2022-04-26

いつまでもなくならない従業員の不正行為

三只松鼠という会社をご存じでしょうか。お菓子の会社なので見かけたことのある人も多いかもしれません。2012年2月設立、2019年7月に深圳創業板A株上場。従業員数が4000名以上、年間売り上げが100億元を突破しているちょっとした会社です。

こんなちょっとした会社でも不正が発生します。どんな不正があったかを見てみましょう。

1.キックバック

2017年12月から2019年12月にかけて三只松鼠股份有限公司の京東旗艦店運営部総監というポジションの人が非国家工作人員収賄罪という罪名で懲役3年の判決が下されました。

この事件にかかわったのが三只松鼠のA、その共犯のB、Cの3人です。

Aの経歴ですが、2014年12月入社、そして2017年12月から2019年12月の間に鼠小野産品特殊隊隊と産品供応鏈中心辣条部責任者というポジションにいました。そしてこの職務を利用して、共犯のB、Cとともに、あるいはA単独でサプライヤーに対して供給価格の引き上げを促し、そこからキックバックを得ていたというものです。懐にした金額はなんと5,302,377.7元なり。ざっと1億円ですね!発覚後、公安はAが違法所得で購入したBMW(購入価格268,000元)及び妻名義の不動産(1,141,236元)を差し押さえ、ここから違法所得1,178,941.7元を弁済。判決としては懲役3年、罰金40万元というものでした。足らない部分は別途返済するのでしょうか。

三只松鼠は、「これは会社が主体的に不正調査した結果わかったものである、不正行為は全く許されるものではない、今後こういうことが全くなくなるようにする」とコメント。こういうしかないですよね。これはつい先日のニュースなのですが、実は去年もこの会社で不正事件が起こってます。

2.横領

三只松鼠の物流部門のDがその人物。こやつは2つやらかしております。まず一つ目ですが、会社が処分する廃段ボールを自分のものとして販売し、その売却収入684,000元を自分の懐に。もう一つは、物流部門のマネージャーという職務を利用して、金銭279,042元とBMW(購入価値429,000元)を受け取ったというもの。これも会社の内部調査で発覚したもので、証拠を押さえてから公安に通報したとのことです。下された判決が収賄罪として懲役1年2か月、罰金50,000元、職務横領罪として懲役11か月、罰金50,000元が科され、この二つを合わせて懲役1年10か月、罰金100,000元が執行されるというものです。

しかしまあ、こういう事例がなかなかなくならないですねえ。中国のドラマを見てましても何か取引するときに、「それやって何かやってくれるの」といわれ、「任せてください、やり方はありますので」と答える銀行員の場面が出てきたりします。古いドラマならともかく、ついこないだ放送を終えたばかりの最新のドラマでこれですから。いずれの事例も内部調査で発覚ということですが、この証拠を押さえるという作業がなかなか難しい。会社のパソコンではなくスマホやられてしまうと確かに発見しづらいですよね。疑いを持ちつつなかなか証拠を押さえられず、黒に近いグレーだが、黒と断定できないということで残念ながら追及できずにいる話も実際にあります。悔しいですよね。

不正を起こしにくい仕組みを作っていくのが会社としてとる大作だと思うのですが、不正をしようとする人はそれをかいくぐってやろうとします。そして、なんだかんだで内部通報で発覚するケースが多いと思いますので、その情報を得た後の初期対応、そしてその後の調査の進め方、このあたり慎重に進めていく必要があるかと思います。

この二つの事例を見て思ったのですが、みんなBMWがすごく好きなのでしょうか。一介のサラリーマンがBMWに乗るというのは不正を行っているシグナルなのかもしれません。BMWに乗り始めた社員がいれば要注意かもしれませんね。

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