2020-10-27

結構高額な立ち退き料を低いとごねる人たち

 上海で最近ノスタルジーを物凄く感じさせるような街が取り壊しや立ち退きで減ってきつつあります。ずっと同じ土地に住んでいる人にとっては名残惜しいでしょうが、その代わりと言っては何ですがいわゆる立退料が支払われ、その場所によってはかなりの高額になります。こんな話があります。

 上海の黄浦区というかなり市の中心にあるエリア、ここで立ち退き対象エリアになっている場所があります。提示された立退料はなんと800万元(約1.25億円)!そしてこの金額に対してそこに住むおばあさんが不満を漏らしています。立ち退き対象となるくらいなので建物は決して立派ではなく、この金額でどうして不満に思うのでしょうか、というのが多くの人の見方でしょう。ちなみに周囲の住宅はおよそ7万元/㎡の価値、エリア的にはもっと高いようですが、建物のレベルが低いからということでこの価値で評価されているとのことです。さらに詳しく見ていきましょう。

1.建物の正当性

 立ち退き対象の建物は3階建てで、建築面積は100㎡超。しかしながら、3階は勝手に作ったもののようで、権利書証には反映されておらず、70㎡あまりの扱いとなります。要するに違法建築部分は認められないということでしょう。そして、権利証上の面積に基づいて、補償額、さらに奨励金を加えて800万元という金額がはじき出されました。とあるエリアで立ち退き料の計算にあたり面積で計算する対策として、勝手にフロアを増やしたという話を聞いたことがありますが、このケースではあくまで権利証上の面積で計算するという話になっています。

2.家庭情況

 不満を漏らしているこのおばあさんの家庭構成はこのようになっています。おばあさん夫妻2人が3階に住み、息子夫婦と孫が2階に住み、1階は厨房等となっています。こんな感じの家です。決して立派な建物とは言えず、行っちゃ悪いですが、ボロ屋ですね。こんな感じです。

ニュース動画を見たのですが、この家はこんなに便利で過ごしていてとても心地よいり猛烈にアピールしていました。

3.お金の分け方

 おばあさんと息子の二人だけであれば800万元でも十分なのですが、このおばあさんの二人の娘が戸籍をここに置いており、形式上四世帯(老夫婦、息子一家、おじいさんの二人の姉妹)にお金を分けなければならないとのことで、そうすると一世帯当たり得られるのが200万元、こうなると老夫婦と息子一家は上海で新たに住居を購入することができないという主張です。

4.希望金額

 おばあさんの希望としては、実際の100㎡超で計算した立退料を支給してもらうこと。これで計算すると立ち退き料は1000万元ちょっとになりますが、これは立ち退き政策に符合しないようです。

 お金ではなくて同じ面積の住居を支給してもらうという案もあるのですが、全ての関係者の同意が必要で、今住んでいないおじいさんの二人の姉妹が同意しない、まあそりゃそうでしょう。二人の姉妹からすると今目の前では何も得られないわけですから。

さて、この話に対してどういう見方がされているでしょうか。

・そもそも今住んでいるのは老夫婦と息子夫婦。息子夫婦用に郊外で3LDKの住居を購入し、もう老夫婦用に2LDKの住居を購入し、老夫婦が亡くなってから二人の娘に相続させればよい。

・戸籍をずっと置いていた姉妹の二人はは立ち退きをずっと待っていたに違いない。

・そもそも70㎡なんだから800万元ももらえれば十分でしょう。

・文句があるなら住み続けていれば?

と、多くはあまり好意的に思っていないようですが、

・この金額じゃ少なすぎるよー。

・こんないい場所でこの金額?

という意見も意外に多くありました。

 あちこちで同じようなことが起こっているのかなあと思って、立ち退きに関するキーワード検索をしたところ出るわ出るわ。中国のいたるところにこんな人たちがいるんですなあ。一度でいいからこういう不満を持ってみたいものです。

 このおばあさんの言い分を認めてしまうとなし崩し的に同じような主張をしてくる人が出て来るので、受け入れられることはないと思うのですが、このおばあさん、いつまでごね続けますかねえ。

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