2024-02-02

中国不動産市場はバブル崩壊の序章か?一時の調整か?

中国の不動産バブル崩壊という言葉が日々新聞やネット記事で見かけられます。青島嬉泰房地産有限公司が発表している中国房価行情というデータベースで見ますと、地級市以上である297都市において、2024年1月の住宅価格は162都市が前月比プラス、135都市が前月比マイナスと、プラスになっている都市がやや多いという状況にあります。中国恒大集団が香港で清算命令が出されたことからも中国不動産バブル崩壊のリアリティを感じさせられる一方で、なんだかんだで住宅価格がプラスになっている都市が半分以上というミスマッチ感。きょうはそのあたり、もう少し掘り下げてみていきます。

2024年1月の住宅価格ランキングを軸にして売買価格と賃貸価格の前月比と前年比の数値を並べてみました。なお、売買価格を軸に順位付けしましたので、賃貸については必ずしもこの順位ではありません。

297都市中の上位10都市ですから、どこも知名度の高い都市ばかりです。ぱっと見る限り、深セン、北京、上海が一軍的地位にあり、広州意向を大きく引き離しています。広州なんて発達している都市ですし、気軽に香港に行けたりしますし、そして食は広州にありといわれるように、とにかく食事がおいしい、という優位性があるにもかかわらず、一軍から大きく引き離されています。中国版chat gptにその理由を聞いてみたところ、北京・上海・深センと比べて広州は貿易業や伝統的製造業が多いのに対してハイテク産業が見劣りしていること、まだ開発余地があるというような回答が返ってきました。なお、その正確性については検証していません。

さて、これら上位10都市の数値を見ますと、マイナス数値が示されているところもありますが、全都市がマイナスになっているわけでもありません。売買価格について前月比、前年比ともにマイナスになっている都市は上海と厦門のみ。上海のマイナス幅はそれほど大きくありませんが厦門の落ち込み方は気になります。厦門と広州の前年比の落ち込み方を見ますと、おそらく前年は広州を上回る価格がついていたのでしょう。同じく、南京の前年比もかなりの落ち込みですね。

賃貸価格について見ていきましょう。前月比、前年比ともにマイナスとなっているのは厦門と東莞の2都市。厦門は売買金額においても前月比、前年比マイナスとなっているので、厦門に関しては確かに情勢がよくなさそうですね。しかし、三亜と南京の前年比の伸び方は尋常ではないですね。上海の住宅賃料も前年比プラスなので、私はたまたま今月期限満了分を先月減額で更新手続きしたのですが、これはラッキーだったということなのかもしれないですね。

この程度の落ち込みであれば不動産不況とは言えても、不動産バブル崩壊というほどでもなさそうです。今までの期待値が高すぎたのかもしれません。しかし、こういうものは1年という短い期間ではなく、3年、5年経過してどうだったかというので見えてくるでしょうから、もしこれが不動産バブル崩壊というのであれば序章に過ぎず、そうでなければ一時の調整ということかと思われます。どっちに転がるでしょうか。

関連記事