2022-04-21

都市封鎖のさなかで生産再開も完全回復までの道遠し

4月19日より、23日間停止していたテスラの上海工場が生産を再開し、8000人以上のテスラ社員が工場に戻ってきたとのこと。先月3月16・17日の2日間生産を停止し、3月28日以降は都市封鎖の関係でずっと生産活動が停止していました。このように、上海はエリア全体の封鎖を解除していませんが、先日紹介したように666社の重点企業ホワイトリストの第一陣が発表されています。このうち40%近くにあたる250社以上が自動車関連企業です。自動車工場の生産需要に牽引され、多くの川上部品メーカーも生産を再開しています。

上海は中国の自動車産業にとって重要な拠点であり、2021年の自動車生産台数は283万3200台と、中国全体の10.7%を占めるというデータもありますので、自動車生産の再開は優先すべき決定だったといえるでしょう。

しかし、半ばロックダウンしている中で生産を再開することはなかなか容易ではありません。サプライチェーンの不備や人員不足などの要因により、生産は再開したものの当面の間、工場が以前の生産能力水準に速やかに戻ることは困難であるようです。

とある部品サプライヤーの上海工場では厳格な管理の下で、つまり工場を閉鎖(外との接触を遮断するという意味での閉鎖)管理しつつ生産活動を行っており、生産、技術、品質などの現場従業員の管理を行っています。従業員たちは工場に泊まり、工場で食料をとるという生活をしているとのこと。ほかも同じような状況かと思います。

生産は再開されましたが、すぐに以前の生産水準に戻ることは現実的ではありません。その理由として、一つ目は封鎖管理されている中で人員をかき集めるのが難しいという問題、二つ目として、川上のサプライチェーンの状況も似たり寄ったりで、調達が難しいという問題、三つ目として、物流も今まで通りスムーズというわけでもないという問題があります。今ある在庫が切れてしまうと、当然完成品として仕上げることはできなくなってしまいます。

実際にボッシュ関係者によると、「物流やサプライチェーンの調達に一時的な影響が残っており、生産高が以前の水準に達することは難しい」言っており、また、海外の部品メーカーでも「上流のサプライヤーが生産を停止しているため、完成品が出荷できず、供給にも影響が出ている」と言っている人もいます。

時間が解決するのかとは思いますが、管理すべき事項も多く、満足な状況で生産できないため、ほかの業界も含め完全復活まではまだしばらく時間がかかりそうです。

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