2021-07-16

海南島の医療特区

海南島といえば観光、ビーチ、免税店、このあたりを想像する人が多いかと思います。ところがどっこい、調べてみると結構いろんな取り組みをしている、あるいはしようとしていることがわかります。観光、ビーチ、免税店のイメージが強すぎてあまりイメージとして思い浮かばないと思いますが、実は海南島に医療特区があるのです。今日はこれについて紹介しましょう。

博鳌楽城国際医療旅游先行試験区というエリアがあります。

博鳌楽城国際医療旅游先行区(Boao Lecheng pilot zone of international medical tourism)は中国初の国際医療ツーリズムサービス、低碳生態社区と国際組織の凝集地を主な内容とする国家級試験区であり、重大な国家戦略の常用キーワードでもあります。

博鳌楽城国際医療旅游先行試験区に設けられている医療機関はこういったところがあります。写真で見る限りは結構立派そうなところもありますね。

関連通達を見て行きましょう。《国務院:中国(海南)貿易試験区総体方案》(国発〔2018〕34号)の中で「博鳌楽城国際医療旅游先行区をもとに、大々的に国際医療ツーリズムとハイエンド医療サービスを発展させ、先行区範囲内で確かに輸入が必要であるものについては、関税率が比較的高い一部の医療器械研究について適宜関税を引き下げる。幹細胞臨床前線医療技術研究プロジェクトの展開を支持する。医薬産業の基礎のもとで、重大な新薬作成の国家科学技術重大当別プロジェクト成果の移転転化試点の展開を探索する。」と謳われており、また、《国家発展改革委、国家衛生健康委、国家中医薬局、国家薬監局:支持建設博鳌楽城国際医療ツーリズム先行区の建設を支持することに関する実施方案》(発改地区〔2019〕1482号)が公布されていることからもわかるように、博鳌楽城国際医療旅游先行試験区は今後注力していくエリアであることがうかがえます。

医療分野には医療サービス、医薬、医療機器がありますが、医薬をピックアップして見ていきますと、《国家発展改革委 商務部:海南貿易港建設において市場参入緩和の若干の特别措施を支持することに関する意見》(発改体改〔2021〕479号)の中で「創新医薬衛生分野市場参入方式」として、以下が謳われています。

(1)インターネットでの処方薬販売の展開を支持

(2)海南の国産化ハイエンド医療装備創新発展を支持

(3)薬品市場参入増加の支持。

   ・薬品の研究開発、試験、生産、応用環境の最適化

   ・国産高価格医療用消耗材、国家創新新薬と中医薬研究開発生産企業の海南での登記を奨励

   ・海南新薬研発融資関連体系の整備

   ・薬品上市許可保有者と適合する新薬研究開発支持制度の制定

   ・国内外薬品メーカーと薬品開発組織が海南で各種創新新薬と改良型新薬の開発を奨励

   ・楽城先行区に登録する医療機構が臨床試験を展開することを奨励。

   ・海南を登録地とする薬品メーカーは、中国国内でⅠ-Ⅲ期臨床試験を完了し上市許可を取得した創新新薬について、条件を備えた医療機構で原則として直接使用することを奨励

(4)CROの参入制限を開放

(5)ハイエンド医療美容産業の発展を支持

   楽城先行区の美容医療機構で米国、EU、日本等で上市している医療美容製品の使用可能

(6)移植科学全分野の参入と発展環境の最適化

   移植分野の各種新薬、検査資材、遺伝子技術、医療機器等の参入環境を最適化。条件を満たすものについては優   

   先または創新審査手順で進める。

(7)海南医療健康産業発展混改基金を設立。

分野外の人からするとよくわからない内容も多いかと思いますが、この分野で何か新しいことをやろうと思っている企業にとっては結構面白いエリアかもしれませんね!

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