2017-04-14

中国から見た日本企業

 中国から見た「日本企業はなぜ敗北基調にあるのか?“三流商品を中国で販売”する態度が原因の一つ。という記事を読みました。1996年には世界トップ500に99社もランク入りしていた日本企業は、2016年には52社へとほぼ半減、以前と比べると凋落しているというような調子で書かれており、特に家電企業を中心に取り上げており、パイオニア、三洋電機、シャープといった銘柄が挙げられています。どこまでなるほどと思える文章になっているのか、ざっと内容を要約してみました。

1.過度な技術信仰

 日本の製造業は過度な技術信仰の状況にあり、性能を1%引き上げるために30%のコスト投入を惜しまない。

2.ユーザー目線、マーケティングが希薄

 技術偏重市場軽視、とにかく技術至上主義なので市場とのミスマッチングが発生。

 コラボの意識が欠如しているのが発展のボトルネック。匠文化の影響と思われる。

 中国市場で日本の消費電子ブランドが華やかなマーケティング活動をしている光景が見られない。小米、魅族、楽視等のほうがよっぽど目立つ。

 産業チェーンが細分化しているのは疑いようのない事実。日本企業があれもこれもすべて自前でやろうとするのに無理がある。

3.終身雇用制、日本企業は痛みを受けられない

 かつて終身雇用制は従業員にとっても保障があり、ロイヤリティも向上したが、多くの日本企業が「国有企業病」に侵されてしまっている。真面目にやってもそうでなくても収入に大きな影響はない、この状況でどうして一生懸命になれようか。

 出来のいい人が飛び出したいと思っても、受け皿となる会社も同じような考えで運営している、つまり人を辞めさせないので、行く先がない。結果として人材が流動化しない。これは特にやる気のある人材という資源を無駄にしている。

4.日本企業の中国戦略の失敗~家電企業について

 日本企業が合弁を嫌がるので、そのおかげでハイアール、長虹、康佳、TCL、といった企業が現れた。

 日本企業がもし中国企業と合弁していれば世界市場でのプレゼンスも違っていただろう。

 中国を生産基地としてしか見ておらず、将来的な消費市場まで視野に入れた長期的目線で考えていなかった。中国という市場に初期の段階で進出してきたのにもったいない。

 一般的に中国人を管理層に引き上げようとしない。幹部には中国人や華人が極めて少ない。

 日本企業に中国での研究開発センターの設立は欧米企業と比べて全く積極的ではない。

 中国人の日本企業に対する一般的な感覚は、“一流商品は日本で販売,二流商品は欧米で販売,三流商品は中国で販売”。

5.日本は起業を奨励しない文化

 インターネット関連で見た場合、アップル、ヤフー、Facebook、google、amazonといった企業に抑えられており、日本本土の企業で対抗できるところがない。

 ネット関連が発展しないのはオフラインが発達しすぎているのも要因の一つ。コンビニ、ドラッグストア、百貨店、自動販売機、が充実しすぎている。

6.永年の良好な印象が崩れている

 東芝とオリンパスが具体名で挙げられています。日本の会社が財務内容をごまかすようなことをするなんて。

7.古い殻に閉じこもって進歩を求めず、正確な戦略の選択と投資ができない

 世界の潮流はVCDやDVDという流れの中で、ビデオへの過剰投資。

 プラズマテレビへの巨額投資。

8.低価格競争についていけない

 低価格競争についていけず、そうこうしているうちに高価格品を捌くことができず、経営状況が悪化。家電部門売却に至る。

9.幹部にイノベーション能力がない

 日本の大企業には二種類ある。創業家族が影響力を持ち続ける企業。必ずしもファミリー企業ではない。幹部が生え抜きの会社。後者については数年で交代するので、その短期間の間にミスさえ侵さなければいいという気持ちで経営しているのがダメ。当然イノベーションを起こそうという動きにならない。それでも持っているのは中堅がしっかりしているから。

 個人的にはなるほどなあと思えるところから、結果論なのでしょうがないなあと思うところもありました。書いていることは特に中国だからというわけではなく、日本でも同じような論調で書いているものもありますよね。そして、その内容が今の時代でも過去の時代でも同じようなことが書かれている、つまりなかなか変われないというのを改めて感じました。日本企業のいいところもいっぱいあると思うのですが、悪い面を取り上げるとこうなってしまいますよね。イライラする企業、残念な動きをする企業も確かにありますが、そんな中でも光る動き見せてくれる企業もいますので、上に書いたようなネガティブな記事が掲載されないようにいろいろとお手伝いしていきたいと思います。

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