2019-10-17

海外華僑と中国身分証について

 世界中いろんな国にIDカードや身分証明証と呼ばれるものがあります。日本ではこれらの正式なものがなく、免許証がその代わりになっていたり、これからだとマイナンバーカードにこの機能を持たせるようにしているのではないかと思います。正式な身分証明証というのはあったら便利だとは思います。そして中国にも身分証明証があり、一般的に身分証と呼びます。しかし、中国人でも身分証を持っていない人がいます。永年外国で生活しているいわゆる華僑と呼ばれる人たちです。彼らはパスポートこそ持っていますが、中国に戸籍もなければ身分証もありません。当たり前といえば当たり前なのですが、これが何とも不便な局面にぶち当たることがあります。

 私の後輩で日本育ちの中国パスポートを持つ在日華僑がいます。一度彼から相談されたのですが、どうも中国パスポートだけだと香港に行くことができないといわれたのだが、何とかならないかという相談でした。私は大陸系華僑ではないのでそのようなことは考えたこともなく、しかしどのようにしていいかもわからず、しかし、在日華僑の中に香港に行ったことのある人はいくらでもいると思うので、行けないことはないだろうという返事しかできませんでした。

 そんな彼とかなり久しぶりに新幹線の切符売り場でバッタリ会いました。すぐに香港の話を思い出し、それを聞いたところ、役所としては民政局というところが対応するそうなのですが、近所の民政局では「こんなケースやったことないからできない」といかにも中国のお役所対応をされてしまったとのこと。やったことないからできないはルール上できないとイコールではないのですが、こういう言い方はよくあります。やったことがないからわからないという表現だったらまだわかるんですけどね。結局浦東にある大きな民政局で手続きを行うことができ、香港に二回はいることのできるカード(?)を取得したとのこと。身分証がないというだけで面倒な手続きをする羽目になった事例です。

 その同じ彼が昆明に出張したとこのこと。なんでもそのとき、取り締まりが厳しくなっていたようで、身分証を持っていない中国人は宿泊を受け付けないということになっていたようです。一般の外国人ならパスポートで宿泊手続きをすることができ、一般の中国人なら身分証で宿泊手続きをするのですが、彼は日本育ちの華僑、身分証がなくてパスポートがあります。「四つ星のホテルなのに泊まれませんでしたよー!」とぼやいていました。身分証を持てない外国育ち中国人を理解することできなかったのでしょう。身分証は自明ありきという考えが抜けきれないのでしょう。そういえば20年近く前になりますが、携帯番号を取得するために、その当時は街中で気軽に番号を取得できた時代ですが、身分証を要求するところもあり、たまたまそういうところで番号を作ろうとしたときに、身分証がないとだめといわれたことがあります。外国人だからパスポートしかないといっても身分証がないとだめの一点張り。こいつアホかと思った思い出があります。

 しかし身分証にまつわるこんなトラブル、身分証のない日本だとちょっとイメージできないかもしれないですね。

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