中国における「キャラクタービジネス」ってどうよ?

日本の優位性をアピールするものの一つとして漫画があります。以下の記事はまさにそれを紹介しているもので、「世界同時沸騰」をキーワードに日本の大手出版社が海外でのマンガ人気の掘り起こしに注力しているという内容です。外国のファンに見てもらう場合、紙だとどうしても時間差が必要だったのが、ネットが普及した現在ではアニメやマンガ配信サイトの同時配信などで世界の読者が同時期に楽しめるようになり、出版社も攻めの戦略に転じているとのこと。

マンガは「世界同時沸騰」へ アニメ化待たない攻めの戦略

目次

キャラクターの海外進出状況

今回はグッズの販売という観点から見ていこうと思います。まず、エリアとしてどこを攻めようかと考える場合、資金や人材の手当にも限界がありますので、どこかしらで線を切る必要があるかと思います。グッズのような版権ビジネスは必ずしも海外に拠点を設けなくても進めることは可能ですが、現地に拠点を置いているか否かでその注力度合いを測ることが可能ともいえるでしょう。ひとまずアジアに限定してみますと、主だったキャラクターやブランドで海外現地法人を設けている場所としては台湾、香港、韓国、中国、シンガポールが挙げられます。そしてこの5つの中で市場規模が最も大きいのが中国であるのは言うまでもないでしょう。

ブランド海外現地法人所在エリア
サンリオアメリカ、ブラジル、台湾、ドイツ、香港、韓国、中国、イギリス、チリ、シンガポール
ウルトラマン(円谷プロダクション)アメリカ、韓国
くれよんしんちゃん(双葉社)中国
ポケモン(任天堂)アメリカ、カナダ、ドイツ、スペインオーストラリア、韓国、香港
名探偵コナン(小学館)中国、アメリカ、台湾、シンガポール
どらえもん(小学館)(藤子・F・不二雄プロ)
海洋堂(フィギュア制作会社)
集英社中国

これだけに限らないでしょうが、有名どころはやはり気合いが入ってることがよくわかります。

上海で見つけたキャラクターグッズ系を販売してる小売店

さて、こういったキャラクターグッズ系を販売しているところにはどんなところがあるでしょうか。上海に街を歩くと、キャラクター系のグッズを販売しているところがあちらこちらで見られますが、新しくできたショッピングモールの見学がてらにちょこっと見てきました。街歩きが好きな人なら目にしたことがあるところがたくさんあろうかと思います。

1.潮品挚尚

クリエイティブ雑貨ブランド。主に文創ギフト、クリエイティブホーム、トレンドデジタル、潮品アクセサリー、アニメ遊び品、ぬいぐるみなどの製品が主体。視察した同店舗はキャラクターグッズ主体。

2.番茄口袋

2019年末に設立.「面白いものを販売し、感情を表現し、楽しさを作る」をブランドコンセプトとして、Z世代の若者たちに精神的な供給と楽しい消費体験を提供。

3.TOP TOY

2020年12月設立された。TOP TOYは世界の流行玩具店として位置づけられており、製品ラインはブラインドボックス、積み木、フィギュア、ガンダム、人形模型、トレンド玩具、オリジナル製品などが主体。また、将来開発するジャンルとしてX品目と呼ぶジャンルがある。

4.THE GREEN PARTY

ブランドコンセプトは、「家庭のグリーン環境保護製品を提供して、実用的な家庭の妙技、親密なインタラクティブな体験、新しいグリーン環境保護理念を伝達します!人生をよりスタイリッシュにしてください!」

5.POP MART

2010年に設立された北京に所在する企業。ポップマートは当初、クリエイティブ雑貨を販売する小さな店だったが、その後、デザイン、生産、販売を一体化したトレンドのおもちゃブランドに転換。ポップマートの製品ラインはさまざまなIPイメージをカバーしており、その中で最も有名なのはMollyシリーズや他のコラボレーターアーティストの作品が含まれている。自動販売機による販売も行っている。

自動販売機でも販売しています。

6.MINISO

ここはキャラクターグッズを販売するというよりは日用品を中心に販売する雑貨店で、もうすっかりおなじみのお店ですね。

「週刊少年ジャンプ」の漫画キャラクターグッズの専門店

以上のほか、2021年12月3日産経新聞記事で 「週刊少年ジャンプ」の漫画キャラクターグッズの専門店「SHONEN JUMP SHOP」が、上海にオープンしたことが紹介されています。

中国に「ジャンプ」専門店 海外初、漫画文化を発信

海外では初めてのお店で、「鬼滅の刃」や「ONE PIECE(ワンピース)」など人気作品の関連商品を多数取りそろえているとのこと。

可能性を感じる日本のキャラクタービジネス

中国の景気もいろいろ言われていますが、好みが多様化してきたりだとか、版権側が力を入れるようになってきたりだとかもあって盛り上がりつつあるように思います。こういう状況なので、こういったキャラクター系のビジネスって、これから出てこようと考えているキャラクター側にもまだまだチャンスがあるのではないかと思います。こういった趣味系のものはドはまりするとたくさん買い集めるようになりますし、一つ一つは小さいかもしれませんが、積もり積もればかなりのボリュームになるでしょう。いわゆる推し活というやつですね。人間は不祥事を起こすけどキャラクターは不祥事を起こすことはないと言ってアイドルよりもキャラクターにはまってしまう人もいるようです。それなりに浸透してきている分野ではありますが、今後の盛り上がりも期待できる分野なのではないかと思います。

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この記事を書いた人

神戸育ち。住友銀行入行後、大阪を中心にほぼ一貫して法人業務畑を歩む。上海支店赴任後は中国ビジネスコンサルティングに特化、2005年に日綜(上海)投資諮詢有限公司設立に伴い同社の副総経理に就任し、2011年10月より独立し株式会社TNCリサーチ&コンサルティング代表に就任。

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