2016-04-11

越境ECの政策変更、振り幅が激しいよ!

4月8日から越境ECで輸入する商品に対する税収政策が変更し、多くの商品が税金徴収対象となることが話題になっていました。逆に言えば税金さえ払えばいいということなのですが、これよりももっと大変なことが起こっています。4月8日の1日前付で、実際の発表は前日なのですが、《越境EC小売り輸入商品リスト》なるものが発表されました。簡単に言えば、このリストにある商品以外は、越境EC小売り輸入の方式で中国国内に輸入することができないというものです。どんな商品が対象になっているかといいますと、話題になっているのは粉ミルク、化粧品、一般食品に属さない保健食品です。粉ミルクについては中国国内での登録が行われたもののみ取り扱い可能、化粧品についても初回輸入のものは不可ということなので、逆に言えば輸入許可を取得したもののみが可能、保健食品も登録したもののみが対象となります。保健食品は一般食品扱いであればこの問題は回避することができますが、日本企業にとって影響が大きいのは化粧品ではないでしょうか。

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《越境EC小売り輸入商品リスト》の化粧品部分一部抜粋

 化粧品販売を行う日本企業にとっての越境ECの魅力は中国に現地法人を作らなくていい、輸入許可を取得していないものでも中国人消費者向けに販売でいる、この二つが大きなよりどころであったと思うのです。現地法人を作らなくてもいいのは今後も変わりませんが、輸入許可の問題は頭が痛いと言わざるを得ません。体力のある化粧品会社は投資とみなしてコストをかけて中国の輸入許可を取得しますが、この費用は決して安くないために、体力的に劣る中小企業レベルあたりだとなかなか踏み切ることができません。また、実際にこのような輸入許可を取得していない中小企業が持つ商材を中国人消費者に越境ECを通じて販売したいというニーズがまた強いのです。このような商品は知名度が劣るため簡単には売れないでしょうが、しかし挑戦することすら制限されるというのはあまりにも厳しい。もちろん、輸入許可を取得さえすればいい話ではあるのですが。。。

 保税輸入御場合はこのような管理を受けるため、直送にすればいいではないかという発想が出てきます。直送する場合は小ロットになるため価格対比運送費が吸収できるような金額の商品でないと逆にしんどいかもしれません。また、直送に対しても今後管理が厳しくなっていくことが予想されます。個人の空港持ち込みについても免税は5000元までというルールがつい最近実施され、始まったばかりだからかもしれませんが、空港での検査がえらく厳しくなっているようです。直送については、EMSに対する管理を厳しくするという通達が6月より実施するという通達が出ているため、通達通り厳格に管理していくということであれば保税輸入スキームを回避して直送スキームで対応するという代替案も意味のないものになってしまいます。どこまで本当に管理できるかという問題はありますが。

 品目制限につては中国製品保護という名目のようですが、一方で中国人消費者保護はどうなるのだという声が上がっています。あまりにもショートノーティス且つふり幅の激しい変更であるため、これに対応するのは大変です。いままでさんざんあおっておきながら今回の政策変更は厳しい。希望のつなだった越境EC、今後どうなっていきますでしょうか。

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