2021-05-27

日販2億元、恐るべし海南島免税店の販売力

日本では4月終わりから5月初めにかけてはゴールデンウイーク、中国においても5月初めは労働節休暇ということで同じく長期の連休があります。そして、今年5月1日から10日までの間で、海南離島免税店販売額はなんと21.9億元、このうち免税販売額は18.9億元で前年比2.91倍、免税購入者が延べ36万人で前年比1.966倍、免税購入件数が179.2万件で、前年比1.48倍と大きく伸ばしています。なお、ここでいう海南離島免税販売というのは、一般的にイメージする海外旅行客が市内や空港の免税店で購入したのちに本国に持って帰るようなものではなく、海南島内で購入し、海南島外に持ち出すことで免税要件が成立するものをいいます。同じようなことが沖縄で行われていますね。

2011年より海南離島免税政策というのはスタートしておりますが、最初のころは購入限度額が大きくなかったこと、販売者が独占的に地位にあることで価格面での魅力が乏しい、というようなこともあり、それほど魅力的ではなかったようです。

しかしながらこれが昨年あたりから離島免税購入限度額引き上げ、コロナによる国際間移動が難しい中でその代替手段として海南島にやってくる人達をひきつけたことで状況が大きく変わりました。

さきほど「販売者が独占的に地位にある」と書きましたが、具体的には中国免税品集団の独壇場でした。その後開放され、今では約10社ほどが免税ライセンスを取得して販売を展開しており、おのずと競争が発生したのであります。あらたに進出した企業は進出しただけのことはあり、今後の海南島の消費に非常に大きな期待を寄せております。

海南離島免税市場は世界的にも大きな市場規模にあり、ムーディー・デビッドレポート(英国の免税ビジネス専門誌)によりますと、2019年時点で中国免税品集団は世界第4位で、デューティーフリー集団、ロッテ免税集団と、新羅免税集団の次の位置にいたのが、2020年上半期には、これらをすべて抜き去り世界一の売り上げを達成しています。国際間移動に頼らない免税購入を取り込んだこと、そして孫前提として国内間移動が比較的開放されたことが要因であるのは間違いないでしょう。

中国免税品集団の業績を見ますと、2021年第1四半期の売り上げが181.34億元(前年比+127.48%)、営業利益44.58億元(前年比+47.76億元)、海南離島免税新政策実施の影響もあり、離島免税業務は大きく成長しています。免税ライセンスの開放が進んでいくなかで、中国免税品集団も今後今までと同じレベルで成長していくかは注目されます。

販売業者あれば商品供給業者あり。ロレアル北アジア総裁兼中国主席執行官と資生堂中国エリア総裁の方々がコメントを出しています(意訳してます)。

ロレアル

ビューティ産業は海南自由貿易港経済成長のコア駆動力の一つであり、我々は業界の先行者になりたく、十分に海南自由貿易港がもたらすチャンスをつかみ、ビューティーコル業務の潜在力を発掘していきたい。

資生堂 

資生堂が開年免税業務に入って行ってから10年が過ぎたが、今後さらに離島免税業務を発展させる以外に、さらに積極的に投資して中国本土及び世界各国と海南島がエリアをまたがって融合するように発展させて行きたい。

さて、現在海南離島免税店は政策がスタートしたころの二市二店だったがのが、三市十店にまで増加しています(うち1店は未開業)。分布をみると海口5,三亜4、ボーアオ1となっています。数が増えていけば行くほど免税店間の差別化を考えていく必要が出てくるでしょう。

もう一つ着目する点として、海南島で新ブランド、新商品を発表するということが挙げられます。67%の海南旅行客が新ブランドの商品を購入するという調査結果があります。つまり、海南島で新ブランド・新商品を購入・体験してもらい、気に入れば海南島から戻ってからリピートで購入してもらう、つまり免税購入と有税購入をうまく循環させられる、と先ほどの資生堂中国エリア総裁は期待しています。

このほか、免税業者は島内で島内住民向け免税業務にも目をつけ始めています。いまのところ、海南島から出る人が対象の免税販売ですが、島内住民を対象とする免税業務も検討されています。今のところ島内住民が消費する免税商品のポジティブリストは未公表ですが、すでに島内住民向け免税業務経営資質を申請している企業もあるようです。海南省商務庁は、「一定条件に達していれば参入が認められる」というような発言もしています。島内住民向けは日用品関係のニーズが大きいと思われますが、果たして島内住民が免税品として陳列される商品をどこまで購入してくれるか、消費力があるか、そのあたりの見極めをしていく必要がありますね。

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