2022-02-15

ウィンタースポーツに目覚めた中国

2022年北京オリンピック開催中です。東京オリンピックが1年開催が遅れた事により、またオリンピックが開催されるという印象と、オミクロン株の流行により、開催されるのかという不安から、中国国内のオリンピック前の盛り上がりは全く感じられませんでした。

北京は気候的に夏は暑く冬は寒いという印象ですが、スキーができるほどの雪が降るという印象はそこまでありませんでした。長野オリンピックの時に見た雪の印象はなく、そして中国の方はあまりスキーやスノボをする印象はなかったので、冬のオリンピックが決定した時驚いたものです。と言いつつも最近は結構盛り上げってきているようにも思います。

さて、冬季オリンピックにあやかり、中国のスキー人口の急激な増加ぶりについてご紹介しましょう。

中国のスキー産業は北京冬季五輪の開催が決定した2015年前後から動きが大きくなってきています。統計によると、2014年から2020年にかけて、中国のスキー場や室内スキー場は大幅に増加し、スキー人口も1000万人程度から2000万以上とほぼ2倍に増加しています。

コロナが流行する前は、ご存知の通り中国人の日本への旅行人数は毎年増え続け、2019年の訪日中国人観光客は959.4万人と外国人訪日観光客全体の3割を占め、12年間で10倍近く増加しました。1000万人近くの中国人観光客のうち、日本へスキーに行く人口も大幅に増加しており、日本の各スキー場では2019年の春節期間中に中国人スキープレーヤーの姿があっちこっちで見られたものです。

これとは逆に、日本のスキー人口は減少しています。長野冬季五輪が開催された1998年には日本のスキー人口は1800万人のピークに達していたのが、2020年にはスキー人口がなんと430万人に激減したようです。その理由は、主に「少子高齢化」に伴い人口が減少していること、最近は両親共働きの家庭が多く、子供をスキー場に連れて行ける家族が以前より少なくなってきていること、そしてスキーを体験する子供たちが減少してきていることから、スキーが身近に感じられなくなってるとの事。娯楽方式や趣味が多様化してるのも要因といえるでしょう。

スキー愛好家はどの場所に多いのか。滑唄というスキーアプリ(滑走記録したり、スキーファンのSNS機能があるアプリ)のユーザー内訳を見ますと北京が25%も占めています。北京オリンピックの影響もあるかもしれません。

2020年の中国のスキー人口都市の分布を見てみましょう。一線都市の占める割合は38.7%となっています。

中国のスキー人口の月収入は1-2万以上が合計43.3%を占めており、比較的収入の高い都市に愛好家が多いといえます。それなりにぜいたくなスポーツと言えますね。

次に用品についてみていきます。中国のウィンタースポーツ用品企業は全世界のウィンタースポーツ産業企業の中でシェア60%を超え、その中のスキー場装備企業は計86社で、全世界の23%を占めています。しかし、現在中国のスキー用品の製造レベルは国際レベルよりまだ大きな差があるといわれており、今後さらなる改善、成長が必要だといわれています。

上海市内の大きなショッピングモールに行くと、スケートリンク場があり、フィギアスケート教室があったり、室内スキー場があったりと、年間を通して運営されてます。クリスマス前あたりからは、野外のスケートリンクがあっちこっちのショッピングモールにできたりと、ウィンタースポーツがよりいっそう身近になりつつあります。日本では慣れ親しんでたスキーなどが娯楽の多様化でスキー人口は減少してきているというイメージですが、逆に中国ででは娯楽の多様化により都心のショッピングモールで経験をし、その後本場のスキー場などで体験するという逆の動きがみられます。

現在の中国はウィンタースポーツにおいてはまだまだ世界に圧倒的な力を見せつけていませんが、ウィンタースポーツを身近に感じていく事により、より多くの優秀な若者がウィンタースポーツに熱中し、世界で活躍するプレーヤーも増えていくかと思います。

まだまだオリンピックは続きます。残り期間、ほかのいろんな競技も楽しんで観戦していきます!

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