2022-01-29

新卒者の就活事情!コロナの影響はどうですか?

オミクロン株の流行で世界的にコロナ感染が増加していく一方で、感染した場合のリスクを鑑みて隔離期間の短縮化に向かっている一方で、中国は引き続き、いや、オリンピックの影響か、以前よりも厳しくゼロコロナ政策を徹底する傾向にあります。あまりに厳格に行うためにあちらこちらで不満の声も上がりつつあるようですが、経済面にも影響をもたらしているかもしれません。

さて、こんな状況の中で、中国の新卒学生の就職状況についてみていきましょう。

2022年の大学卒業予定の学生は、1076万人、これは昨年より167万人多く、過去最大数のようです。この記事だと大卒をどのように定義しているかが不明なので、学生数の統計を調べなおしてみたのが下表です。

いずれにせよ、高等学歴の人が以前よりも大幅に増加しており、大卒学生の価値も依然と比べて薄まっていると思われますので、記事にあるように大卒にとって中国国内での「就職難」というのも理解できます。

CIER指数(中国市場就業景気指数)という数値があります。これの計算式はこんな感じです。

CIER指数=市場採用需要人数/市場求職申請人数

計算式を見る限り、数値が大きいほど学生にとっての売り市場であるということが分かります。

昨年の第4四半期は、2022年卒業予定の新卒が主体ですが、前四半期と比較して求人需要は8.2%の低下に対して求職希望者が29.9%も上昇しており、結果としてCIER指数が大きく低下しています。前年同期と比べても求人需要が11.2%のマイナスに対して、求職希望請者が37.8%も上昇しており、やはりCIER指数が大きく減少する結果となっています。コロナの影響が長期化していることが関係しているのでしょうか。

次に、求人ニーズが旺盛な業界とそうでない業界を見ていきましょう。

求人ニーズの高い業界は、基金/証券/先物/投資、機器計器及び工業自動化などの業界。デジタル人民元などのデジタル金融分野、工業自動化、人工知能などの業界の急速な発展の影響により、関連業界の新卒者は人気のようです。

逆にそうでない業界は、特に目立つのは教育関係。昨年の7月に急に国が発表した「塾規制」により、新卒の就職にも大きな影響が出ているようです。あと、不動産業界。昨年9月に出た不動産大手・恒大集団の経営危機の影響も大きく受けております。これ以外だと昨今の情勢を鑑みると多分ゲーム業界もなかなか厳しいのではないかと思います。

コロナの影響により新卒学生の考え方も少し変わってきているようです。国有企業や公務員を希望する学生がかなり増えてきており、安定志向の傾向がみられます。下表を見ますと、国有企業のCIER指数が低いですが、それだけ採用ニーズが少ない、あるいは応募したい学生が多いということが言えるかと思います。とはいうものの、全体的に指数が下落基調にあることが見て取れますね。

ギラギラした人が多かった時代から安定志向へ、ある頃からその傾向がみられるようになっていましたが、国が成熟していくとともに、また昨今の景気動向により、当面安定志向は続くかと思われますね。

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