呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

ファーウェイはかわいそうという見方 

 ファーウェイのCFOがカナダで逮捕されたのはさんざんメディアで報道されているのでこれを読むくらいの人であればおおよそどのようなことで逮捕につながったかはすでにご存じではないかと思います。直接的な理由は「対イラン経済制裁を回避する金融取引に関与した疑い」ということで、しかも過去に虚偽説明を行っていたということなので、これに関しては言い逃れは難しいのかもしれません。これをきっかけにそもそもファーウェイ製品って大丈夫なのかという議論が出てきており、要するに安全保障上果たして大丈夫なのかというのが問題点として挙げられている。おそらく多くの人は中国政府の息のかかった企業だから、製品に変な仕掛けをして機密情報を吸い上げようとしているという見方に対してあまり疑いを持たず、中国政府はもちろんのこと、ファーウェイもけしからんと考えている人も多いでしょう。

 

 これに関して個人的に思ったことがあります。「対イラン経済制裁を回避する金融取引に関与した疑い」は横に置いておくとして、果たしてファーウェイという会社が自らの意思で機密情報を吸い上げるような仕掛けをするものなのでしょうか。ファーウェイという会社は過去にいろんなパクリ的なことをやってきた今までのし上がったという見方もあります。本当にゼロから生み出されるイノベーションもあろうかと思いますが、イノベーションというのは多かれ少なかれパクリをベースにしていたり、ベースとなる技術に応用を加えて新たなものを作り出すことにより生まれる、つまりパクリ的に生まれるケースも多いのではないでしょうか。実際に使えるものがどれだけあるのかというのは大事なポイントではありますが、さはさりながら、2017年の特許国際出願件数でファーウェイが世界で断トツトップの4024件、そしてファーウエイがアップルから取得した特許ライセンスが98件なのに対し、アップルがファーウエイから取得したライセンスがその8倍近い769件と圧倒的に上回り、いまやファーウエイがアップルから特許料を受け取る側に転じています。売上高の10%以上を研究開発費に投じた結果がこれなのではないかと思います。そうであるからこそ一民間企業のファーウェイが安全保障上の問題を抱えた製品を世界中に流通させることの目的が今一つ明確ではないように思うのです。ということは、メディアで報道されているように、ファーウェイ製品に安全保障上の問題があるということは、ファーウェイ自らの意思ではなく、やはり中国政府による指示があったとしてもおかしくないように思います。そしてもし仮にここで書くように中国政府の指示により安全保障上問題のある製品を流通させたのだとすれば、これってファーウェイにとって悲劇ではないでしょうか。やりたくもないことをやらされ、挙句の果てには他国から安全保障上の問題ありということで取引が排除される、本来ものすごく力のある企業なのに、やりたくないことをさせられ、それが発覚したことがきっかけで力のある企業であるにもかかわらず、海外で勝負できない会社にさせられてしまう、ひょっとすると潰れてしまうかもしれない。こう考えると、ファーウェイにとっては今回の出来事は単なる悲劇であるようにしか思えないのです。そもそも中国企業が政府から何かを頼まれ、それを断るというのはその後の事業展開を考えると、現実的な選択肢としてはありえないでしょう。ちょっとファーウェイをかばう立場に寄りすぎかなと思っていたら、なんでもCFOのおじいさんが共産党のちょっとした人だったそうな。事業拡大するためにはこういう人脈って必要なのかなあ。そうであるなら持ちつ持たれつといったところか。

 

 安全保障上の問題に関しては悲劇ではあると思うのですが、CFO逮捕につながった「対イラン経済制裁を回避する金融取引に関与した疑い」はまた別の問題であると思います。これが事実であればファーウェイも儲けを目の前にして欲の皮が突っ張り、やってはいけないことをやってしまった、会社としては注意してしかるべき取引をどうして止められなかったのかという問題に変わってきます。わかっててやっていたとしても同じで、やはりこれが法的に問題であるということであればやはりストップをかけることのできるシステム、仕組みが必要だったのではないかと思います。そう言う意味で、ファーウェイの社内コンプライアンス体制も問題だったのではないかと。もちろん、アメリカが中国狙い撃ち策の一環としてやってきたことであったとすれば避けがたかったのかもしれませんが、少なくとも相手に狙い移されるようなネタを提供してしまったという点で、ファーウェイはミスってしまったといえるのではないでしょうか。

 

 最後に、個人的非常に興味があることとしてこのCFOは中国旅券4通、香港旅券3通を保有しているとのことですが、どうやって取得したのか、それぞれの旅券にどのような違いがあるのか、非常に興味があります。誰か教えてくださーい!


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