2016-05-11

日中間の出資案件、うまくはまればお互いにハッピー

 上海に外婆家というレストランがあります。全国で200店以上あるちょっとした外食チェーンです。いつも並んでいて、並ぶのが嫌いな私はまだ一度も食べに行ったことがありません。

 この会社のオーナーの私と同じ苗字の呉さんはよく日本に行くのですが、東京に行ったときにとあるレストランで非常においしい鳥スープの飲む機会がありました。仕事がら1000杯以上の鳥スープを飲んできた呉さんですが、こんなにおいしいスープは飲んだことがないというほどの絶品だったとのこと。そこで呉さんは店主にこの味を伝授主てほしいとお願いしたところ断られました。このお店はそれほど大きくないながらもミシュランガイドに掲載されているお店で、非常に格式のあるお店でありました。このようなお店が軽々しく味を伝授するわけにもいかず、当然のことながらお断りされたわけです。呉さんはそれでもあきらめず、ライセンスをもらえないかと聞いては断られ、設備を売ってほしいとお願いしては断られ、中国でお店を出すように提案しても断られ、最後に株主にならせてくれといったところ、なんとこれが受け入れられたのであります。株主になったわけでありますから、厨房に入ることもできるようになり、秘伝の鳥スープも手に入れることができたわけであります。

 さて、日中間のM&Aにおいて、日本側が中国側を買うまたは出資する、これに対して抵抗する人はあまりいませんが、中国側が日本側を買うまたは出資する、これに抵抗感を感じる人は少なくありません。特に中小企業であればあるほどその傾向があるように思います。しかし、今回の外家婆のケースを考えてみましょう。呉さんは日本で出くわしたお店の味を中国に持って帰りたかっただけで、日本での経営にまで手を伸ばそうという気持ちは毛頭ありません。日本側は今まで通りの経営を続けることができるわけです。そして中国側は中国で日本のノウハウを活用して業績を伸ばしていくことを目指します。日本側が出資金を受け取る以外に、しっかりとライセンスフィーをもらうことさえできれば(私の見たニュースソースにはここまで書かれていないのですが)、日本側の経営に口を出されることもなく、しかも中国からフィーをもらうことができ、中国側も手に入れたノウハウで業績を伸ばすことができる。誰にとっても損のない話なんですよね。もちろん、中にはたちの悪い中国企業もいるでしょうが、おそらくおおくの中国側の日本側に対する買収や出資はここで紹介しているようなケースが多いのではないかと思います。ビジネスライクに考えればいろいろ面白そうな動きはもっとあってもいいように思います。外婆家の呉さんは秘伝の鳥スープをサブブランドの宴西湖という高級店舗に導入したとのことです。

 しかし、日本という国はミシュラン掲載店舗が世界最大だそうで、東京だけで226店舗あり、これはパリの94店舗もよりもはるかに上回っています。あまり意識して食べに行こうと思ったことはないですが、いつかちゃんと調べていってみたいものです。そこまでするのも仰々しいので、まずは秘伝の鳥スープを提供する宴西湖に行ってみることにしましょう。

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