2016-05-13

自由貿易試験区に何を期待するのか

 2013年10月ごろから上海よりスタートした自由貿易試験区。日本企業は勉強好きなところが多く、その当時は自由貿易試験区セミナーはどこが開催しても非常に多くの企業が参加していました。私も参加したことがありますが、業種が緩和された以外特にめぼしいものはないと思ってました。業種が緩和されたといっても緩和されたのは結構特殊な業種が多かったので、一般的な企業にはあまり関係なかったといえます。しかしながら、実際にスタートしたばかりの時は企業設立窓口が非常に混雑し、今後の展開に期待を抱く人もいましたが、保税区に登録している圧倒的多数の貿易会社からするとやはりメリットが見えにくい場所だと思いますし、それは今でも変わっていません。そんな自由貿易試験区なのですが、全国各地でいくつも設けられました。とある自由貿易試験区に関するレポートを見せてもらったことがあります。それをいただいた時に、自由貿易試験区って結局今までの保税区とあんまり変わらないのではと話したところ、結局はそんな内容でまとまってしまってますといわれたことがあります。「やはり」と思いました。確かにいろんな面で一般地区よりも解放された政策があっても、一般地区も今となっては相当解放されてきているので、「自由貿易試験区ならでは」というのはもう難しいのではないかと思います。

 さて、そんな自由貿易試験区ですが、2015年の実績を見てみましょう。新たに登録した企業がめちゃくちゃ多いですねえ。エリアが広がったことも大きな要素なのではないかと思いますが、それにしても多いです。

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 上海自由貿易試験区の税収ですが、前年比6.8%の伸びです。あたかも中国のGDPの伸び率のようですね。その他の数値も特にめぼしいものはなく、工業総産値が3.3%減少していますが、第3次産業に移行していってることを考えればそれほど騒ぎ立てるほどの数字とも思えません。

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 経済指標だけ見て自由貿易試験区が成功したかどうかを判断するのではなくて、どれだけ新しいものが生み出されたかで評価すべきだという声がありますが、それとて今のところ特に目立ったものはないと思います。既に自由貿易試験区内で業務を行っている企業からするとすでに成熟しきったエリアといえるでしょう。ところが、既述の通り登録企業数はかなり増えてきてます。果たして何に期待しているのでしょうかねえ。

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