【衝撃】蘇寧がカルフール中国4社を4元で売却|それでもまだ解決しないカルフール問題

蘇寧が全額出資子会社である家楽福(中国)控股有限公司を上海有安法律諮詢有限公司に譲渡するという持分譲渡協議を締結すると発表しました。発表によりますと、

売り手(蘇寧)は寧波家楽福商業有限公司、杭州家楽福超市有限公司、株洲家楽福商業有限公司、瀋陽家楽福商業有限公司の全株式をそれぞれ1元の対価、つまり4社を合計4元で売却し、売却後は連結対象から外す。

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蘇寧がカルフール中国を4元で売却した理由とは?

同社によると今回の取引の背景としては、「会社の戦略の重心はすでに家電3Cコア業務に焦点を当てており、非主要業務ユニットの簡素化とスリム化作業を継続的に推進して、多くの措置を並行して企業の債務レベルをさらに引き下げて、同社の債務負担を持続的に解消する」としています。

一世を風靡したカルフールもある頃から(蘇寧が買収したころから)凋落の一途であり、今やほぼ見かけなくなっております。売却対象となった4社もいずれも経営を停止しており、赤字垂れ流し状態で重荷であったカルフール事業を切り離すという意味での再編に向けて動いたということです。

蘇寧易購のここ最近の業況を見ますと、昨年は増収増益となり、2020年以降で初めて通年利益を実現することができました。キャッシュフローも改善しています。

まだまだ終わってないカルフール問題の内容とは?

ここまでを見ると、蘇寧易購はカルフール問題からおさらばし、本業に邁進することでリスタートを切ることになるといえますが、実はこのカルフール問題、まだ収まっていません。直近の2024年度の蘇寧易購の年度報告に以下の記述があります。

2019年6月22日、同社の全額出資子会社であるSuning International Group Co., Limited(以下「蘇寧国際」)は、Carrefour Nederland B.V.およびCarrefour S.A.(以下「カルフールグループ」)と《株式購入契約》を締結しました。この契約により、蘇寧国際はCarrefour Nederland B.V.から現金48億元(人民元)相当のユーロでカルフール中国の株式80%を取得することとなりました。

また、Carrefour Nederland B.V.が買収日から2年が経過した後90日以内に、残り20%のカルフール中国株式を契約で定められた固定価格で蘇寧国際に譲渡する選択をした場合、蘇寧国際はそれを無条件で購入しなければならないとされました。逆に、Carrefour Nederland B.V.の売却オプションが期限切れとなった90日以内に、蘇寧国際が契約で定められた価格で残り20%を取得する選択をした場合、Carrefour Nederland B.V.は無条件でこれを売却する義務があります。   上記売却オプションが行使された際に、蘇寧国際がCarrefour Nederland B.V.が有するカルフール中国の全株式を購入する契約上の支払い義務を果たすことを支援するため、特に支払義務に対応するために、会社の第六期取締役会第四十九回会議にて《子会社に対する保証の提供に関する議案》が審議・承認され、会社は蘇寧国際に対し12億元人民元の履行保証を提供することが決定されました(詳細は同社公告2019-099号「子会社に対する保証の提供に関する公告」をご参照ください)。

2019年9月26日、蘇寧国際はカルフール中国の株式80%の取得を完了しました(詳細は公告2019-097号「Carrefour China Holdings N.V.(カルフール中国)株式80%の取得完了に関する公告」を参照)。買収日から2年が経過した後、2022年4月28日に蘇寧国際とCarrefour Nederland B.V.は協議の上、残り20%の株式の分割購入に関する取り決めに合意しました(詳細は2021年度年次報告書第7節「重要事項」17.「子会社に関する重大事項」を参照)。蘇寧国際はすでに2.04億元を支払済みです。  

蘇寧国際がCarrefour Nederland B.V.及びカルフールグループと上記契約を締結した当時の客観的状況に大きな変化が生じたことにより、残りのカルフール中国株式の取得に関し、Carrefour Nederland B.V.との間で重大な紛争が発生しました。双方は契約に基づく紛争解決手段に従って対応中です(詳細は公告2022-053号「子会社の取引および子会社に対する保証の進捗に関する公告」を参照)。  

この紛争はすでに香港国際仲裁センターにより裁定されており、その裁定は中国本土の裁判所において認可と執行を申請済みです。現在、裁判は開廷され審理中ですが、まだ判決は下されていません。同社はこの裁定に異議を唱えており、関連する法的手続きを通じて自身の権益を守っていく所存です。

 ざっと要約しますと、

  • 蘇寧が分割払いでカルフール中国を買収
  • 買収代金は分割払い
  • カルフール中国の事業が芳しくなく、分割払いの2回目の支払いを払い渋り
  • 協議の上2回目に支払うべき金額の一部を支払ったものの、その残りの金額を出し渋り
  • 香港で仲裁を行ったもののおそらく負けてしまい、その裁定が中国に引き継がれなおも審理中

要するに、代金決済をまだ完全に終えていないにもかかわらず、その対象となる会社を売却してしまったということですね。しかも4元で、しかも売却相手は上海有安法律諮詢有限公司というコンサルティング会社。投資業務も行っているコンサルティング会社のようなのでバルクで買い取り、どこかに売却しようということなのでしょうか。蘇寧はカルフール事業の買収代金の未払金がまだ訳10億元ほど残っています。果たしてこれの顛末はどうなっていくことでしょうか。

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この記事を書いた人

神戸育ち。住友銀行入行後、大阪を中心にほぼ一貫して法人業務畑を歩む。上海支店赴任後は中国ビジネスコンサルティングに特化、2005年に日綜(上海)投資諮詢有限公司設立に伴い同社の副総経理に就任し、2011年10月より独立し株式会社TNCリサーチ&コンサルティング代表に就任。

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