2020-02-12

リモートワークを通じて見えてくる管理職の力量

 徹底した隔離政策の関係もあり、どこもかしこも在宅勤務です。企業が自主的に外地から上海に帰ってきた人に対して14日間の自宅待機(必然的に在宅勤務)しているケースもあれば、ビル自体が外地から帰ってきた人を受け入れないケースもあります。せっかく用事があってでかけても、ビルが入れてくれないとなるとどうしょうもありません。また、ビルに入るにもマスクをしてないと入れてくれないところが大半で、入るにあたり体温測定されます。体温測定は結構不正確なところも多いですが。。。飲食店に行くにも商業施設に行くにもマスクがないと入れてくれないところが大半なので、マスクの有効性云々が取りざたされていますが、こちらでは社会生活を送るうえで必須のアイテムだと言えます。

 これがいつまで続くだろうかというのも気になるのですが、リモートワークがそれこそどこまでワークするのかも気になるところです。人によっては雑音のないところで仕事するほうがはかどるという人もいますが、今のこのご時世だとみんな家の中にいるので、一人暮らしでなければ在宅勤務でも雑音の中でやらざるを得ません。そして、リモートワークだと、①ついついさぼってしまう、②社内の雑音がなくなり仕事がはかどる、③無駄な作業がなくなる、というような現象がみられるようになると思います。

 ①のついついさぼってしまう、これはもう言わずもがなですね。しかし、仕事の支持をする管理者が明確に指示しないと、部下としてもやりづらいはずです。そういう意味で、さぼり傾向のある人がわかると同時に、部会に対する支持がきっちりできる管理職か否か、これがはっきりしてくるように思います。

 ②はさっきも書いた通りですが、一人暮らしだとはかどるでしょう。特に自分のやりたいことに相当集中できるのではないでしょうか。さぼり気質のある人だとダメダメだと思いますが。

 ③ですが、これって結構キモかと思います。人が集まることによりいろんな業務が発生し、中には無駄な業務も結構混じっていると思います。これが在宅になると無駄な業務を支持する側としても面倒がって指示しなくなり、おのずと消えていくのではないでしょうか。

 こうしてみていくと、リモートワークは働く側の自主性に負うところももちろん多いのですが、管理者の力量が凄く反映されるように思います。 ここでいう管理能力とは管理者がしっかりと部下に対して指示を出し、業務進捗を管理することを指し、これを明確にしないままのんべんだらりとリモートワークを進めても、イメージ通りに業務が完結するとはとても思えません。 ちょっとした規模の日系企業の場合、多くの駐在員が管理職にあり、また現地社員でも管理職の人は多いでしょう。リモートワークを通じて駐在員自身の管理能力の有無、管理能力のある現地社員を今までちゃんと育成してきたか、この辺りが見えてくるでしょう。また、小ぶりな日系企業(日本で大会社でも現地では中小企業レベルのところは多い)の場合、駐在員のみが管理者となっているところも多いかと思いますが、この場合だと駐在員にずっしりとリモートワークのプレッシャーがのしかかってきます、というかにしか買ってこないほうがおかしいと思います。

 今は業務を回すというより危機管理状況対応に注力する時期であり、業務量は少ないことからリモートワークを適当に回しても何とか回しきることができると思いますが、通常レベルの業務量に回復したときに、管理者の管理能力が不足したままリモートワークを行うと、業務が崩壊してしまうリスクがあるといえます。 非常時なので結構プレッシャーも大きえでしょうが、こういう時こそ管理能力を磨く時期といえるでしょう。

  ただし、いくらリモートワークとはいっても、どこかの段階で顔を突き合わせることはやはり必要だと思うので、今回のように「 中国全土を対象に渡航延期や在留邦人の早期一時帰国を至急検討するよう求める」というようなアナウンスを受けて駐在員が帰国してしまうと、さすがに顔を合わせる機会が全くなくなるわけで、そうなると管理業務が駐在員管理職に集中しているような企業の場合、リモートワークの難易度は相当高くなるといえるでしょう。

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