2021-05-12

独ビオンテックがコロナワクチンの中国生産に向けて始動

中国復星医薬は昨年3月の時点で独ビオンテックより中国での供給に関するライセンスを得たことが発表されていましたが、その後の進捗を追いますと2020年11月に臨床試験の批准がおり、同年12月に960人の臨床試験を終えております。今はまだこの段階です。

ところが今度は、独ビオンテックが中国復星医薬と合弁会社を設立し、中国国内でmRNAワクチンを生産することが発表されました。概要は次の通りです。

・合弁契約締結:2021年6月中旬を予定

・設立場所:上海

・合弁期限:15年

・出資比率:50:50 

 復星側は現金または現物(工場、生産設備等)で最大1億米ドルを出資

 ビオンテックは生産技術とノウハウ等の無形資産で最大1億米ドルを出資

・生産能力:年産10億本

合弁会社は復星医薬産業の関連会社をCSO(contract sales organization)として受入、中国国内のワクチンのマーケティング及び販売業務を提供します。

また、合弁会社が存続している間、双方は中国におけるビジネス化の状況に基づいて提携範囲をmRNAから他の伝染病や治療分野へ拡大することも議論されているとのこと。

合弁契約が来月、生産開始前に生産許可を取得し、上市の批准を取得する必要があることを考えると、中国産のビオンテック社ワクチンの流通は年内はちょっと難しいかなあというのが個人的な印象です。しかしビオンテックス社ワクチンはマイナス75度の環境で保存しないといけないものであることから、そもそも海外から運んでくる労力も高く、これが中国国内で生産できるとなると、中国国内の移送ももちろん大変だとは思いますが、かなり普及しやすくなるのは間違いないでしょう。これってコールドチェーン物流の商機にもなりそうですね。

中国国内で海外産コロナワクチンがまだ認可されておらず、独ビオンテック社コロナワクチンも認可に向けて動いているとはいえまだ認可を取得していません。そんな中で中国企業と合弁で中国国内生産を始めるというような動きが出て来るのは、中国国内である程度中国産ワクチンの普及にめどがついたので、そろそろ外国ブランドにも門戸を開こうか、という時期がやって来たと考えることができるでしょう。中国国産のワクチンも色々といわれておりますが、自国で生産するワクチンがあるうえに、さらに海外技術を利用したものを国内生産できるようになるというのは、単純に供給量が増える、選択肢が増えるということでもあり、うらやましい限りですね。

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