2023-04-28

4年ほど前に合弁相手との関係が悪化したという報道のあったファミリーマート(中国)の今

4月17日、中国チェーンストア協会は「2022年中国コンビニトップ100」の公告を発表しました。その資料の解説を2回にわたってお伝えしております。

前回の記事はこちらから。「2022年中国コンビニトップ100」日系トップはローソン」

ファミリーマートは遅れてる?

ファミリーマート、ローソン、セブンイレブンに代表される日本のコンビニエンスストアは、運営や管理の面で間違いなくトップクラス。ファミリーマートは合弁相手である頂点新国際集団との契約紛争(詳しくはこちらをご覧ください:「中国のファミリーマートが大変だ!」)に加え、コロナの影響もあって、店舗展開が停滞し、閉店が相次いでいることが原因だと言われています。この他には、ファミリーマートは契約上の理由で地域展開が制限されている、セブンイレブンはIP、会員制マーケティング、QSC「Quality(クオリティ)」「Service(サービス)」「Cleanliness(クリーンリネス)」強化の面で3大ブランドの中ではやや遅れをとっているという人もいます。

頂新国際集団とファミリーマート日本本社は昨年、新たな契約を締結し、4年間続いた契約紛争に終止符を打ったことが報道されております。これにより、ファミリーマートは今年、中国で多数の新店舗をオープンする一方、オープンして5~6年経過した店舗をリニューアルオープンさせていくことになるとのこと。 合弁契約トラブルという事象が発生したことが影響してか、店舗数の減少することがみられましたが、これが決着したことにより、中国におけるファミリーマートの勢いは盛り返していくと思われます。

3社の発展ペースの違いはに組織形態の違いに起因しているという未アタがあります。ローソンの中国におけるフランチャイズモデルは柔軟性があり、「大型フランチャイズ店」、「小型フランチャイズ店」、「地域認可店」、「フランチャイズ経営」など、地域の状況に応じて様々な形態があります。これに対して、ファミリーマートとセブンイレブンは常に一定のペースで出店しています。ローソンの出店店舗数の増加は昨年深圳市なので203店舗を運営するコンビニエンスストア運営会社天虹微喔を買収したことによることも大きいでしょう。

また、日本のコンビニエンスストアは運営管理の整備を重視しているのに対して、中国国内のコンビニエンスストアの多くは、単純な商品供給関係に近い「緩やかなフランチャイズモデル」を採用していることが多く、出店数だけ見れば中国国内コンビニブランドが確かに多いものの、海外ブランドは開発面で大きな優位性を持っているといえます。

コンビニ業界については一般的に、一人当たりGDPが1万米ドルに達すると業界の急速な発展段階に入り、一人当たりGDPが1万5000~2万5000米ドルになると、コンビニは成熟段階に入り、市場も盛り上がりが増してくると言われています。中国の2019年の一人当たりGDPは70,078元で、1万ド米ドルを超えており、まさに急速な発展弾段階の時期に入っていると言えます。

近年、政府の後押しを受けて地方のコンビニブランドが急速に発展します、それほど儲かっていないと言われています。その理由としては以下が挙げられています。

  • ローカルコンビニブランドが多すぎる
  • 外資系コンビニに消費者が慣れており、ローカルコンビニブランドのサービスでは満足しない消費者が多い
  • 効率よりも規模を優先している

政府の後押しは確かに大事かもしれませんが、ビジネスの発展は官がリードするよりも民間がリードする方がうまくいくケースが多いのではないでしょうか。

中国コンビニ店としては、まず外資系コンビニとローカルコンビニのギャップを理解し、問題点を認識することが第一歩で、その次に単なる小売店から脱却するために商品構成なり物流システムなり、組織構造なりを含めて、何をしていくべきかを考えていく必要があるでしょう。

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