中国が作る「偽日系ブランド」

　中国における偽日系ブランドで真っ先に思い浮かぶのがメイソウ。わざわざ日本に会社登記まで行っており、中には本当に日系ブランドと思っている中国人もかつてはたくさんしました。今はだいぶ減ってきているかな。

　これと同じようなことをやっている会社がほかにもあります。元気森林という飲料会社があるのですが、「気」というロゴの入ったペットボトルを飲んだことはなくても見たことくらいはある人はいるでしょう。

　2019年度の売上高は9億元余り、利益は出ていません。しかしながら、ファンド筋から大量の資金が入ってきており、企業価値はなんと20億米ドルともいわれています。まだ利益も出ていないのに。中国企業はこういう事例はたくさんあります。

　この元気森林、ネットでも販売され、実店舗でも販売され、徳野ほかの飲料と大きく違う販売手法がとられているわけでもないようです。実店舗での売り上げが60-70％なので、EC販売の割合は30％ちょっとくらいになります。実店舗では目立つところに置くようには心掛けているようで、例えば空港、高鉄駅、一線都市のコンビニが中心です。そしてターゲット消費者は一定水準の収入のあるサラリーマン、学生等の若い人たちで、この辺はコンビニ利用者層と重なっているとのこと。

　さて、この記事を偽日系ブランドというタイトルにしていますが、偽日系ブランドといわれる所以がどこなるか見ていきましょう。

　同社の商品は「気」以外にもいろいろありますが、例えば同社のヨーグルトブランドで「北海牧場」というのがあります。パッケージに日本語が書かれています。

こっちも日本語。

思いっきり北海道という表示。これが商品名になっているといえるくらいですね。

　成分表のあたりを細かく見ると、なんと左端に、「日本国 株式会社元気森林　監制」と書いてあります。

　この日本の会社、実在してます。国税庁法人番号公表サイトで検索すると見つかります。わざわざ日本に法人登記までするところがメイソウと同じですね。

　商品紹介のページを見るとさらにこんなのが。精选菌种供应伙伴（厳選された菌株供給パートナー）として広島大学の名前とともに、広島大学植物乳酸菌研究所なる名前が。検索したところ、「株式会社植物乳酸菌研究所は, 広島大学大学院医歯薬保健学研究院の杉山政則教授により, 2008年10月に設立された大学発ベンチャー企業です。」というのが見つかりました。名称がちょっと違いますが、多分これのことを指しているのでしょう。しかし、実際に協力してるのかなあ。

　植物乳酸菌研究所のサイトをざっと眺めましたが、元気森林という名前を見つけることはできませんでした。たぶん、元気森林が植物乳酸菌研究所から菌種をかつて調達したことがある程度の関係なのではないかと推測。あくまで推測ね。

　おしまい。