2020-09-03

中国エアコン業界のトップが入れ替わり

今年はコロナの影響もあって一部の業界内の地位変更が見られます。今日は中国の空調業界を見てみましょう。

今年上半期(1-6月)の中国国内家庭用エアコンの販売の量及び額の伸び率を全体、オンライン、オフラインと分けて見てきましょう。

販売額のマイナス幅が販売量よりも多いということなので、1台当たりの単価が落ちているということですね。また、中国国内中央空調市場も前年比▲22%となっています。エアコンは据え付け作業があり、据え付け作業を行う場合必然的に家に入らなければならず、コロナ期間中は外部の人が入ってくるのに制限を加えたところも多かったので、売り上げが落ちるのは必然的中結果だといえます。

中国エアコン業界はこのような状況ですが、プレーヤーたちの状況を見ていきましょう。中国の代表的なエアコン企業で格力(GREE)という会社があります。ここの董明珠という名物経営者も有名ですね。コロナの影響もあってやはり業績を大きく落としているのですが、同じく家電業界の美的と比べてみます。美的は総合家電メーカーなので取扱商品も多く単純に比較できないため、全体と空調部分を切り分けたものを表にしてみました。会社によってカテゴリー分けが異なりますが、ここでは空調部分を見ていただきたいと思います。

二段に分けましたが、上の段が全体、下の段がカテゴリー別です。そして、下の段の空調の行をご覧ください。二社とも売り上げは落ちているのですが、格力の落ち方がかなり大きく、これにより中国エアコン売り上げトップの座を美的に譲り渡すことになってしまったのであります。

なお、格力エアコンの粗利率32.05%(▲3.97ポイント)に対して、美的エアコンの粗利率24.2%(▲7.88ポイント)で、これを見る限り美的は価格下げにより量を追いかけたとみることができます。

美的家庭用空調の中国国内オフラインチャネルの市場シェアは2位、つまりこの部分は格力はまだ1位をキープしてます。逆に美的のオンラインチャネルでの空調のシェアは1位で、35%を占めています。オンライン販売の価格はオフラインと比べて低く、美的はオンラインで販売が多いことから、粗利率は格力よりも低くなる傾向にあるといえます。

この結果について、格力はオンラインが相対的に弱いことと、元々の強みであるオフラインの販売チャネルに調整を行ったことがこの結果につながっているという見方があります。格力に限らず、オンライン戦略をどう進めていくか、オフラインについてはチャネル戦略をどう進めていくか、悩んでいるところは少なくないでしょう。今のままにしておくのが一番簡単ですが、さらに大きくしていくためにどのようにしていくべきか、オンラインとオフラインの兼ね合い、オンラインの運営や公告にどの程度のお金を突っ込むのか、オフラインのチャネル内で入れ替えを行ったり調整を加えたり。考え出すと簡単に結論が出るものとは言えないでしょう。

さて、今後の展開ですが、粗利率を見る限り格力は値下げ余力がありそうなので、失ったシェアを取り戻すために価格戦を仕掛けるのではないかという見方があります。しかしそれをすると美的も受けて立つでしょう。本当に価格戦に突入すれば消費者にとってはいい話ですが、果たしてどういう動きなりますでしょうか。

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