2017-06-22

中国の屋外音楽フェスティバルは85%が赤字運営

 最近中国で音楽フェスティバルの開催が増加しています。

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 2015年が大きく減少していますが、これは2014年末の上海でのカウントダウンイベントで将棋倒しにより死傷者が発生したことにより翌年のイベント数が減少してしまったことによります。2016年には再び増加に転じ、200余りが開催されています。これだけイベント数が増えているのですが、多くの音楽フェスティバルの収支は赤字で、主催者の管理運営とも十分なレベルに達してないといわれています。

 まず、収入面で言えば、チケット収入がそもそも足りないという問題があります。もちろんチケット収入以外に、スポンサー収入があり、グッズの販売もありなのですが、グッズ収入は総収入の5-10%程度のため、チケット収入に負うところが非常に高いです。コストも決して安くなく、2012年に成都で開催された大愛音楽節というイベントは6000万元のコストをかけたにもかかわらず、チケット収入はわずか300万元という惨憺たる結果に終わっています。こんな状況なので、来場者数が減ることを恐れてチケット代金を引き上げることもできない状況にあります。来場者も学生や若手社会人が多く、要するに可処分所得が少ない人が多いため、価格をある程度低く設定せざるを得ない状況にあるようです。それと、ダフ屋の影響もあります。よほどの人気イベントであればいざ知らず、そうでなければダフ屋は安くチケットを売る、それを知る来場者は安くでチケットを買う、正規の金額で買う人は極めて少ない、ということになってしまいます。

 また、利益を上げることが第一の目標となっていないこともあって、収支がこんな状況でもイベント数だけは増えていってます。現在中国の音楽フェスティバルは①都市、②商品、③専門家、これら3つと連動したものが主体となっています。①は都市のアピール、②は商品のアピール、③はレコード会社やイベント会社による開催、ということです。①、②はその性質上イベントそのものの収支は第一の目標となっていません。③については、回数をこなしているうちに利益の出るイベントに成長していきますが、道のりは決して短くはありません。ということは、音楽フェスティバルの開催数はこれからまだまだ増えていくんでしょう。しかし、チケット収入以外のグッズ収入はもっと増やさないとだめですな。しかしこれがまた難しいと思います。音楽フェスティバルではなくてコンサートなのですが、これがすごいのよ。以前台湾歌手蔡依玲のコンサートに行ったことがあるのですが、まず会場にグッズ売り場が見当たらなかった(有ったかもしれないけれど)。そして、コンサートが終わった後の帰り道で、コンサートの関連グッズのみならず、その日のコンサートの様子を撮影した写真を大きく引き伸ばしたものが売られていたりするのです。いつの間に!そりゃあグッズが売れないわけです。これが放置される限り、グッズ収入の売り上げも上がらないでしょうし、スポンサー収入を飛躍的に増やさないと、結局いつまでたってもチケット収入こそがすべてのような収支構造から抜け出せないでしょうね。それでもまだまだ屋外音楽フェスティバルは増えていくとみられています。都市なら都市、商品なら商品で、派生的に効果が出ていればいいのですが、いつまでこの状況が続いていくでしょうか。

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