2022-04-05

ロックダウン上海港で貨物船が大混雑で足止め?

最近ネット上で、上海沖で数百隻の外航貨物船が足止めされ、サプライチェーンが途切れているという情報とともに、上海海域付近に密集する船のスクリーンショットが出回っています。

第一財経新聞の取材によると、画像にある船は小型漁船なども含まれており、その多くは上海海域を通過しているだけにすぎず、船を示すマークを大きくすることで混雑しているように見えているだけだと指摘しています。記者が上海港集団に取材したところ、一部の個別メディアが、上海港の深刻な混雑について、『上海の港湾遅延が深刻化している』、『今週、上海港で荷役待ちの船舶数が増加している』といった虚偽報道を行っていることに気付いた。という回答が得られています。

取材した記者が入手した最新のデータによると、上海港にはバルク貨物船43隻(内航船13隻を含む)、コンテナ船9隻を含む52隻の停泊船があり、そのうち4隻が接岸待ちの状態だとのこと。マースクなど大手定期船会社が3月に公開した情報によると、旧正月から3月まで続いたコロナ禍の影響を受けたものの、アジアの港の接岸待ち日数は通常1〜2日で、上海港の平均接岸待ちその中でも状況はよい方に入るとのことです。では、なぜ画像のような船の渋滞が発生したのでしょうか?

第一財経の取材によりますと、長江は世界で最も交通量の多い航路であり、船舶が多いのは当たり前で、船舶の種類もコンテナ船、バルクキャリア、タンカーに加え、漁船、タグボート、バージなどの小型船舶(全長80m未満)と多岐にわたるとのこと。また、広く出回っているその海図は、上海港に出入りする船と南から北へ来る通過船の区別がなく、スクリーンショット時にまだ上海沖にいた船と、ここを離れて陸上のAIS信号(AISとは船舶自動識別装置)が消えた船の区別がなく混在し、AISポイントを設定した漁網も含まれている可能性があるとのこと、そして船を示すマークが大きすぎるために見た目は密集しているように見えるだけと説明しています。

また、別の関係者によると、Marinetrafficのホームページにある4月3日午前7時50分頃の上海近海の船舶状況を見ると、赤はタンカー、緑は貨物船、オレンジは漁船、グレーは識別不能の船舶、点は停泊・待機中、矢印型は航海中の船舶を表すものですが、縮尺の関係で混雑しているように見えており、また船ではなさそうなものまで含められているという見方をしています。

また、船舶データ提供会社VesselsValueの公開データによると、上海海域付近で待機している船舶の数は最近2週間半で5倍に増えたものの、上海港の主流であるコンテナ船の待機数は大幅な増加を示しておらず、待機している数が大幅に増えているのは行き先が寧波舟山港である貨物船、ばら積み貨物船、タンカーだと指摘しています。とはいうものの、港から貨物を陸上輸送につなげるにあたっては上海地区の封鎖や長江デルタ地帯でのコロナ対策等により一定の影響は受けているようです。

上記の封鎖は27日夜に東西に分けて行うと突如発表されました。これに伴い陸上トラックの県を跨ぐ輸送には運転手のPCR検査陰性結果が必要となり、輸送量が以前より減少し、港の陸上輸送物流に一定の影響が生じました。これよりも前から物流には影響は生じていたのですが、その解決のためにいくつかの措置を講じていたのであります。

一つ目として、空コンテナを事前に顧客に用意したことです。春節後、上海港は非稼働のピークと大量の空コンテナが戻ってきたことを利用して、船会社が空コンテナを内陸部に搬送し、その後の生産再開に備えたのでありす。

第二に、コンテナの搬入・搬出方法が多様化したことです。 コロナ予防対策と一斉検査の期間中、上海港は積極的にコンテナを陸路から水路に変更するサービスを実施しました。これは上海港洋山エリアと外高橋エリアのすべてのターミナルから長江と長江デルタ地域の関連港までカバーするものです。現在、上海港集団はCOSCO、Maersk、Duffy、Mediterraneanなど様々な定期船会社とも連携し、顧客に様々な補完的な集約・流通手段を積極的に提案しており、お客様の水路・鉄道を使った搬送する割合は増え続け、顧客の問い合わせも大幅に増加しているとのこと。

三つ目は陸路の効率化を支援したことです。 上海港の入港輸送に関係するコンテナ車両が新しい防疫要件を満たすため、上海港集団の港湾・海事部門はたったの12時間で様々な電子証明書を用意し、様々な場所でチェックが入ることに対する対策を立て、スムーズな輸送につなげることができています。

上海港は現在もなお封鎖管理に対応しつつスタッフも常駐し、通常通り運営しているとのことで、冒頭に紹介したようなめちゃくちゃ混雑しているという情報は根拠がないようです。これは国際貿易貨物に関するお話ですが、実際のところどうなんでしょうか。私自身は貨物貿易を行っていないのですが、ある物流会社の人から日本から上海への貨物輸送が滞っているとぼやく話も最近聞いたことがあります。ロックダウンされている上海ではネット通販で購入した荷物が届かない、あるいは対応してもらえない状況にあります。なので、物流が滞っているイメージしかないのですが、これはあくまで国内間だけで移動する貨物の話。実際に貨物貿易に携わっている人から見てはこの情報ってどこまで正しいのでしょうかねえ。

(追記)上海港集団は上のように言ってますが、実際のところはやはり止まっているようです。

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