2022-10-31

中国でのカーボンニュートラルに向けて~中国工場での屋上設置型太陽光発電導入のすゝめ~

 あのめちゃくちゃに暑かった夏も終わり、ここ最近はとても過ごしやすい天気が続いております。とはいえ、10月の上旬でも30度越えの日がありましたように、全体的に気温が高くなっているのでしょう。明らかに私が子供のころとは違います。これが地球温暖化というやつでしょうか。

1.排出削減の取り組み

 細かく説明するときりがないので簡潔にいいますと、「パリ協定」という2020年以降の温室効果ガス排出削減等のための新たな国際枠組みがあり、パリ協定の目標達成に向けて多くの国が目標を発表しています。

 2020年に日本は2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを宣言しました。中国においては2030年までに排出量を削減に転じさせ(カーボンピークアウト)、2060年にはカーボンニュートラルを達成することを表明しております。この達成のためにクリーンエネルギーを利用する必要があります。中国の工場拠点においてもこの方面に関心を持たれている企業は少なくなく、ここでは中国における取組について紹介いたします。

2.中国における動き

 クリーンエネルギーの利用を促す中で、関連通達がいくつも発表されています。

 これらは昨年から今年にかけて中央レベルで発表されたものの一部のみを紹介したものです。さらに以前に発表されたものを数多くあり、また地方レベルでも多くの通達が発表されております。このように、中国においては、国と地方が総力を挙げて太陽光発電を推進しているといえます。

 これらの政策をもとに、太陽光発電利用促進の一環として、工商業建物(商業ビルや工場等)の屋上を活用した分散式太陽光発電の取り組みが積極的に行われています。

3.設置スキーム

(1)設置スキーム

 屋上設置型太陽光発電にはスキームが二つあります。ひとつは工場が自己資金で設置するもので、これは単純かつ分かりやすいかと思います。もう一つのスキームはPPA(power purchase agreement:電力販売契約)というスキームです。ここではPPAというのがどのようなスキームであるかについて紹介します。

 PPAとはpower purchase agreementの略称で電力販売契約のことを言い、第三者投資とも呼びます。流れとしては次のようになります。

①  投資者となる第三者が工場の屋上を賃借
②  投資者が発電のためのプロジェクト会社としてSPC(special purpose company)を設立。
③  SPCがEPC会社に施工を依頼
④  施工完了後グリッド接続
⑤  発電

 投資者は屋上に設置した太陽光パネルより発電される電力を工場に売電することで投資回収を行います。売電価格は通常の電力代金よりも割安で供給されますので、工場側としても電力代金節減のメリットがあります

 PPAスキームは中国のほうが日本よりも先行しているイメージがあるのですが、ここ最近日本でも認知されつつあります。ちなみにこれは2022年8月23日に週刊エコノミストで掲載された記事のヘッド部分です。PPAとググってみれば日本での多くの実例を検索することができます。

(2)自己投資 VS PPA

 自己投資を行う場合とPPAスキームを活用する場合を比較してみましょう。

 自己投資は自己資金負担がある代わりに太陽光発電によるメリットを全て享受することができます。逆にPPAスキームの場合は自己資金の投入が全くなく、しかしながら電力代金の節減効果も得られます。これこそがPPAスキームの売りなのですが、企業によっては電気代よりも何よりも排出削減につながるという面に魅力を感じる工場もおられます。

 日本だと何となく太陽光発電は採算が取れないというネガティブな見方をする人が多いですが、そもそもPPAスキームだと電力利用者側の自己資金0なので、採算さんが取れるとか取れないとかの問題ではなくなります。

 弊社では現地企業と提携し、屋上設置型太陽光発電のご案内をさせていただいております。自社投資、PPAスキームのいずれの形態でも対応させていただくことができます。自社工場で屋上設置型太陽光発電を検討されている場合、ご相談を承らせていただきますので、ぜひお声かけください。PPAスキームの場合は投資者もセットでプロジェクトとして完結させますし、日系大手企業での取り組み実績もございます。

 次回は太陽光パネル設置にあたっての懸念点について紹介します。

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