2023-06-30

ここ10年の各国対中投資推移

最近新聞やニュースを見ると毎日のようにリスキリング、デリスキング、デカップリングと同じような言葉が聞こえてきます。これは中国ビジネスブログ、中国ビジネスに従事している人が多く読んでる(と信じてる)ものであることから、特にデリスキング、デカップリングの二つが気になっている多いのではないでしょうか。この用語が聞かれるようになったのはこの2~3年くらいでしょうか、もう少し広げると2010年代後半あたりになるかと思います。今までは単純に市場環境や競合の動向などだけを見ていればよかったのが、地政学まで気にしないといけない時代になってきたわけですから、なかなか厄介な時代です。

さて、そんな時代ですから中国という国に投資しづらくなってきているということが普通に考えられるかと思います。ということで、ここ10年の主要国の対中投資に推移についてみてみました。香港だけ数字が突出しているので、軸を分けました。絶対額も大事ですが、増減推移も気になるところです。以下のような感じになりました。

全体的トレンドとして増加しているのは香港、シンガポール、2020年以降だと日本、ドイツも増加傾向です。世の中デリスキングだ、デカップリングだと騒いでいる割にはどこもかしこも増加しているように思います。韓国も2022年は大きく伸ばしていますが、半導体関連の大型投資でもあったのでしょうか。香港はともかくシンガポールの伸びが目立ちます。アメリカにも中国にもどちらの陣営につくわけでもないという立ち位置がなせる技と言えるでしょうか。

逆にトレンドとして減少しているところを見ると、アメリカと台湾が減少していることがわかります。特に台湾は2016年をピークに減少基調にあります。台湾の場合はケイマン、BVI、または香港に会社を設立してから中国に間接的に投資することが少なからずあるでしょうから単純にこの表のとおりではないかもしれないですが、ここ最近の状況を見るとこのトレンドもわからなくもないですね。

以上はあくまで2022年までの数値です。今年2023年はどうなるでしょうか。私がやり取りしている人たちにだけ限定すると、中国に前のめりになっているというよりは、やや慎重な見方をしている人が多いように思います。地政学要因でそう思う人もいれば、単純に経済成長が以前ほどの勢いがない(地政学要因がもたらした可能性もありますが)ことによりそう思う人もいます。もちろん、地政学要因に関係なさそうな商品を取り扱っているところはそこまで厳しく見ていない人もいます。

2023年も半分を終えました。今の中国に新たな投資をしづらいという声を実際に聞いておりますが、最終的に2023年はどんな一年になりますでしょうか。次回は輸出入についてみていきます。

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