2022-11-16

気がつけば20年

今日は身の上話みたいなことを書きます。たいしてごろのいい数字でもないのですが、11月16日という日付をずっと覚えています。思い起こせば20年前の2002年11月16日に上海に降り立ちました。当時は銀行の駐在員としてやってきました。あれから今日でちょうど20年です。こんなに長くここにいるとは思わなかったです。人生とはわからないものです。

やってきたばかりのころのミッションは中国進出支援アドバイザリー。日本企業は相談事を銀行にする傾向があり、それを受ける役割でした。当時は日本の製造業が中国で土地から仕込んで建物を建てて生産した製品をせっせと輸出する時代でした。外商投資企業向けの税制優遇があったり、税関関連実務がなにかと煩雑だったり、やっていいこととやってはいけないこと、やってはいけなさそうだけどやってそうなこと、などといったアドバイスに明け暮れていました。

当時は銀行もまだまだ余裕があったのでしょうか、日本から多くの支店長・部長クラスがやってきて、その人たちのアテンドをしたことをよく覚えています。「バスの中で教えてもらったおかげで、いかがわしいのに引っ掛からずにすんだよ!」とお礼を言われたことをよく覚えています。

その年の年末に支店長に呼ばれて1月からキャストコンサルティングという会社に研修に行くことを伝えられました。同社へ派遣される初めての研修生です。送り出す側も受け入れる側もお互いにとって第1号、私自身も、ひょっとすると受け入れ先のメンバーもそうだったかもしれませんが、よくつかめなかった距離感も日々を過ごしているうちに先方のメンバーと打ち解けることができ、ちょっとした案件にも加えさせてもらうことができました。当時よくしていただいた先生方とは今も良い関係を築けいます。この研修期間において、現地の弁護士や会計士がどのような考え方で、どのような方法で物事を調べていくかを目の当たりにすることができ、今の仕事にも非常に役立っています。わずか7ヶ月半ほどでしたが、この時期は自分にとって非常に有意義な時期だったと思います。

研修期間が終わり銀行に戻り、ごく普通の営業担当として過ごしていたのですが、ほどなくしてまたアドバイザリー業務を行うことに。そうこうしているうちに関係会社に出向になり引き続きアドバイザリー業務を行うことに。そして、2011年10月に知人より引き継いだTNCを運営しています。ここからは11年が経知ました。

この20年の間、中国はひたすら高度成長を続けました。その間に何度も不動産バブルが崩壊すると何度もいわれながらもその都度気がつけば盛り返し今に至っています。いずれ調整局面が来るはずが、ようやくそういう時期に来たのでしょうか。今日の日経新聞の記事では「中国新築住宅、値下がり都市83%に拡大 政策効果限定的」とありましたが、そういうタイミングになってきたのでしょうか。延々とゼロコロナ政策を続けたり、経済をあまり重視していないと取らえられるような事象が見られたり。さすがにちょっと最近の雲行きは怪しくなってきているでしょうか

最初に外商投資企業向けの政策やその他実務面でのアドバイザリー業務が中心だったと書きました。この種の業務は今でもあり、お話があればお手伝いさせていただいています。最近だと無錫での生産企業の設立のお手伝いをしています。一方で、この20年の間に業務内容もだいぶん変わってきました最近は市場に関するご相談が増えてきています。輸出ではなく中国を市場とする時代になったからであるのはいうまでもないでしょう。そして多くの企業が中国市場に期待して今後も事業を続けていくわけですが、最近流行りの言葉でもある経済安全保障、これにどう対応して行くのか、今までにはあまり考える必要のなかったことかと思います。中国の中だけで完結する話であればいざ知らず、経済のグローバル化の中でクロスボーダーで進めることが当たり前になってきているこの時代、これからも悩ましい場面が色々出てくるかもしれません。なんだかんだで今後の中国市場にへの期待という前向き観点、勢いも衰えてきているし経済安全保障まで考えないといけないという後ろ向き観点。この二つを同時に考えて行かなければならない複雑な時代に、私がどのようなお手伝いができ、どのようにお手伝いしていくべきか。私自身が今後試されていく立場であるとも思います。

節目として20年を迎えたわけですが、引き続き応援してくださると嬉しいです。今後とも引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

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