2023-05-18

海外で働くという選択

日本経済が停滞してもう30年になりますでしょうか。賃金もこの30年間なかなか上がりません。そういえば、私も日本で買い物するときのこの商品の値段が高い安いの感覚、商品価格に対する感じ方は30年前とほぼ変わっていないような気がします。一番わかりやすいのは牛丼ではないでしょうか。吉野家の昨年までの牛丼価格の推移を見てみましょう。

これを見ると私が社会人になった1992年の時点では400円、それから約30年後の現在は448円と50円くらいしか値上げしていません。物価感覚があまり変わらないのも致し方ないかもしれません。そんな日本もようやく最近になって原料高による値上げや、人手不足による人件費上昇がみられるようになってきました。そんな中でこういう記事を見つけました。

日本「雇い負け」の危機 人材獲得、陰る国際競争力 日本の賃金 強まる上昇圧力③ 

高度専門人材だろうが一般人材だろうがさすがに日本も給料上げないと大変だという記事です。

この記事を読んであることを思い出しました。日本ではなくあえて中国の地方都市の飲食店に勤務している知人から聞いた話。

  • 日本の飲食業はブラックな職場が多い。
  • 老舗と呼ばれる有名料理店で何年たっても給料は上がらない人がいる。
  • 何年たっても一人前の仕事をさせてもらえず、給料も15万円しかもらえない(さすがに手取りかと思うが)ような状況だったりする。

こういう状況に置かれている人が、ある日中国で働かないかという誘いが来たそうです。給料は15万円どころじゃない。2倍ところか3倍4倍もありえる、しかも下働きではなく一人前の仕事をさせてもらえるようになる。普通に考えればいい話です。しかし、海外へ行くとなるとすぐに決断することができず、とりあえず周りに相談したところ、そんな話は怪しい、今こんないいところ(誰もが知ってる有名老舗店)で働いているのにそれをみすみす捨てるのはもったいなくないか、と相談すればするほどブロックの嵐。嫁ブロックならぬ知人ブロックですね。後、親ブロックも多いとか。そしてこの人は最終的にはこの転職話を断ったそうです。なんとももったいない。

この話をしてくれた人に聞いたところ、いま日本に戻ったとして同じ待遇で働けるとはとても思えない、中国の景気が停滞気味とはいえ、なんだかんだで給料は上がり続けており、今後の展望も感じられる、絶対に日本で働くよりもいいと感じている、とのことです。この感覚は私も理解できます。

時々テレビで取り上げられる日本では薄給のすし職人だった人がアメリカにわたって年収8000万円のアメリカンドリームをつかんだ人の例があります。この人の場合は料理人・職人だけではなく経営者にもなったことでこれだけの夢をつかみ取ったわけですが、料理人・職人のままであったとしても待遇は日本よりも大きく上回っていたと考えられます。

商社マンですら海外赴任を希望しない人が増えていると聞いたことがありますが、それだけ外に出ていこうという意識が以前と比べて失われてきているのだと思います。海外で働くにしても言葉がわからない、場所によっては高給でも生活コストが高い、文化になじめるかどうか不安、といった不安要素がありますが、キャリア形成や人生設計をよくよく考えたうえで海外で働いてみるというのも全然ありではないかと思います。

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