング、SMBC、資生堂、三菱UFJ銀行、みずほ銀行があります。メガバンクそろい踏みですね。

4.雇用創出
| 1 | 達功(上海)電脳有限公司 | QSMC |
|---|---|---|
| 2 | 特斯拉(上海)有限公司 | テスラ |
| 3 | 迅銷(中国)商貿有限公司 | ファーストリテーリング |
| 4 | 上海肯德基有限公司 | ケンタッキー |
| 5 | 迅達(中国)電梯有限公司 | シンドラー |
| 6 | 上海国際主題楽園有限公司 | ディズニー |
| 7 | 聯合汽車電子有限公司 | ボッシュ |
| 8 | 上汽大衆汽車有限公司 | フォルクスワーゲン |
| 9 | 友邦人寿保険有限公司 | AIA |
| 10 | 耐克商業(中国)有限公司 | ナイキ |
トップ10以下で日系企業はファーストリテーリング、MUJI、資生堂、東芝エレベーター、三菱エレベーター、リコー、ダイキン、YKKがあります。
トップ10の中には業界の片でないと聞きなれない銘柄の企業があるかもしれません。その中でも、アップルは営業収入で首位をキープ、ポルシェは納税額でトップを守りました。達功(QSMC)は輸出入と雇用の2つで首位を獲得し、テスラは項目すべてにおいてトップ10入りしています。
業界分布
- 卸売・小売業
- 製造業
- リース・ビジネスサービス業
が上位3業種を占めていますが、これ以外では生物医薬が19社がランクインし、前年より7社増加、9社が納税百強に入り、8社が前年より納税額を増加、うち7社は二桁成長を達成しています。
金融業でも21社の外資金融企業がランクインし、そのうち8社が営業収入百強に入り、5社が二桁成長を達成。
投資国別の構成
投資国別では「米・日・独」が目立ちます。
| 米国企業 | 87社 |
|---|---|
| 日本企業 | 33社 |
| ドイツ企業 | 26社 |
米国企業は87社で首位を維持し、前年より4社増加、5年連続でトップ。日本企業は33社、ドイツ企業は26社で続き、三国合計で全体の55%を占め、ランキングの過半数を占めています。もっとも揉めてはいけない3つの国といっていいと思うのですが。。。
2024年度と2023年度の上海外資百強の変化を見ていきましょう。

•業界構成
生物医薬は2023年の12社から2024年は19社へと58%以上増加。納税や輸出入も好調で、上海の重点支援政策(張江薬谷(バイオバレー)のプラットフォーム整備や研究開発費控除など)が成長を後押ししました。金融業では保険業の躍進が目立ち、営業収入百強に入った金融企業8社のうち6社が保険業でした。
•地域分布
浦東新区は2023年の137社から2024年は149社へ増加、自由貿易試験区登録企業は118社から128社へ、臨港新片区は5社から9社へと80%増加しました。浦東をはじめとする東エリアの注力ぶりがうかがえます。
2025年はどうなるか

これはあくまでランキングであり、前年からどのような増減が見られたのかはよく見えません。ここ数年の景況感を鑑みますと、必ずしもランキングに入っているからと言って業績が伸びたとは限らないでしょう。また、投資国別でいいますとサウジアやラブも入ってきているものの、途中でも書きましたが、米・日・独の三か国合計で全体の55%を占めておりながら、国家間の関係は決して順調とは言えません。このような状況なので、今後に上海市における外資企業トップ100に大きな変化がみられるのか、はたまた特段の変化もなく今までと同じような銘柄が並び続けるか。日本企業にとっても、このランキングは単なる順位表ではなく、上海市場における立ち位置を映すものともいえ、次の更新でどのような姿が映し出されるのか、注視していく必要があるでしょう。
