2017-01-23

パクリスーパーが訴えられて敗訴

 中国国内で最も売上高の大きい外資(台湾系)スーパーである大潤発。上海あたりだと中心部にあまり見られないのでなじみはないかもしれませんが、非常に有名な会社です。最近この会社の名前をかたって商売をしていた中国企業が訴えられて敗訴しています。

 そもそも大潤発というスーパーは康成投資(中国)有限公司という会社が商標を持つ会社であります。ところが江西省で大潤発投資有限公司という会社が2014年10月に設立されています。資本金6000万元とちょっとした規模です。そもそもこんな有名なスーパーの屋号を新社名として認めるのがおかしいのですが、なぜか認められています。しかも業種は同業。これをパクリ大潤発と呼びましょう。パクリ大潤発の店構えはこんな感じです。

パクリ

 これだけ見るとわからないかもしれませんので、本物大潤発の店舗を見てみましょう。

本物

 屋号は同じですけどロゴが違いますよね。パクリ大潤発はビニール袋、価格ラベル、会員カード、印鑑、従業員制服にも「大潤発」という屋号を入れていました。分公司だけでも8つもあります。そりゃあ本物大潤発は激怒します。ということで、本物大潤発は訴えたわけであります。当然ですよね。

 裁判の結果ですが、商標権侵害、不正当競争、悪質であるということで原告である本物大潤発が勝訴。300万元の賠償金を支払うような判決まで出ました。これまた当然ですよね。

 さて、パクリ大潤発の出資構成を見てみましょう。

出資

 「好又多」の名の付く会社が出資しています。「好又多」も台湾系。これは「好又多」も悪意を持ってやったことなのか、「好又多」もまた大潤発と同じく屋号を使われてしまっているのか、そこまではちょっと面倒なので調べませんでした。

 しかしこれだけの規模でパクリするなんて、あとのこと何も考えていないのだろうか。このあたりの感覚がよくわからん。まあ、楽して稼ごうというのが一番なのでしょう。ビジネスのイノベーションというのは何にもないところから作り出されるようなものもあれば、すでにあるものを組み合わせて作りあげられるものとがあると思います。例えば最近はやりのシェアリングエコノミーであるmobikeなんかもそうですが、自転車という既にあるもの、電子決済という既にあるもの、GPSという既にあるもの、これらを全部組み合わせてできたものだと思うのです。この組み合わせを考えるアイデアは素晴らしいと思います。何もないところから新しいものを生み出すより、既存のものを組み合わせるほうが楽であり、おそらく中国ではそういうのが、つまりいかに楽して稼ぐのかを考えるのが好きなのではないかと思います。いかに楽して稼ぐのかの中で最もレベルの低いのがパクリだと思うんですよねえ。以前と比べるとかなり偽物に興味が薄れてきているので、今現在どれだけ偽物が蔓延してるのかよくわからないですが、おそらく以前ほどではなくなってきているのではないかと思います。有名な偽物売り場がなくなって言ってますからねえ。しかし、今回のパクリ大潤発のようにかなりの規模でパクリビジネスをやる輩もまだいます。こういうのがなくなるのはもうちょっと時間がかかるのでしょう。今回のケースはパクった側が罰せられて賠償金を支払わされるだけでよい事例といえるのでしょう。

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