蘇州にある日系企業の40年を振り返る

今年は日系企業が蘇州に進出してざっと40年目にあたるとのこと。

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昆山からスタートした日本企業と蘇州の協力

1980年代、蘇州地区のGDPは200億元未満だったのが、2023年には2.47兆元(フィンランドやエジプトという国と近しい水準)に達し、全国6位となりました。また、輸出入貿易総額は2.45兆で4位、このうち輸出額は1.51兆で3位となり、深圳、上海に次ぐ位置を占めています。

2023年末時点で世界トップ500企業の175社が蘇州に投資し、そのうち47社が日本からです。また、768社の日系企業が蘇州高新区に進出しており、蘇州全市の日系企業の約1/4、長江デルタ全体の8%を占めています。

日本企業と蘇州の協力は昆山からスタート。1984年2月にスワニー株式会社が昆山を訪問し、同年7月に現地法人を設立しました。(同社についてははるか昔にNHKで撤退させてくれず、えらい目にあったというような内容の番組を見たことがあるような)。

また、1993年には蘇州高新区が認可され、日本電波工業株式会社が独資で蘇州日電波電子工業有限公司を設立。その当時はまあまあまあ中国進出も見られた時期で、蘇州はその波に乗っていたといえるでしょう。

キャノンやパナソニックを含む25社の日系企業が蘇州へ

1998年あたりに金融危機があり、いったん動きが止まるも、2001-2002年あたりにまた盛り返します。そのころにキャノンパナソニックを含む25社の日系企業が新たに蘇州高新区に6億ドルの投資が見られました。そしてこの年、蘇州の日本料理店も急増しました。これって蘇州日本人街と呼ばれるところのことでしょう。私が中国にやってきたのもちょうどそのころです。当時はひたすら中国への新規進出支援を行っていました。こんなに長くいることになるとは思わなかったなあ。そしてそのころ蘇州にもよく行っていたなあ。

2001年、蘇州と日本の輸出入総額は63.4億ドルで、2003年には128.4億ドル、2006年には231.2億ドル、2011年には331.4億ドルと着実に増加。そして。2003年1月、蘇州の日系企業数は1160社を超えるに至りました。当時企業を集めて開催された座談会では立地等には満足するも、電力保証、サービス基準の不統一、現地管理型人材の不足が課題として挙げられていました。また、日本人子女の教育問題についても取り上げられ、これがきっかけとなったのでしょう、2005年に蘇州日本人学校が開校しています。

低下する日本企業の対中投資意欲

最近の調査によると、日本企業の対中投資意欲は低下しており、2023年の蘇州と日本の輸出入貿易額は157.0億ドルで、10年ぶりの低水準となりました。このあたりの状況は皆さんもご存じとの頃かと思います。

中国に進出したい、あるいは進出すべき企業はもうほとんど出そろっているかと思います。そんな中での、そして現在の環境下での投資誘致活動は非常に厳しいかと思いますが、蘇州としては、純粋な新規投資を探し続ける一方で、既存進出先による新たな投資を拾い上げていくことに注力しているとのこと。このほうが現実的ですね。

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この記事を書いた人

神戸育ち。住友銀行入行後、大阪を中心にほぼ一貫して法人業務畑を歩む。上海支店赴任後は中国ビジネスコンサルティングに特化、2005年に日綜(上海)投資諮詢有限公司設立に伴い同社の副総経理に就任し、2011年10月より独立し株式会社TNCリサーチ&コンサルティング代表に就任。

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