2021-03-05

中国での債権回収は大変だ!

皆さんはよくテレビをご覧になりますか?どんなテレビ番組が好きですか?私が好きなのはドキュメンタリーとプロレス・格闘技番組です。ドラマや映画でもドキュメンタリーチックなものやシリアスな内容のものが好みです。ということで、WOWOWの連続ドラマWがお気に入りであります。そして現在放送しているのが『トッカイ~不良債権特別回収部』というドラマ。バブル崩壊後にともない経営破綻した住宅金融専門会社(住専)の不良債権取り立てを目的とした国策会社「住宅金融債権管理機構(のちの整理回収機構)」が舞台となるドラマです。個人的に結構感情移入できるドラマなのです。

仕事柄よく市場調査関連のお仕事をいただきます。もともと銀行員だった私に「日本にいるときは調査部門にいらっしゃったのですか」とよく聞かれるのですが、実はそんな仕事日本ではほとんどやったことがありません。上海に来る直前までは営業店で債権回収・保全をミッションとする業績不芳先を主に担当する仕事をしていました。収益予算達成のためにミッションとは別に新規顧客開拓を行ったりもしましたが、メインはあくまで債権回収・保全です。そのため、業績や資金繰りを含めた数字のチェックや、法務的なことまでかなり考えることも多かったです。中国業務を行うようになってからはずっと中国の制度関係のコンサルや市場調査等を行っていますが、この時の経験はすごく役立ったと思っています。私が債権回収・保全業務を行っていた当時はこのドラマのようにかなりややこしい人たちを相手にするようなことはなかったですが、近しい仕事をしていたこともあり結構感情移入ができてしまうのです。銀行と整理回収機構がともに債権者となっている企業があり、その債権の取り立てをめぐって整理回収機構サイドといろいろとやりあったこともありましたが、確かあの時は相当珍しい手法を駆使して債権保全を図ったのを覚えています。

ところで中国の場合は中小企業が銀行借入するのは難しいという事情もあり、中小企業や営業製個人レベルだと銀行じゃないところから借りることになると思います。そういうところから借りて返せなくなった場合、どんな取り立てをされるのでしょうか。また、借入返済以外にも買掛金の支払いをなかなかしてくれないケースに遭遇することもあると思いますが、どのように回収するものなのでしょうか。弁護士事務所に相談するケースもあると思いますし、債権回収を業務として行っている会社があったりします。弁護士事務所が行う債権回収はおおよそ想像がつくのですが、債権回収業務を行う会社の債権回収ってどんな風にするのでしょうか。回収までの道筋を考えて弁護士と一緒に進めていくのかなあと普通は思いますよね。試しに「催账公司」や「讨债公司」と検索すると結構いろんな会社が出てきますが、そういう会社がどのようにしているかですよね。依頼されて取り立てを行うケースもあれば、債権譲渡を受けるというケースもあると思います。以前別分野のコンサル業務をやっている知り合いの中国人からそういう会社の債権回収方法について聞いたことがあります。その方曰く、「基本的には暴力を使って回収するんだよ」。わぉ!なんともドストレートな!債権者がとあるところに債権回収の依頼ではなくて債権譲渡したのですが、そのあと債務者から譲渡者(元々の債権者)に「譲渡するのはしょうがないとして、なんであんなえげつないところに譲渡するのだ!」を文句を言ってきた話を聞いたことがありますが、結構えぐい方法を使っていたのかと思われます。果たしてこんなところばかりなのでしょうか。

さて、知り合いから聞いた話(このときはおそらく債権譲渡じゃないケース)を箇条書きにまとめると、

・債権回収会社は基本的には暴力を使って回収

・回収額に応じたパーセンテージがその会社に対するフィー

・債務者は取り立てに来た債権回収会社に対して支払い、債権回収会社がフィーを差し引いて依頼主に支払うが、取り立てたお金をそのまま持ち逃げするようなところもある。

なんだかややこしそうだ。最終的に債権回収会社に依頼する羽目にならないように、与信ルールを決めて、そのルールに沿う運用を行うとともに、取引先の状況を定期的にチェックするしかなさそうですね。

関連記事